能登から人口流出続く 金沢は増加 「すぐ戻れるように」住民の願い

【上】能登半島地震で倒壊し横倒しになった五島屋ビル=2024年1月2日、石川県輪島市河井町、伊藤進之介撮影 【下】倒壊したビルの撤去は進まず、そのまま残されていた=2024年6月13日、金居達朗撮影

 能登半島地震から1日で6カ月になる。被災地では、インフラの復旧は徐々に進み、仮設住宅は必要戸数が完成しつつある。しかし壊れた住宅の公費解体は滞り、人口流出も続いており、復旧・復興を加速させることが求められている。

■犠牲者数、平成以降の地震で3番目に

 死者は、輪島、珠洲、七尾、羽咋(はくい)4市と能登、穴水、志賀3町で計281人に上り、うち52人が災害関連死だ。最も多い輪島市が130人(うち関連死28人)、次いで珠洲市が111人(同14人)と、2市で9割近くを占める。

 関連死は近く18人が認定される見通しで、死者計299人は、平成以降の地震災害で、東日本大震災、阪神・淡路大震災に次いで3番目に多い犠牲者数になる。

 また、関連死が認定される見通しの18人のほか、少なくとも133人の遺族が関連死の審査を申請しており、死者はさらに増える見込みだ。

 住宅被害は、全壊が16市町で計8053棟、半壊も16市町で計1万6746棟。全半壊は輪島市で8807棟、珠洲市で3744棟で、2市で全体の半分を占める。

 ほかに、空き家や店舗など非住家の半壊以上の被害は、12市町で計2万7805棟に上る。

 建設型の仮設住宅は、9市町で計6642戸が着工されており、うち4943戸が完成した。完成戸数は輪島市が2282戸と最も多く、珠洲市934戸、能登町488戸、穴水町450戸となっている。

■進まぬ公費解体、完了は4%どまり

 全半壊した建物を自治体が取り壊す「公費解体」は、約2万900棟の申請に対して、完了が4%にとどまる。石川県は来年10月の完了をめざしているが、間に合うかどうかは不透明だ。住民からは「壊れた家が並ぶ風景を見続けるのはつらい」との声が漏れる。

 県によると6月24日現在、輪島市で6191棟、珠洲市で4555棟など2万865棟が申請され、解体完了は輪島市の166棟、珠洲市の244棟など911棟。解体が遅れている背景に「未登記」の問題がある。相続登記がされておらず、親族ら所有権を持つ人全員の同意が必要なケースが相次いだ。

 法務省は5月末、倒壊などで建物の機能が失われていれば、所有権者全員の同意がなくても市や町の判断で解体できると県に通知した。また、元日に大規模火災が起きた輪島朝市の264棟は職権により「滅失登記」し、解体を進めやすくした。

 輪島市では6月3日の地震で7棟が倒壊。市は54棟について、安全確保のための緊急性が高いとして、費用の事前算定を省いて解体を緊急発注した。市内大手の解体業者・鍜元(かじもと)重機によると、3日以降、解体の速度は上がったという。

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