事故の被害者遺族が「ヒーロー」に 交通安全訴える

ハロウィーンのイベントで集まったヒーローたちと一緒に子どもたちと写真を撮る「通学路戦士パトーラ」(中央)=2024年10月31日午後5時24分、福岡県大野城市、小宮路勝撮影

 ピンクのコスチュームで交通安全を訴える「ヒーロー」がいる。扮するのは12年前、いとこを交通事故で失った村岡麗菜さん(30)=福岡県大野城市=だ。「通学路戦士パトーラ」として、親しみやすく交通安全を啓発している。

 2012年4月、村岡さんのいとこ、松村幸姫(ゆきひ)さん(当時26)は京都府亀岡市で、無免許の少年が運転する軽乗用車にはねられ亡くなった。村岡さんはその後、事故当時の松村さんと同じ2児の母になり、日常を通して事故による喪失を実感するようになった。

 2021年、通学路の事故を減らしたいと、両親と3人でNPO法人「route(ルート)」を設立し、遺族の思いを講演で伝え始めた。ただ、悲しい思いを伝えるだけでは、交通安全に対する意識は十分に広がらないと感じるように。「ヒーロー」に変身することを決めたのはそんな経験からだ。

 地元のイベントに登場したり、警察署の一日署長を務めたりしている。「遺族としてのあり方に一つの正解はなく、様々な形がある。被害者や被害者遺族と、そうでない人をつなぐ存在になりたい」(中村有紀子、鳥尾祐太)

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