日本版DBS成立、性被害者支援団体らは「対象の狭さ」を懸念 ベビーシッターや学習塾は任意に

厚労省で会見する一般社団法人Springなど(2024年6月20日、弁護士ドットコムニュース撮影)

子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴がないか確認することを事業者に義務付けた「日本版DBS」の成立を受け、性被害者当事者などでつくる「一般社団法人Spring」や専門家らは6月20日、東京・霞が関の厚労省で会見し、「子どもたちへの性暴力防止の大きな一歩」と評価した。一方で、制度には多くの課題があることを指摘し、塾や学童保育などに対象を拡大することや、加害者の再発防止プログラムの義務化など途切れのない支援体制づくりなどを求める声明を発表した。

●「事件のきっかけになったベビーシッターは対象外」

この日会見したのは、「一般社団法人Spring」理事の寺町東子弁護士と、「Be Brave Japan 」代表の石田郁子さん、加害者臨床専門家の斉藤章佳さん。

日本版DBSによって性犯罪歴の確認が義務付けられるのは、学校や幼稚園、認定子ども園、児童保護施設など公的な施設となっている。このほか、認可外保育所や学童保育、学習塾などは、任意で認定を受ける仕組みだ。

これに対し、寺町弁護士は次のように指摘した。

「学童保育や学習塾、あるいはスイミングスクールなどについては、任意で認定を受けるという形になることから、対象が非常に狭くなることが懸念されています。

日本では、個人情報保護法によって本人からの請求であっても犯罪歴は開示しないということが原則になっています。これは犯罪歴のある人の社会での更生を促すために、非常に重要な規定ではありますが、他方で、この個人情報保護法と整合性をとるために、今回は認定制度というものを取りました。

この制度を導入するきっかけになったのは、マッチングサービスを利用したベビーシッターによるわいせつ事件ですが、このような事業者が義務付けの対象に入っていないのは、大きな問題点だと考えています。個人事業主や零細事業者も対象にしていくことが必要です」

●再犯防止のためにはDBSで排除された人の支援が重要

また、石田さんも、「今回のDBSでは、学校教師が懲戒処分を受けて教員免許の再交付をされなくても、塾講師や家庭教師といった仕事に就くことができてしまいます。そうした人たちが漏れてしまっていることが残念です」と述べた。

加害者の治療をおこなっている斉藤さんは、「排除や孤立化は、再犯へのトリガーになる」と指摘。DBSによって仕事に就けなかった人に対して、子どもに関わらない仕事への就労支援や、再犯防止のための治療を受けさせることが重要だと説いた。

こうしたことから、3者は合同で声明を公表した。声明では、犯罪歴を民間事業者に開示して管理させるのではなく、日本政府の機関が確認して登録制とすることや、その登録をもって子どもに関わる事業が可能となる「ホワイトリスト」方式を導入するよう、求めている。

また、性犯罪をなくしていくために日本版DBSだけでなく、加害者の更生・再発防止のためのプログラムの義務化や社会復帰のためのシームレスな支援の実施なども要望している。

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