「この世の地獄」ススキノ首切断事件、無罪を訴える両親に専門家が指摘「親子関係を壊したくない “エゴ” ですよ」
2023年7月、札幌・ススキノのラブホテルの一室で、全裸で頭部のない死体が見つかった「札幌首切り事件」。
逮捕された親子3人のうち、母親の田村浩子被告の第2回公判が、事件から約1年が経過した2024年7月1日、札幌地裁でおこなわれた。
「検察側は、娘の瑠奈被告が殺害後に持ち帰ってきた被害男性の頭部について、浩子被告は自宅に置くことを容認したと主張しています。さらに、頭部損壊の様子をビデオ撮影することを瑠奈被告に言われた際、浩子被告は夫の修被告に代わりを頼んだことなどが死体遺棄と損壊のほう助に当たるとして起訴しました。
一方、弁護側は、浩子被告が自宅に頭部が置かれたまま過ごしていたのは間違いないものの、頭部を隠し持つことを容認した発言はしておらず、ビデオ撮影に関しては、何の撮影かわからないまま、抽象的に修被告に依頼したとして『無罪』を主張しています」(社会部記者)
第1回公判では、あまりに異常な瑠奈被告との家族関係、そして自宅の浴槽に皮を剥がされ “赤くなった人間の頭部” を目の当たりにして「この世の地獄がここにある」と絶望した様子を語った浩子被告。
「第2回めの公判では、修被告が弁護側の証人として出廷しました。浩子被告との夫婦仲は良好だったこと、瑠奈被告のなかには『シンシア』という名前の別人格が存在しており、シンシアは血縁関係のない姉という設定であったなどと語りました。
修被告は、シンシアの妄想上の恋人『ジェフ』と自宅で結婚式をあげた際も、参列という形で座って見守っていたことを明かしました。
『瑠奈』という人格は10年以上前に亡くなっており、その名前で呼ぶと怒られたとも話しています。通報できなかった理由は、『警察に突き出したら娘を裏切ることになる』と考えたからだそうです」(前出・社会部記者)
徐々に明らかになっていく、あまりに異常な親子の関係ーー。はたして、浩子被告は無罪を勝ち取る可能性があるのか。そして、なぜ両親は瑠奈被告の凶行を止めることができなかったのか。
犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はこう解説する。
「浩子被告は、ビデオ撮影について『何を撮影するか聞いていなかった』と言いますが、自宅がどういう状況であるかわかっていたわけですから、死体遺棄や死体損壊を手伝っていると言えると思います。それを無罪にするのは、かなり無理がありますね。ただ、弁護側の戦略として、まず最初に無罪を主張するというのも当然です。
両親は、『自分の娘が異常な行動を起こすかもしれない』と、危惧していたからこそ、被害男性に『もううちの娘に会わないでくれ』と言ったわけでしょう。
ここで問題なのは、他人には言えるのに、娘には言えなかったということですよね。常識的に考えたら、すでに破綻している家族関係を、この両親は『破綻させちゃいけない』と、まだ思い込んでいたんです」
だが、その結果は家族関係の破綻どころでなく、ひとりの人の命を奪う結果となった。
「もちろん、いちばん責任があるのは瑠奈被告でしょう。しかし、娘との関係性を壊したくないと思い、向き合うことを避けてしまった両親の責任も少なからずあると感じます。
“親のエゴ” も原因の一端です。それに、事件が起きた後も、娘をどうすればいちばんいいのか考えれば、一緒に出頭したり弁護士に相談して警察に来てもらったりといった手段も取れたはずです」
浩子被告の第3回公判は8月30日。証人尋問で再度出廷が予定されている修被告の口から、どのような真実が語られるだろうか。
07/04 08:15
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