非常に強い台風10号　鹿児島県に特別警報　明日は九州に接近・上陸へ

台風10号は勢力を保ったまま、屋久島の西南西をゆっくりと北上しています。トカラ列島と種子島・屋久島が暴風域に入っていて、屋久島では最大瞬間風速が40m/s超、平均でも20〜30m/sの暴風が吹き荒れています。

鹿児島本土や宮崎県も台風の接近とともに風が強まってきて、枕崎市では最大瞬間風速が28.4m/sに達しました。鹿児島市内からも倒木の報告が届いています。

九州電力によると、17時15分現在も奄美地方では昨日からの停電が続き、種子島・屋久島地方や鹿児島本土を含めて鹿児島県全体では1万戸以上で停電が発生中です。

台風は太平洋高気圧の縁に沿って北上を続け、明日29日(木)から30日(金)にかけて九州本土に最接近、上陸する見通しです。ただ、台風を動かす風の弱いエリアを進むため、速度は引き続き上がりません。種子島・屋久島地方では明日29日(木)にかけて、九州本土は30日(金)にかけて広い範囲で暴風が続くとみられます。進路に近い地域では瞬間的に40〜50m/sの猛烈な暴風が吹き荒れるおそれがあるため、飛来物や倒木、トラックなどの横転やブロック壁などの倒壊、停電などに警戒が必要です。

気象庁は鹿児島県に、暴風・波浪・高潮特別警報を発表しました。台風等を要因とする特別警報が発表されるのは、2013年の運用開始から今回が4例目で、2022年台風14号時以来のことです。

今後、これまでに経験したことのないような暴風が吹き荒れ、屋外での移動を伴う避難行動ができなくなるおそれがあります。猛烈な風が吹き始める前に頑丈な建物へ避難し、窓から離れたできるだけ安全な場所で過ごすなど身の安全を確保してください。

鹿児島県以外の九州の各地でも、同様に暴風や波浪の特別警報が発表される可能性もゼロではありません。いずれの地域の方も自治体からの避難情報を確認し、早めの避難を心がけるようにしてください。

また、その後の進路についてはまだ非常に不確実性が大きくなっていますが、週末にかけて台風10号は速度が遅いまま西日本を縦断する可能性があります。停電や、物流への影響などが数日にわたり継続するおそれがあるため、早いうちに備えを済ませるようにしてください。

台風の中心に近い鹿児島県屋久島町北部付近では、15時00分までの1時間に約120mmの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁は記録的短時間大雨情報を発表しました。また、台風の北上に伴い、九州南部や高知県西部にも台風を取り巻く非常に活発な雨雲が断続的にかかっています。


この先も台風本体の雨雲がかかる地域を中心に激しい雨が降り続くおそれがあります。特に、南東からの風が山にぶつかる地域などで雨量がかなり多くなるおそれがあり、九州や四国の太平洋側の多いところではさらに500mm以上、東海でも300mm以上の雨が降る予想です。河川の氾濫や土砂災害等に厳重な警戒が必要です。

台風の動きがより遅くなった場合や線状降水帯が形成された場合などには、総雨量が1000mmに達するおそれもあります。九州ではこれまでの観測史上1位の記録を超えるような大雨となることが考えられる状況です。大雨に関する特別警報が発表される可能性もあります。避難などを行う場合は、荒天になってからではなく、早めに判断するようにしてください。

31日(土)以降は進路の不確実性がまだ非常に大きく、東進できずに紀伊半島付近で迷走する予想のコンピュータシミュレーションも出てきました。この場合、九州や四国西部だけでなく、四国東部や紀伊半島南部でも記録的な大雨になるおそれがあります。

5日先までに台風の暴風域に入る確率が50%以上の府県予報区は以下の通りです。（気象庁）
　広島県　　　　　　　　　　　　61 %
　山口県　　　　　　　　　　　　66 %
　愛媛県　　　　　　　　　　　　69 %
　高知県　　　　　　　　　　　　60 %
　福岡県　　　　　　　　　　　　88 %
　佐賀県　　　　　　　　　　　　86 %
　長崎県　　　　　　　　　　　　94 %
　熊本県　　　　　　　　　　　　99 %
　大分県　　　　　　　　　　　　91 %
　宮崎県　　　　　　　　　　　　85 %
　鹿児島県
　　薩摩・大隅地方（甑島除く）　 100 %
　　甑島　　　　　　　　　　　　100 %
　　種子島・屋久島地方　　　　　100 %
　　奄美地方　　　　　　　　　　100 %

17時40分時点で、特別警報のほかにも宮崎県の一部に土砂災害警戒情報、宮崎県や大分県、高知県、愛媛県の一部に大雨警報や波浪警報が発表されています。今後も九州を中心とした西日本の各地に暴風警報、波浪警報、高潮警報、大雨警報などが発表される可能性があります。台風の進路や進行速度によっては交通機関への影響も拡大し、鉄道の運転見合わせや高速道路の通行止めなどの影響が長引くことが考えられます。

台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。

台風10号の名前「サンサン（Shanshan/珊珊）」は香港が提案した名称で、少女の名前が由来です。

写真：ウェザーリポート（ウェザーニュースアプリからの投稿）