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祖父母から教育資金援助「出してあげたいけれど」の本音

毎年のように値上がっていく子供たちの教育費。少子化が進む現代において、それらは仕方ないことかもしれません。また、少子化だからこそ各家庭のひとりひとりにかける教育費は膨らんでいき「お金をかけている子とかけていない子の二極化」がますます進む傾向に。

ただ、平均的なサラリーマン家庭にもかかわらず、存分の教育費がある家などを見かけることはないでしょうか。ときおり「あの家は実家が太い」という表現を耳にします。夫婦の世帯収入以外である祖父母からの援助。なんともうらやましい話です。それでは、実家がお金持ち=教育資金は潤沢といえるのでしょうか。

「賢い子」は課金可能な家庭?

近年は中高一貫の学校が増えたこともあり、都市部などでは私立の中学への受験の増加傾向が見られます。東京都などは公立小学校を卒業した約18%が私立の中学校へ進むなど、「中学受験」は多くの子供にとって身近なものになっているようです。

中学受験に挑むにあたり、なんといっても要となるのが学習塾の存在です。塾は学校以上に情報を持ち、それぞれにあった対策を講じてくれます。そのため、値段もかなりの額というのが受験生の親たちの間では常識のようです。「小学4年生からの3年間で何百万円」という金額は受験をしない家庭からするととんでもない金額に思えるのではないでしょうか。一般的なサラリーマン家庭では「とても工面できない」そんな家庭も多いはず。それでは、年収が満たない家庭の子は中学受験を目指す中にはいないのでしょうか。

「孫の教育費は惜しみなく」

株式会社ファルボが発表した『中学受験は本当に課金ゲームなのか?「中学受験にかかる費用」実態調査レポート』によりますと、私立中学に通う家庭の72.1%が世帯年収800万以上、52.3%以上の家庭が世帯年収1000万円以上に含まれているとのこと。確かに、私立中学を目指すための通塾代に各種講習費用、入学後に掛かる一連の費用などを考えると、それくらいの世帯収入がなければやっていけない世界というのも理解できます。

ただ、データを見ると、800万円以下の家庭が存在するのも事実。そういった家庭はどうしているのか。そんな疑問に対する答えとして目にしたのが「そういう家庭はだいたい実家が太い」という意見でした。

「実家が太い」という言葉はここ数年インターネットなどでよく使われる表現のようです。「育った家庭が裕福で実家の両親が経済的に豊かな暮らしをし、その子供である親たちも恩恵を受け恵まれた暮らしをしている」といったニュアンスで使用されることが多い言葉です。

現在子育て世代といわれる30代・40代の親たちは好景気に恵まれ、定年まで安定して仕事をしてきた人も多く、中には「現役で働いている息子や娘より企業年金のほうが多い」という驚きの家庭も。

そんな祖父母たちの中には我が子以上に孫の教育に熱心になる人もおり「お金が足りないのであれば自分たちが出すから経験させてあげなさい」というように孫たちへの投資を惜しまず、その結果、親たちの年収に関係なく通塾や私立学校への通学が可能になっているというのです。

豊かな老後なはずが…

実際友人から「祖父母からの教育資金の援助という必殺技」を耳にしたというTさん。実家との関係は良好で、普段から孫への衣類や旅行をプレゼントされていたため「できるならそういったものより習い事代を出してほしい…」と思うようになったそうです。

Tさんの実母は孫の学校での話を聞くのを楽しみにしていたため「都会の子供は私立の学校にいくことでかなり選択肢が広がるようだ」と話を思い切ってしたそうです。すると孫の成長を楽しみにしている実母からは「そういった環境で学ばせてあげるのもいいかもしれない」という賛成寄りの返事が。そこで「うちくらいの収入だと、親たちの実家の援助がないと現実的に不可能である」ということ、周囲は実際金銭的援助を受けていることを話したそうです。

すると、それまで肯定的だった実母は深く考えた末、「確かにあなたが言うようにお金をかけてあげれば今は明るい進路が開ける時代なのは理解したわ。そして、現役世代が金銭的に苦しい時代なのもわかっている。私たち夫婦が今あるお金を出してあげられないことはない。だけど、それはお互いに幸せな未来なのか考えてみたい」

実家への援助を思い切って打診したTさんに、お母さんはやんわりと「お金はあるけれど出せない」ことを告げたそう。その理由は実母なりの長期的な考えがありました。

Tさんは一人っ子で、結婚後は夫の姓に。Tさんの実母は「遠く離れて住んでいるうえ、嫁いだ娘に老後面倒を見てもらわないつもりでいる」と前々から話していました。Tさんとしては実の両親に何かあった際には助けたいと思ってはいましたが、高齢出産だったTさんの子育て期間と両親の不自由な老後は今後重なる可能性があります。

「子供たちが人生の岐路に立つタイミングで、自分たちの介護で迷惑をかけたくない。それはいくらかかるかわからないため、蓄えは崩せない」

それが、資金援助を打診したTさんへの実母からの率直な返答でした。「孫がかわいいのであれば有り金をはたいてくれるのが愛情では」と心のどこかで思っていたというTさんでしたが「先々のことまで考え、長い目で見て私たち家族が幸せでいられるように考えてくれているんだな」そう感じたそうです。

祖父母にも祖父母の暮らしが

自分たちに比べ、豊かな生活レベルに見える祖父母世代。一流企業で定年まで安心して働けていた世代は、現代の子育て世代から比べるとかなりの「勝ち組」に見えます。

とはいえ、祖父母たちにも人生のプランがあり、過去のような「老後は長男夫婦に世話になる」という考え方は減り、そのための貯蓄を真剣に考えている家庭も増えている様子。ちょっとした孫への出資は惜しまないけれど、お互いのライフプランを崩す関係にはならない。今回のケースはそれが祖父母世代の返答だったようです。

「私立受験は親の年収次第」といわれがちです。そんな中で例外として一番あげられるのがこの「実家がお金持ち」というパターンです。代々続く資産家という家庭の場合は、こちらから頼まずとも出資してもらえることが多いかもしれませんが、Tさんのおうちのように今後何年生きるかわからない中で「目先の援助ではなく、先のことを考え出さない」という結論もある種思いやりといえ、家族を思う大切な心なのかもしれません。

実際に老後資金も潤沢で、孫に回せるお金も有り余っている「本当に太い実家」の家もあるかもしれませんが、なかなかそういった恩恵を受けられる人は一部。華やかな話は目立つため、こういった話は特に「隣の芝生は青く」感じてしまうかもしれません。しかし、背伸びをしてどうにか子供に課金することを考えるよりも、自分たちの身の丈にあった方法でやりくりをし、長いスパンでお互いが困らない生活を維持していくことというのも家族にとって幸せな選択といえるのではないでしょうか。

参照

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