【ボロ儲け】立民・泉代表、岡田幹事長は利益率94%超…労組主催“隠れ蓑”政治資金パーティーで5500万円もらった議員も
「そう思われても仕方ない」
5月28日、立憲民主党の岡田克也幹事長(70)は、定例記者会見で認めた。
同月20日に政治資金パーティーを全面禁止する法案を国会に提出しながら、自身のパーティー開催を予定していたことに、党として“本気度がないのでは”と問われたのだ。
「岡田さんですら、パーティーを開かないと政治活動を維持できないということでしょう。しかし、この状況での岡田さんのセンスのなさは、信じがたいと言わざるをえません」
そう語るのは、政治資金問題の第一人者である日本大学の岩井奉信名誉教授だ。
「パーティーを全面禁止しようとしているのは立民だけ。たとえば維新からは、法案が成立しない前提で、自民党が受け止められない“高めの球”を投げ、政局を有利に進めようとしているだけだと受け止められています」(同前)
政治資金パーティー問題は、自民の派閥がパーティー収入を適切に政治資金収支報告書に記載せず、「裏金化」していたことに端を発する。
立民の江田憲司衆院議員(68)は当時、《利益率が極めて高いものは、「形を変えた企業・団体献金」ではないか》と、国会で違法性を指摘している(1月31日の質問主意書)。岸田文雄首相の2022年のパーティーは、利益率が約90%あったことで批判を集めた。では、江田氏の所属する立民はどうだろうか。
岡田幹事長が2022年5月におこなった「大阪政経セミナー」(5月27日に開催を予定し、中止したパーティーと同じもの)の利益率は90.9%、同年12月の東京開催のパーティーで94.1%の利益率を上げている。泉健太代表(49)が都内でおこなったパーティーも同年4月に94.2%、9月に93/1%という高利益率なのだ。
だが、それ以上に“ボロ儲け”する議員が、同党にいる。
2022年に初当選した鬼木誠参院議員(60)は、自身が代表を務める後援会名義で、候補者時代の2021年と2022年にパーティーを開催している。利益率はそれぞれ97.4%、95.1%だ。
鬼木議員は、地方公務員の労組「自治労」(全日本自治団体労働組合)出身で、当選前は本部書記長を務めていた。
パーティー券は、自治労本部と鬼木議員の出身母体である福岡県自治労が各150万円、そのほかの各県本部が30万円程度を購入している。
ある若手の政治資金の研究者に、鬼木議員のパー券の購入者リストと、収益表を見てもらった。
「1990年代の政治資金規正法改正で、企業・団体による政治家個人、資金管理団体への献金は禁止になりました。しかし、パー券購入は、政治家が支部長を務める政党支部への献金と同様、“実質OK”なんです。違法ではないのですが、『単一の企業や団体から資金を集めるのではなく、幅広く国民の“浄財”を集める』という法改正の趣旨を逸脱していると思います」
一方、鬼木議員の2022年のパーティーで、支払いが20万円未満だった不開示者の1人あたりの支払い金額を算出すると、平均10万円超となる。パー券の相場である一枚2万円を大きく上回る金額だ。
「10万円という金額を見ると、全国の自治労や関連団体がまとめ買いしてるんでしょうね」(前出の岩井名誉教授)
鬼木誠事務所に問い合わせると、「国会議員になる前のことで、事務所として把握しておらず、法的には開示義務がないもので、コメントする立場にない」と回答した。
そんな鬼木議員には、巨額の資金を提供する「全日本分権自治フォーラム(以下、フォーラム)」という自治労関連団体もバックについている。
政治資金規正法では「その他の政治団体」に分類されるフォーラムは、2021年に1600万円、2022年に1000万円を鬼木議員に寄付している。その資金源は、公開されている直近10年間で、10回開いているパーティーだ。
利益率は93.2%から最高98.8%にもなり、集めた金額は総額1億8636万円。総収入の87.5%を占めている。では、集めた資金の使い道は何だろうか。
本誌はフォーラムが集めた資金を提供したおもな国会議員のリストを作成。パー券購入、陣中見舞いなどの名目で、直接または資金管理団体や関係政治団体、政党支部などを通して120人以上に計1億3781万円をばらまいている。
リストでは赤松広隆元衆院副議長(900万円)など、1000万円近くの提供を受けた引退議員を除いたため、2人の存在が際立っている。
