伝統的七夕に、星空のような琥珀糖の作り方

今年の8月10日は、太陰太陽暦(たいいんたいようれき)での7月7日、つまり七夕です。太陰太陽暦とは、月の満ち欠けをもとに太陽の動きも合わせて調整した暦です。日本で明治5年(1872年)まで使用していたため、旧暦とも呼ばれます。

古くから日本人に親しまれてきた七夕行事も、以前は太陰太陽暦による七夕の日に行われていました。現在でも、仙台七夕祭り(宮城県)や安城七夕まつり(秋田県)のように、七夕を太陰太陽暦の7月7日やそれに近い月遅れで行う地域はたくさんあります。

新暦の七夕は梅雨明け前で雨になることも少なくありませんが、旧暦の七夕は年によっても違いますが8月上旬。必ず上弦の月(半月)なので、天の川から織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)を探すのにもよいのです。

七夕をより楽しむのにおすすめしたいスイーツが、「バタフライピーの琥珀糖」。パティシエで富澤商店レシピクリエイターとしても活躍するPanさんのレシピです。

「琥珀糖とは寒天と砂糖を煮溶かして固めた和菓子です。乾燥させる過程で表面の砂糖が結晶化するので、外側はシャリッと中はプルッとした食感をお楽しみいただけます」

Panさんのバタフライピーの琥珀糖は、夜空を思わせる美しい色と宝石のようなきらめきが印象的です。

「天然の食用色素バタフライピーのエキスを粉末状にしたバタフライピーエキスパウダーを使用して着色します。バタフライピーは落ち着いた綺麗な青色に着色出来るのが特徴です。レモン果汁を加えると紫色に変化する特性もいかし、青と紫のグラデーション仕立ての琥珀糖にしました」(Panさん)

レシピを教えていただきましょう。

▼材料(150×150mmのデコレーション角型1つ分)
バタフライピーエキスパウダー1g(水3g)、粉末寒天4g、水200g、グラニュー糖260g、レモン果汁3g

▼準備
・型にクッキングペーパーを敷いておく
・バタフライピーエキスパウダーと水を混ぜ、バタフライピー液を作る

▼作り方
（1）鍋に水と粉末寒天を入れ、バタフライピー液を少しずつ加えて好みの青色にする(※1)
（2）鍋を中火にかけ、ヘラでゆっくり混ぜる。ブクブク泡立ってきたら火を弱め、1分混ぜる
（3）グラニュー糖を加え、ゆっくり混ぜながら煮詰める(※2)。ヘラを持ち上げて糸が垂れるくらいになったら火から下ろす
（4）3の寒天液の4/5量(およそ360ｇ)を型に注ぐ。残りの寒天液にレモン汁を加えてピンク色にする
（5）ピンク色の寒天液を型の3〜4箇所にランダムに注ぎ、竹串で軽く混ぜてマーブル状にする。
（6）スプーンで表面をなでるように泡を集めてすくいとる。20〜30分常温に置き、粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間ほど冷やす
（7）しっかり固まったら型から外す。クッキングペーパーも剥がして、好みの大きさにカットする。そぎ切りやちぎってもよい
（8）7をクッキングペーパーに並べ、風通しのよいところで3日ほど乾燥させる。表面が結晶化してきたら、裏返してさらに3日ほど乾燥させ完成

▼作り方（1）のポイント
寒天液はグラニュー糖を加えると色が少し薄くなるので、色づけは若干濃いめにするとよい

▼作り方（3）のポイント
グラニュー糖は寒天が完全に溶けてから加え、その後はあまり煮詰めすぎないこと。グラニュー糖を早く加えたり液体を煮詰めすぎたりすると、寒天液の粘度が高くなって固まりづらくなる

食べられることが不思議なほど美しい色に仕上がる秘密は、バタフライピーの使い方にあるようです。

「バタフライピー自体には数年前から興味があり、ゼリーなどを作ったことがありましたので寒天でつくる琥珀糖もきっと綺麗な仕上がりになるだろうなとレシピを考えました。

綺麗なグラデーションが出来るよう、寒天生地の青い部分と紫の部分の量の比率や混ぜ方の工程に工夫を凝らしました。完成時は太陽に透かした時の宝石のような輝きにテンションが上がり、思わず写真を何枚も撮ってしまいました。

出来上がった琥珀糖は、ぜひ様々な角度から光を当てて輝きを楽しんでください。また、乾燥の過程で琥珀糖の表面が日々結晶化していく様子を観察するのもなかなか楽しいのでおすすめです」(Panさん)

夜空を思い浮かべて作る過程も楽しいお菓子、ぜひ楽しんでみてください。


レシピ・画像／Panさん
取材協力／富澤商店(https://tomiz.com/)