「地面を掘ったら“異臭”のするドラム缶が…」「操作をミスって、隣のビルを破壊」クソ現場祭りよりもあぶない“ヤバい現場”

 毎年9月にツイッター上で盛り上がる「#クソ現場祭り」をご存じだろうか。建設現場、解体現場、電設現場など、ハッシュタグを使ってさまざまな「現場」にまつわる面白ツイート、悲哀に満ちたツイートを投稿してみんなで楽しもうという企画だ。

【写真】この記事の写真を見る(2枚)

 毎年必ずツイッターのトレンド入りしており、今年の「#クソ現場祭り2021」もトレンド1位を獲得した。なかには「リツイート」や「いいね」の数が万単位に達するツイートもある。

 しかし、現場のハプニングやアクシデントはけっして面白いものばかりではない。実際には「笑えない現場」「ヤバい現場」のほうが多いのだ。複数の現場関係者に取材し、リアルなクソ現場エピソードを集めてみた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

◆◆◆

建築現場の基礎工事で不発弾が出てきて大騒動に

 建設現場や解体現場でよくありがちなのが、建物の基礎を埋めるために地面を掘っていたり、古い建物を壊したりしているときに、“ありえないもの”が出てくるハプニングだという。

©iStock.com

「数年前、わりと大きなマンションを建てるために首都圏のある現場で基礎工事をしていたとき、5メートルほど地下から『不発弾』が出てきたことがありました」と話すのは、建設現場で20年以上働いている中村博文さん(仮名、41歳)だ。

「長さ1m以上、直径20~30cmほどある不発弾で、現場が騒然となりました。その後誰かが110番通報したらしく、警察に加えて自衛隊の不発弾処理隊まで出動し、上空にはテレビ局のヘリコプターまで飛び始めた……。遺跡が出てくることはよくありますが、不発弾は初めての経験なのでビビりました」

地中深くからコンクリートで囲われた“謎の部屋”

 建設会社で現場監督をしている谷賢一さん(仮名、47歳)も似たような現場に出くわしたことがある。もっとも、見つかったのは不発弾ではなく、さらに“いわくつき”のものだった。

「とある皇室関連施設の近くの建設現場で基礎を埋めるために穴を掘っていたとき、地中深くからコンクリートで囲われた“謎の部屋”が出てきたんです。あとから知ったんですが、その部屋は旧日本軍が戦時中に秘密裡につくった作戦室だそうです」

 谷さんら現場は「ヤバいものが出てきた」と大騒ぎになったそうだが、別の意味で真っ青になったのは元請けのゼネコンだ。

「建設現場では毎日数百人が働いています。現場がストップすると、数千万円から億単位の損害が出る。だから、基礎工事中に地中から土器などの遺跡が出てきても、義務づけられている自治体への報告を無視して工事を続ける業者も多いんです。

 しかし、旧日本軍の秘密作戦室ともなると、さすがに当局に報告しないわけにはいきません。案の定、現場が1週間以上もストップし、大損害が出たと聞いています」

山を掘ったら「コンクリート詰めのドラム缶」が

 ヤバいものが出てきた現場はまだほかにもある。解体業者の坂本達彦さん(仮名、37歳)がとある地方の古い建物を解体していると、その建物から「火縄銃が出てきた」のだという。

「大正時代か明治時代に建立された由緒ある建物だったんですが、僕ら解体業者にそんなことは関係ないので、ハンマーなどでガンガン壊していたんですよ。すると、いつの時代のものなのかわかりませんが、錆びついた火縄銃が出てきた。

 解体現場では地面から上のものは持ち帰っていいことになっているので、大切に自宅に保管しています。でも、あとから聞くと、火縄銃は銃刀法の規制対象になっていて、登録する必要があるらしい。どうしたものかと頭を悩ませています」

 きわめつきは、中国地方で土建業をしている山崎健太郎さん(仮名、48歳)が道路工事現場で掘り出した“ヤバいもの”だ。

「山を切り拓いて新しい道路をつくる現場だったんですが、山を掘っていたらコンクリート詰めのドラム缶が出てきた。でも、コンクリートが詰まっているにしてはドラム缶の重量が軽いし、かなり異臭がする。その瞬間、ヤバいと思いました」

 現場の作業員たちは互いに目配せをし、コンクリート詰めにされた「あるもの」を想像したが、親方が下した判断は「見なかったことにする」というものだった。工期が遅れ気味のため、警察を呼んで大ごとにすると作業が止まってしまうからだ。

「結局、土砂崩れなどでドラム缶が再び地表に出てくることがないように、新しくつくる道路の下を深く掘り、埋め直しました。その際は作業員全員でドラム缶に向けて手を合わせました」

 さらにもうひとつ、建設現場や解体現場などの現場につきものであり、絶対に避けられないものが事故だ。

ユンボの操作を誤って、隣のビルの壁を破壊

 前出の解体業者の坂本さんが、自身が遭遇した中でも印象深い事故を語る。

「3階建てのビルを解体する現場でのことでした。その現場は昼間の作業を禁止されていたので、夜間に周囲の状況をあまり把握できないままユンボ(油圧ショベル)を使って解体作業を進めていたんです。すると、ドカーンとすごい音が響いたんですよ」

 坂本さんが現場に駆けつけると、ユンボを操作していた作業員が解体しなければならないビルを間違え、隣のビルの壁にハサミ状のアームを深々と突き刺していたというのだ。

「そのビルには残業中の従業員が何人か残っていたので、『ギャーッ!!』とものすごい悲鳴が聞こえました。ユンボの作業員はペコっと頭を下げて『あ、すみませーん』と軽い調子で謝っていましたが、謝って済む事故じゃない」

作業員が誤って鉄筋の配筋材を落下させる

 ビルの建設現場で起きる事故もかなりヤバいという。鉄骨とび職人(ビルやマンションなどの大型建築現場で建物の基礎となる鉄骨組みを専門に行う)の市川達夫さん(仮名、44歳)は、ビル建設現場であわや大惨事という事故に遭遇したことがある。

「建設現場で鉄筋を組立てていく作業を配筋というんですが、クレーン車を使って資材を下に降ろしていたとき、操作していた作業員がミスって鉄筋の配筋材を落下させてしまったんです。

 僕は地下にいたんですが、ドーンって音が響くとともに『落ちた、落ちた!』と騒ぐ声が聞こえてきた。それで上に行くと、職人のひとりが血まみれで床の養生材の上に倒れている」

 幸い配筋材がかすっただけで大きな怪我ではなかったが、頭から血を流しているので救急車を呼ぶことになったのだという。

実際の現場は「クソ現場祭り」以上にヤバい

「すると、その職人が自分の血をインク代わりにして、養生材に数字を書き始めたんです。ドラマやミステリー映画で犯人に殺された被害者が死に際に残すダイイングメッセージみたいに、自分の家族が待つ自宅の電話番号を……。

 お前の家の番号は知っているから書かなくて大丈夫って言ったんですが、指をプルプル震わせながら必死に書き続ける。怪我をしてかわいそうなんですが、『完全にドラマの見すぎだな』と思いました」

 変なものが地中から出てきたり、あわや大惨事が起きたり、やはり実際の現場は「クソ現場祭り」以上にヤバいようだ。現場のみなさんはくれぐれも事故には注意してもらいたいものである。

(清談社)

ジャンルで探す