「お金持ちのもの」になる? ディズニークルーズ日本就航に「パークを値下げして」ファンの複雑な心境

ディズニークルーズ就航を発表したオリエンタルランドの幹部たち(写真・時事通信)

 

「#ディズニークルーズ」

 

 7月9日、オリエンタルランドが日本就航を発表したことで、Xでは「ディズニークルーズ」が即トレンド入りを果たし話題を呼んだ。

 

「同社はこれまで、東京ディズニーリゾート(TDL)のテーマパークとホテル事業を中心としてきました。今回、さらなる事業拡大を目指し、豪華客船でディズニーの世界観を体験できるクルーズ事業を開始することになったのです。2025年に造船を開始し、2028年に首都圏を中心に運航開始する予定です。総投資額約3300億円を見込んでいます」(エンタメ誌ライター)

 

 

 気になる豪華客船は、約1250部屋が備えられた大型客船を予定しており、約4000人の収容が可能。首都圏の港を発着する2〜4日の短期運行でスタートする見込みだという。

 

「ディズニー発祥の地である米国では、すでに1998年から地中海やカリブ海を中心にめぐるディズニークルーズが5隻、運航しています。こうしたビジネスモデルを参考にしたのでしょう。船内では、パークと同様の非日常感が味わえるショーや、キャラクターとふれあえる『グリーティング』が開催される予定で、プールも建設されるそうです。まさに“夢の船”ですよね。費用はひとりあたり10万円から30万円の予定です」(同前)

 

 この“吉報”に喜ぶのは、熱心なディズニーファンだ。2カ月に一度はTDLに足を運ぶという都内在住・20代会社員の女性はこう語る。

 

「ディズニークルーズといえば海外のイメージで、正直、手が届かないものだと思っていました。日本で就航すると知って、夢かと思いましたよ(笑)。いま“本体”であるテーマパーク自体が人気すぎて、入場人数の制限をしている状況です。クルーズが始まったら、まさにチケット争奪競争になるでしょうね……。チケット代に加えて、船内のショップではお土産も高いでしょうから、いまから節約して貯金しておこうと思います」

 

 その一方で、今回の発表に複雑な表情を浮かべる人もいる。ディズニーファン歴約10年で、4年間のクルーとしても働いた経験を持つ都内在住・20代の別の女性だ。

 

「費用面で見ると、オフィシャルホテルに泊まるのと比べれば、コスパはいいと思いますが……テーマパークでは、グリーティングで写真を撮れるのは1グループにつき1度だけと決まっています。もしクルーズ船も同じならば、3泊4日は意外と暇かもしれませんね。

 

 それに、ディズニーのチケット代は年々、値上がりしていて、現在は変動価格制を導入しています。1デーパスポートの大人料金で、7900円から1万900円です。開業時は大人ひとり3900円だったそうですから、2倍以上も高くなっているんです」

 

 不満はまだまだある。

 

「以前は年間パスポートもあったのですが、コロナ禍を理由に廃止されて、現在も復活していません。2024年6月7日に行われた株主総会では、年間パスポートの復活については『未定』と答えました。食事代やグッズの値段もどんどん上がっています。クルーズ事業に3300億円かけられる余裕があるのであれば、少しでもパークを値下げして、気軽に行けるようにしてほしいです。ディズニーが、お金持ちのためのものだというなら、仕方ないですけど……」

 

 必要なのは“夢の船”の建造ではなく、“夢の国”の改革かもしれない。

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