「中国産のほうが高価」「でも日本産はほぼない」土用の丑の日 “円安買い負け地獄” でうなぎ店の悲鳴

丑の日に向けて、次々うなぎを焼く男性(写真・時事通信)

 

 梅雨が明け、記録的な猛暑日が続く日本列島。“夏バテ” を防ぐため、栄養価の高いうなぎを食べて酷暑を乗り切る習慣で知られているのが「土用の丑(うし)の日」だ。

 

「立春、立夏、立秋、立冬の前日までの約18日間を、それぞれ “土用” と呼んでおり、夏の土用の期間にある丑の日が “土用の丑の日” ですね。日にちはその年によって異なり、2024年は7月24日と8月5日です」(経済担当記者)

 

 

 一年で最も繁盛するシーズンに向けて大忙しのなか、東海地方にあるうなぎ店の店主はこう話す。

 

「2023年は、土用の丑の日が休日とかぶっていたので、寝る暇もないくらい忙しかったんですよ。今年は平日ですから、数日にわたってお客さんが分散しそうです。8月にも『土用の丑の日』があるので、売上に期待できそうです」

 

 客入りには満足だが、手放しで喜べない事情があるようで……。

 

「円安の影響で、7月に入って国産と中国産のうなぎの価格が逆転したんです。時期にもよりますが、今まではだいたい1kg5000円前後で国産うなぎを仕入れ、中国産はそれより600〜1000円ほど安く仕入れていました。それが、国産の値段はそのままで、中国産が100円前後高くなってしまったのです。

 

 夏のシーズンは、愛知県の “一色産うなぎ” が、皮が柔らかく脂のノリがいいと言われています。他の国産うなぎは、その状態になるまでもう少し時期を要しますからね。

 

 ただ、一色産うなぎは数が限られていて、そもそも入手しづらい。そこでうなぎ業界では、それなりの品質になってきた中国産が重宝されてきました。

 

 しかし、それが今では国産よりも高い……。お客さんがたくさん来てくれても、そのぶんの利益が全然確保できないんですよ」(前出・うなぎ店店主)

 

 中国産より国産のほうがブランドイメージは高く、現在では争奪戦となっているという。

 

「土用の丑の日ぐらいは奮発して “国産” にこだわりたいと思う消費者も多いです。しかし、今年は稚魚のシラスウナギが大不漁。市場では激しい争奪戦になっています」(うなぎの卸売業者)

 

 円安による日本の “買い負け地獄” は深刻だ。

 

「牛肉、豚肉、オレンジジュースーー。ありとあらゆるものが日本円からすると高価になっていて、国際市場で “買い負け” している状態です。かといって、国産品が急激に増産できるわけでもありません。今の円安状態が続けば、家計にとっては大ダメージでしょう」(前出・経済担当記者)

 

 これじゃ夏バテしてしまう……。

ジャンルで探す