貴重な資料4万点を保管、ミステリー文学資料館が7月末で閉館へ 綾辻行人氏も「寂しいことです」と惜しむ

画像はミステリー文学資料館のサイトトップのキャプチャ

光文文化財団が運営するミステリー文学資料館(東京・池袋)が、7月31日で閉館する。6月21日、資料館の公式サイト上で発表された。同館は、世界でも珍しいミステリー専門の図書館として知られていた。

閉館は資料館が入る光文社ビルの建て替えに伴うもの。ミステリーファンや作家からは、「貴重な空間だったのに」などと惜しむ声が上がっている。

「別の場所で再開しても、財政的な問題もあり、遠からず再度閉館を迫られる」


公式サイトによると、資料館では戦前・戦後の探偵雑誌や推理雑誌、戦前の探偵小説の初版本、戦後の作家の生原稿などを保管している。ミステリー文学は戦前、「探偵小説」と呼ばれ文学的評価が低かったため、単行本や雑誌が公共図書館で保存されず、多くの資料が散逸してしまっていたという。そうした状態を改善すべく設立されたのがミステリー文学資料館だ。

資料館では、戦前に発行され、江戸川乱歩や横溝正史などを輩出した雑誌『新青年』や、『ぷろふいる』、『月刊探偵』、『探偵趣味』等の雑誌の実物を、開架式の書架で自由に読むことができる。

財団が保管していた資料は書籍・雑誌を合わせて4万冊ほど。財団の担当者はキャリコネニュースの取材に、光文社を通して

「現在の場所以外での資料館の再開は諸状況に鑑みて、現状では困難と判断せざるを得ません。仮に数年後、別の場所で再開したとしても、財政的な問題もあり、遠からず再度閉館を迫られることになると思われます」

と答えている。

資料は財団や光文社で保管予定 将来的にはコピーサービスを検討中

資料は今後、光文社本社内に移転する光文財団の書棚で保管するという。ただ、『新青年』や『宝石』など「探偵雑誌目次総覧」に記載されている戦前・戦後の探偵雑誌や『幻影城』、『黒死館殺人事件』や『ドグラ・マグラ』など、特殊な方法で保存する貴重な書籍は光文社の倉庫で保管される。

これらは今後、今までのような一般閲覧はできなくなるが、コピーサービスの提供を検討中だ。書籍や雑誌以外の自筆原稿、書簡類、色紙等の寄贈資料は光文社倉庫に保管される。それ以外の資料は、郷土資料館や文学館など「公的な施設に資料の寄贈を打診している」という。

ネットでは閉館を知った人から「行ってみたかった」「残念」などの声が出ている。作家の綾辻行人さんもツイッターで「寂しいことです」と呟いていた。

ジャンルで探す