「暴言」深手にならず 謝罪徹底、批判かわす 明石市長に泉氏3選

支援者に対し、出直し選になった選挙について頭を下げる泉房穂氏=17日午後8時24分、明石市大明石町2(撮影・中西幸大)

 自らが招いた暴言への逆風を、徹底した謝罪でかわした。17日に投開票された兵庫県明石市長選は、出直し立候補した前職泉房穂氏(55)が、告示3日前の表明にもかかわらず圧勝した。問題発覚直後は批判的な声が多かったが、「市民の安全のためやないか」といった発言の詳細が報じられると風向きが一転。泉氏が批判に真正面から答えることはなかったが、擁護論も出て暴言は深手とならず、人口増や税収増などの実績が評価される展開となった。
 明石駅に近い泉氏の選挙事務所。午後8時、投票の締め切りと同時に「当選確実」の報が一部メディアから届いた。
 「私の暴言による出直し選で多くの費用がかかった。責任を痛感している」
 支援者の拍手と笑顔で迎えられた泉氏は、神妙な面持ちのまま頭を下げ、「明石の将来のまちづくりに責任を果たす」と声を絞り出した。
 辞職直後を思えば、陣営にとっても「まさかの圧勝」だった。
 新聞各紙が暴言を報じたのは1月29日。当初は辞職を否定したが、市役所に苦情が殺到し、3日後に辞職を表明。擁護論も出始める中、会見では「私の行為は断じて許されない」と謝罪に徹した。
 だが、出直し選については明言を避け「潔さをアピールするための戦略では」との臆測も出た。
 2月上旬には、市内の女性を中心とした団体が、立候補を要請する署名活動を始めた。泉氏が力を注いだ福祉政策の関係団体も加わり、3月3日の集会で計5千人分を提出。泉氏は「署名の重さに心を動かされた」と涙を流し、告示直前、立候補を表明した。
 選挙準備は後手に回った。市内全戸に配布される選挙公報は原稿が完成せず、泉氏分は掲載されなかった。選挙ポスターも間に合わず、名前とメッセージだけで顔写真がない簡易ポスターが選挙戦中盤まで張られた。
 「なぜ説明責任を果たさず、任期満了直前に辞職したのか」「2度の市長選になれば税金の無駄使いになる」。突然の辞職と長い沈黙、告示日直前の立候補…。泉氏の対応に戸惑いと批判の声は大きかった。
 だが、選挙戦では謝罪に徹し、疑問に十分に答えることはなかった。
 過去2度の当選時のような万歳も祝い鯛(だい)もない。厳しい表情を崩さず、支援者に謝罪を繰り返したが、署名活動をした子育て中の女性らからお祝いの言葉をかけられると、口を真一文字に結んだまま涙をこらえた。(藤井伸哉)

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