老朽化の波、消えゆく学校プール 授業は民間施設で

釣り堀に生まれ変わった小学校のプール=2019年9月8日、神奈川県海老名市

 全国の小中学校で、古くなったプールを使うのをやめ、民間の屋内プールなどを利用する動きが広がっている。改修にかかる費用を抑えるだけでなく、屋内施設なら空模様を気にすることなく授業ができ、先生の負担も減らせる。古いプールを釣り堀にして地域に開放する学校もある。

 「もう少し力を抜いて。お手本やるよ。ほら、頑張って泳いでる感じ、しないでしょ?」「いいね、体が上手に伸びてるよ」。屋内プールに、インストラクターたちの大きな声が響く。ほめられた生徒たちの顔に、笑みが浮かぶ。

 6日午後。愛知県蒲郡市のコナミスポーツクラブ蒲郡で、近くの市立蒲郡中学校(生徒数493人)の3年生約70人が、水泳の授業を受けていた。

 コナミのインストラクター3人が、一人一人に声をかけながらコツを伝え、体育の教員は練習の成果をチェック。プールサイドではコナミのスタッフ2人が、事故のないよう見守る。

 約2時間の授業を終えた折笠七海さんは「先生が多く、やりたい泳ぎをしっかり練習できる。苦手だったクロールの息継ぎが上達した」と笑顔だった。

 同市は今年度、蒲郡中をモデル校に、民間の施設とマンパワーを生かした水泳指導を始めた。利用者が少ない時間帯の施設を有効活用したいコナミ側と、プールの維持管理や天候に左右される負担をなくし、授業の満足度を高めたい学校側のねらいが一致した。

 鈴木洋校長は「学校でのプール指導では、教員1人が指導し、1人が監視するのが精いっぱいだった。この手厚い態勢は本当にありがたい」と話す。40年ほど使い続けてきた学校のプールは、底がひび割れたり排水溝が詰まったりと、毎年のように補修工事が必要になっている。今年度は、塩素濃度の測定や清掃など、教員の負担も減った。泳力の面だけではなく、学校外の大人と接することは「生徒の成長にもプラスになっている」という。

 市教委によると、全8時間(2時間×4回)の授業を終えた1年生が答えたアンケートでは、9割の生徒が、民間施設での授業について「よかった」と回答。「教え方が丁寧で上達できた」「雨でも入れてよかった」といった声が多かったという。

 コナミスポーツ(東京都品川区)は、今後各地で、学校の水泳授業の受託に乗り出す方針だ。広報室の池原実・室長代理は「施設を有効活用し、学校プールの老朽化や教職員の負担軽減など、地域課題の解決に貢献していきたい」と話す。

ジャンルで探す