ストーリーは日本遺産 淡路島舞台のRPG配信へ レアアイテム、クーポン発行も検討

国生み神話に登場する伊弉諾尊、伊弉冉尊を祭る伊弉諾神宮=淡路市多賀

 兵庫県淡路島を舞台にしたスマートフォン用ロールプレーイングゲーム(RPG)アプリが3月に配信される予定だ。島内3市や県、淡路島くにうみ協会が各140万円を出して開発する「地方創生RPG」。古事記に描かれた壮大な天地創造物語を基にしており、ゲームを楽しみながら日本遺産「国生みの島・淡路」への関心を喚起し、文化財に足を運んでもらうのが狙い。人気RPG「ドラゴンクエスト」の生みの親、堀井雄二さんの出身地の淡路島で、新たな冒険が始まる。

 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)が最初に淡路島を生み出した「国生み神話」▽弥生社会に金属器時代の幕開けをもたらした「海の民」▽塩作りと航海技術で古墳時代の王権を支えた「海人」▽塩や海の幸で都の暮らしを彩った「御食国(みけつくに)」−。日本遺産に認定された四つの物語を軸にゲームは展開し、日本遺産を構成する31の文化財が登場する。
 主人公は現代の男子高校生。日本遺産について学校で習っていると、突然周りの同級生らが消え、神話の世界へと導かれる。天地を創造したはずのイザナギ、イザナミが魔物に封印され、歴史が変わろうとしていたのだ。イザナギから神剣を受け取った高校生は魔物と戦いながら、海人族の少女とともに弥生−古墳時代の淡路島を旅する。
 衛星利用測位システム(GPS)機能で、特定の場所を実際に訪れるとレアアイテムがもらえたり、実店舗で使えるクーポンが発行されたりする仕組みも検討。無料でも楽しめるが、日本遺産PRの財源にするために課金制も導入予定だ。
 県や3市などの「淡路島日本遺産委員会」からゲーム開発を受託した「井桁屋」(さいたま市)は、埼玉県内で地方創生RPGを開発した実績がある。高久田洋平社長(39)は「RPGはストーリーを訴えることができる」と指摘。「島であることや、国生み神話によりゲームが作りやすく、観光資源も知名度がある。ゲームを楽しみ、実際に現地に足を運んでもらえれば」と話す。(高田康夫)

■自治体がゲームアプリで地方創生 鍵はバランス
 スマホの普及を受け、観光や子育て、防災などの情報を発信するアプリを展開する自治体は少なくないが、ゲームアプリはあまり例がない。
 兵庫県淡路島のRPGを開発する井桁屋は2016年、さいたま市を舞台にしたRPGアプリ「ローカルディア・クロニクル」を開発。2年半で35万〜40万ダウンロードに達した。これを受け、埼玉県行田市は18年2月に「言な絶えそね−行田創生RPG」をリリース。「地方自治体が初めて開発した本格的RPGアプリ」との触れ込みで、わずか1カ月で1万ダウンロードを突破した。多くの自治体アプリが数百ダウンロードにとどまる中、桁違いの多さだ。
 ただ、開発主体が自治体ということで難しい側面もある。「ゲームとしての面白さ、地域全体のバランスや公平性の両方が求められる」と井桁屋の高久田社長。淡路島を舞台にしたRPGでも、日本遺産発信に力点を置くあまり、教科書的に知識を押しつけてしまえば、ゲームとしての魅力が損なわれかねない。
 「キャラクターに感情移入ができ、ゲームを楽しんだ結果、日本遺産のキーワードが頭に残るゲームを目指す」と意欲を見せた。(高田康夫)

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