5500万円を受け取った岸真紀子参院議員(48)は、2位の鬼木議員(3250万円)と同様、自治労の組織内候補だ。立民の前身である民主党に勤務経験のある政治アナリストの伊藤惇夫氏が語る。
「立民の最大勢力は、旧社会党系の派閥『サンクチュアリ』です。自治労の支援を丸抱えで受けている議員とも多くが重なり、私が民主党にいたころも、党の方針に大きな影響を与えていました。特定の組織から資金提供を受けていたとしても現行法的には問題はありませんが、今回のように実態が表面化した場合、有権者からどう見られるかというのは、また別の問題でしょう」
岸議員と鬼木議員に、今後もフォーラムの支援を受ける方針かを質問すると、「個別の団体からどのような支援を受けるかについて、お答えすることは差し控えさせていただきます」と、同じ回答があった(党本部は「お答えする立場にありません」と回答)。
自治労には、立民がパーティー禁止法案を提出するなか、フォーラムが高利益率のパーティーによって資金提供を続けることの是非を尋ねた。
「立憲民主党の政治資金パーティーを全面禁止する法案については、我々が関知するところではありません。全日本分権自治フォーラムにおいては、現行の政治資金規正法の規定にのっとって、適切に運営されているものと認識しております」
“隠れ蓑”のパーティーは続きそうだ。
一方、東京都知事選挙に立候補する蓮舫参院議員(56)の擁立に一役買ったのが、候補者選定委員である市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の菱山南帆子氏だ。
市民連合は、野党共闘のための政策調整や、選挙協力を提言する団体で、幹部には自治労出身者もいる。
「2015年の設立当初は、安保デモで注目されたSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が運営に携わっていましたが、今は市民団体『総がかり行動(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)』が主導しています」(市民連合関係者)
市民連合は2016~2022年に22回のパーティーを実施し、平均利益率は93.1%。そのパー券の79.3%を購入しているのが「総がかり行動」だ。
「市民連合」の運営を担う「総がかり行動」がわざわざパー券を買う理由は、政治資金規正法では「その他の政治団体」である市民連合への「団体寄附」は違法となるため。“実質OK”な方法で、資金を移動させているのだ(2団体に問い合わせたが、無回答)。
だが、一つ問題が生じる。「総がかり行動」を構成する「憲法共同センター(憲法を守り・いかす共同センター)」(共同代表者は同一人物)には、日本共産党が直接年間180万円を拠出し、同党が240万円を拠出する「憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)」もセンターに分担金を払っている(2022年)。
共産党の田村智子委員長(58)は江田議員同様、岸田首相の高利益率のパーティーを「利益率が9割ですよ。これ、パーティーとしての対価性なんか、ないんじゃないですか」と批判している(2023年11月28日、参院予算委員会)。
憲法共同センターに提供した資金は、市民連合のパー券代になっていないか。党本部に見解を聞いた。
「憲法会議や憲法共同センターには、規定に基づいて分担金や会費を納めていますが、使い方については、任意団体である各団体が決めることです。なお、日本共産党が納めた会費や分担金が、総がかり行動実行委員会を通じて市民連合に流れたという事実はないものと承知しています」
そして、市民連合が高利益率のパーティーをおこなっていることには、こう回答した。
「市民連合は政党とは違います。自立した団体であり、財務状況などを日本共産党として評価することはしません」
パーティー三昧の野党共闘。「全面禁止」が空疎に響く。
※詳細な調査結果は蒲生氏のウェブサイト「Education for Tomorrow」で順次公開
調査/取材/文・蒲生諒太(立命館大学研究員)&本誌取材班
06/04 21:00
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