勤務中に「レンチン」で処分の大阪市水道局職員、4カ月後に報道の不可解に作家が抱く「薄気味悪い相互監視?」

大阪市水道局(写真・AC)

 

「勤務時間中に昼食用弁当をレンジでチン 大阪市水道局が60代男性職員を処分」。3月7日に流された「ABCニュース」の記事が大きな反響を呼んでいる。

 

 記事によると、60代の大阪市職員が2022年4月から2023年6月までの間、計188回にわたって、昼休み前の勤務時間中に、昼食として持参した弁当を給湯室の電子レンジで温めていたという。2023年4月に「毎日、勤務時間中の午前11時15分くらいにお弁当を温めている」などの内部通報があり、水道局は調査を開始。

 

 

 さらに、この職員は2022年4月から2023年1月までの間、毎日のように、終業時間の約30分前にノートパソコンの電源を落とし、5分前には帰宅準備をしており、上司から注意を受けていたという。2023年11月、男性職員は一連の行為を事実と認め、市水道局は職員を文書訓告処分とした。

 

「どうしてこんな微々たる事件をわざわざテレビが取り上げるのか」と、素朴な疑問を呈するのは、作家の盛田隆二氏だ。盛田氏は、この記事についてXに投稿した。

 

「すでに昨年11月に処分を受けているのに、4カ月も経って大々的にテレビで報道されてしまった。職場の誰かが、それでも納得がいかずにリークしたのでしょう」(盛田氏)

 

 そこで、市水道局に問い合わせると、一連の報道は事実で、公務員の「職務専念義務」に違反する行為だと認め、以下のように続けた。

 

「当該職員はその後、通常どおりに勤務し、怠慢などもありません。こうした信頼を損ねる行為があったことについては、たいへん申し訳なく思っています。目下、信頼回復と再発防止策に取り組んでいます」

 

 男性が反省の弁を述べたかどうかも確認したが、「本人自身のことなので回答は差し控える」と、担当者は回答した。男性職員の職務内容が不明なため「通常どおりに勤務」の実態は不明だが、もしそのとおりなら、盛田氏が指摘するように、なぜ処分から4カ月も経過してから、ニュースが報じられたのか。盛田氏は続ける。

 

「電子レンジの件や、前倒しで仕事を終えようとした件だけでなく、それ以外にも職場のチームワークを阻害する行為があったのかもしれない。だけど、職場内で解決できず、外部に漏らしたわけでしょう。これ以上の情報が出ないのでわからないけど、役所内の相互監視体制が見て取れ、そこが薄気味悪いんですよね」

 

『働かないおじさんが御社をダメにする』などの著書がある作家で、相模女子大学社会起業大学院特任教授の白河桃子氏はこの件を受け、慢性的な「役所の人手不足や人事制度にも原因がある」と説く。

 

「みんな一丸となって働いているなか、マイペースな人がいると、チームの和は乱れるでしょうね。問題の男性の職務はかなりルーティン化しているんじゃないでしょうか。役所が典型ですが、日本の働き方は属人化しやすく、共有されないから、たとえば、余った時間を後輩のサポートに充てる、といったこともしないのでは。まぁ、あまりそんな意志はこの方の態度からは感じられませんが(笑)」

 

 白河氏はまた、長年、役所で勤めてきた男性職員の「あきらめ」が、一連の行為から感じられるとも語る。

 

「かつてはこの方もモチベーションを持って、一生懸命、働いてきたのかもしれない。しかし、50歳ぐらいでその先が見えてしまい、働き手の意欲が下がるのが日本の組織の構造。いくらがんばっても報われないと内心、思っているのが、つい行動に出てしまうのでは。やはりこの部署の上司のチーム・ビルディングが問われるべきでしょう」

 

 いちばんいいのは、監視などされなくても、それぞれがきちんと仕事を全うする職場なのだが……。

 

文・鈴木隆祐

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