悪質ホスト対策、歌舞伎町のホストクラブが「連合会」設立 吉住・新宿区長「FC店は内部統制が及んでいない」

新宿の吉住健一区長

高額支払いのトラブルが減らない悪質ホスト問題を受け、新宿区と被害者支援団体が4月26日、同区庁舎で記者会見を開いた。吉住健一区長は、歌舞伎町のホストクラブから業界健全化を目指す一般社団法人「日本ホストクラブ事業連合会」を設立したと報告を受けたことを明かした。また、同町のホストクラブが掲げる「売掛廃止」を含む自主ルールについて「フランチャイズ(FC)店については、内部統制が及んでいない部分もあるのではないか」との認識を示した。(ジャーナリスト・富岡悠希)

●新宿区とホストクラブ側のやりとり

この日の記者会見には、悪質ホスト問題の被害者支援にあたる一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」(略称:青母連/玄秀盛代表)も出席。両者は、複数のテレビカメラが並ぶ中、国内外の記者に対して現状や経緯の報告をしたあと質問に応じた。

吉住区長によると、今年2月と4月、新宿区とホストクラブ側が集う連絡会を開催した。このほか3月には、ホストクラブが掲げる屋外広告・屋外看板について、新宿区が指導ポイントをレクチャーする場を設けたという。

歌舞伎町のホストクラブは4月の売掛全廃に向けて1月以降、段階的に支払い時の入金率を高めるべく動いていた。3月のレクの最中、あるホストクラブ経営者が次のように漏らした。

「自分たちでとにかく改善をしなければいけないという思いで、毎月10%入金率をあげている。4月1日からは売掛金制をなくすと宣言したが、残念ながら非常に厳しく、守るのが辛い。少し緩めることはできないか」

「嘆き」とも「逃げ」とも取れる発言に対して、吉住区長は次のように苦言したという。

「それは、みなさまが決めることですが、自ら決めたルールをたかが1、2カ月でやめるのは、非常に信頼を損ねる行為です」

●FC店が問題の火種となっている

ホストクラブは昨年12月に打ち出した自主ルールで、売掛禁止以外に、18歳19歳の新規入店禁止も打ち出している。

新宿区との連絡会では、「20歳だと免許を見せてきたが、そうでなくて騙された」という事例の報告もあった。ホストクラブ側が一定の努力をしていることはうかがえるが、このルールについて、住吉区長は「全体には行きわたっていない」とする。

連絡会には、十数店のグループオーナーが参加しており、歌舞伎町に約300店舗あるうち形式的には200店ほどをカバーする。しかし、各グループは直営店ばかりでなく、監視が届きにくいFC店も抱える。

青母連などへの被害相談がおさまらない現状を考えると、FC店が問題の火種となっているという認識を吉住区長は持っている。

また、日本ホストクラブ事業連合会について、吉住区長は「私たちは監督官庁ではないが、せっかく立ち上げた団体なので、連絡会で報告を求めたい」と話した。

一方、同席した青母連は5月上旬、良識あるホストクラブオーナーと面会する場を設ける意向を示した。被害者を出さないかたちでホストクラブが経営していくよう、「第三者委員会」的な立場で、ホストクラブと関わる道を模索したいとしている。

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