「迷惑撮影」対策で幕設置の「富士山ローソン」はいま…「観光客が激減」地元飲食店があげる悲鳴

ローソン河口湖駅前店。左上に雲がかかった富士山が見える

 

「昨日(7月25日)、あの黒い幕を茶色に替えたんですよ。午前中から作業が始まりました。町としては、黒より茶色のほうが景観上、いいと思ったのでしょうが、幕の色の問題じゃない。すごくダサいし、ここは観光客でもっている町です。ほかに方法がないのか。幕が設置されてよかったなんて思っている地元の人は、だれもいないんじゃないですか」

 

 そう語るのは、山梨県富士河口湖町の住民だ。

 

 

 コンビニの上に鎮座するような富士山を撮影できると、人気スポットになった「ローソン河口湖駅前店」。道路を挟んだ歯科医院前の歩道が最高の撮影場所になっているため、同医院の敷地内に多くの観光客が押し寄せ、問題になっていた。そのため、町は5月21日に富士山を見えなくする幕(高さ2.5m、幅20m)を設置。町が多言語の注意書きを掲示したり、警備員を派遣したりしても事態が改善しなかったことによる措置だった。

 

 幕の設置後は、何らかの進展はあったのか。近隣の飲食店関係者はこう話す。

 

「この場所は、コロナ禍が明けた2023年10月ごろから、ドッと海外の観光客が増えました。台湾の歌手がSNSで取り上げたことがきっかけとなり、一気に話題になりました。たしかにピーク時はすごい人でしたよ。ローソンの前で、人が押し合いへし合い状態でした。ところが、町が幕を設置してからは、観光客が激減。ローソンは河口湖駅から歩いて2分の場所ですが、訪れる人はほとんどいなくなりました。お店でも、雇っていたアルバイトの人に辞めてもらいました。まるでコロナのときみたいですよ。町は幕を設置するのではなく、きちんと撮影場所を設ければいいと思います」

 

 ちなみにこの飲食店関係者は、町に対し幕の撤去を陳情したという。しかし町としてはその考えはなく、意見を聞いてもらえなかった。

 

 別の飲食店でも、店内はがらんとした様子。

 

「幕が設置される前は、全席、埋まっていましたけどね。季節の関係もあると思いますが、やはりお客さんはかなり減りました」

 

 はたして町は、いつまで幕を設置するつもりなのだろう。

 

「以前に設置していた黒幕は目が粗く、穴が開いたり、破れていたりしたので、今回はより目の細かい幕に変えました。幕はずっと設置するわけではなく、一時的なものです。現在は円安で、外国からの観光客も多いので、状況が落ち着いて、人が集まらなくなったら撤去しようと思っています」(河口湖町都市整備課)

 

 河口湖町の渡辺英之町長は、7月26日の会見でこう述べていた。

 

「黒はイメージがよくないので、茶色に変えた。穴を開けるのはやめてもらい、富士山がきれいに見えるほかのスポットに足を運んでほしい」

 

 迷惑を感じる住民もいれば、観光客がいなくなることを望まない住民もいる。解決には高いハードルがありそうだ。

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