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座間9人殺害“死刑確定” 「裏切られて根に持っている」白石と国選弁護人の“対立”

 塀の中も元旦はおせち料理が出るのはよく知られた話。拘置所では「食事が楽しみだ」と「食」にも執着を見せていた男は、死刑が確定する新年をどんな心境で迎えたのだろうか。

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 神奈川県座間市のアパートで9人を殺害したとして、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩(30)の師走は慌ただしいものだった。東京地裁立川支部の裁判員裁判で死刑判決を言い渡されたのが、12月15日。「被害者は殺害に同意していた」と主張してきた弁護人は、18日に判決を不服として控訴した。

 通常なら法廷刑の軽い承諾殺人罪の適用の是非が再び東京高裁で争われるが、白石本人が21日に控訴を取り下げた。判決は年明け早々の1月5日午前0時に確定。死刑判決が一審で確定するのは異例のことだ。

 振り返れば、裁判開始前から白石は弁護人と対立してきた。弁護団は4人で、いずれも国費によって賄われる「国選」。もし弁護方針に不満でも、裁判所が承認しなければ解任は不可能だ。白石の主任弁護人は、労働問題などを手掛けてきた大森顕弁護士。ただ、国選弁護人の報酬は一般的に15万円程度と高くはない。

 罪を軽くしようと試みる弁護人の主張をよそに、検察官の指摘する犯行状況を全面的に認めた白石。弁護人の主張が退けられれば死刑はほぼ確定的だったが、端から裁判の進行には関心がなさそうだった。

「裏切られて根に持っている」白石と弁護人の“攻防”

 昨年9月30日の初公判後、報道陣の取材に「証拠を見て、弁護士としては承諾があったと判断した。残念ながら(白石は)違う主張をする」と嘆いていた大森氏。以降、計24回、77日間に及んだ裁判では、白石と弁護人の“攻防”が重ねられていく。

「白石は被告人質問で弁護人の問いかけの多くを無視。『昼休みに会っている時は普通に話しているじゃないか』などと弁護人が苛立ちを見せると、『起訴内容を争わないということで選任したのに、急に争うと主張した。裏切られて根に持っている』と、突然不満を露わにする場面もあった。弁護人も相当手を焼いたと思います」(司法記者)

事件現場 ©文藝春秋

 結審後、弁護団は「弁護人が常に正しいという思い上がりはない。ただ、この事件で被告の言う通りにしかしない時、死刑で構いませんという弁論になってしまう」と苦しい胸中を明かしている。それでも白石は、最後まで死刑を受け入れる姿勢を崩さなかった。

 判決後、「淋しくなるから獄中結婚したい」と話しているという白石。これまで記者の面会はあっても、家族の面会は一度もなかった。だが、死刑確定後の面会者は弁護人や親族らに限られる。弁護人との溝が埋まらない中、死刑執行を待つ「首吊り士」と結婚する女性は現れるのか――。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年1月14日号)

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