寒い時期こそ警戒するべき食中毒は?

食中毒は梅雨や夏に多く発生すると思われていますが、厚生労働省の食中毒統計によると、2015〜17年の平均で月別に最も発生件数が多いのは2月の108.7件。このうち71件がノロウイルスによるものです。

例年10〜11月から冬にかけて増える傾向があり、すでに今年10月4日にも名門大洋フェリー「フェリーふくおか2」の船内レストランで長崎県の中学生100人が下痢や吐き気、発熱などの症状を訴え、中学生23人と調理従事者1人からノロウイルスが検出されました。

なぜノロウイルスは寒い時期に多く発生するのでしょうか。

おう吐と下痢が1〜2日続く

ノロウイルスによる食中毒は、原因食品を摂取して24〜48時間後に吐き気、おう吐、腹痛、下痢が1〜2日続いた後に治り、後遺症もありません。

ただし、体力の弱い乳幼児、高齢者は脱水症状を起こしたり、体力を消耗することがあるので、水分と栄養を補給する必要があります。脱水症状がひどい場合は病院で点滴を受けることがあります。

牡蠣など二枚貝が原因になることもありますが、多くは原因食品を特定することができません。というのは、ノロウイルスは10個体内に入っただけで発症するほど感染力が強く、食品の調理中にウイルスが付着したと考えられる事例が多いからです。

低温と乾燥に強いウイルス?

寒い時期にノロウイルスによる食中毒が多発する理由は残念ながら分かっていません。インフルエンザウイルスと同じく低温と乾燥に強いウイルスだからとか、寒い時期は人の免疫力が低下しているからという説もあります。

時間がたった食材の中で細菌が繁殖して食中毒を起こすといった通常のイメージとは違い、新鮮だから安全とは言えません。寒い時期だからこそ警戒する食中毒があるのです。

ノロウイルスによる食中毒を防ぐには加熱が有効です。細菌の場合は75℃で1分以上とされますが、ノロウイルスの場合は厚生労働省が85〜90℃で1分30秒以上の加熱を推奨しています。生野菜の場合は、貯めた水の中ではなく流水で洗う必要があります。

食中毒以外の感染ルートも

ノロウイルスは食中毒以外にも空気感染することがあります。以前、東京のホテルで集団感染した事例では、ホテルの利用客が廊下の絨毯(じゅうたん)におう吐し、ホテルは洗剤による清掃を行ったのですが、それから約1週間にわたってホテル利用者とホテル従業員の計364人がノロウイルスによる感染性胃腸炎(食中毒と同じ症状)を発症しました。

ノロウイルスを含んだ吐瀉物(としゃぶつ)は通常の洗剤では消毒できません。次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)で消毒する必要があります。吐瀉物を拭き取った絨毯が乾き、その上を人が歩くことでウイルスは空中に舞い上がり、それを人が吸い込んで感染が広まったと考えられています。

各地の自治体では流行期に向け、「正しい手洗い、食べ物の熱湯消毒や加熱」などの注意を呼び掛けています。特にカーペットなどにおう吐した場合は、手袋やマスクをした上で、拭き取った吐瀉物などはビニール袋に入れて口を閉じ、カーペットは漂白剤で消毒してください。

これからの季節はノロウイルスによる食中毒と空気感染が増えるので、警戒して正しく予防しましょう。

参考資料など

厚生労働省「食中毒統計」 、大阪府「感染性胃腸炎にご注意!」、北九州市保健福祉局保健衛生部東部生活衛生課「ノロウイルスについて」

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