「派閥解散」表明で岸田首相が見せた「薄ら笑い」元議員が解説する「“雇われ店長”の呪縛からの解放」

1月18日、記者団の質問に答えた岸田文雄首相の顔は、笑みを浮かべているように見えた(写真・時事通信)

 

 1月18日、岸田文雄首相は、宏池政策研究会(岸田派)の解散検討を表明した。

 

「岸田さんは、官邸に断続的に呼び込んだ宏池会(岸田派)の幹部議員に、『国民の信頼回復のため、宏池会は率先して解散すべきだ』と伝えたそうです。率先ということは、ほかの派閥にも解散を促したということでしょう」

 

 そう明かすのは、宏池会に所属した経験もある、元議員だ。

 

 

 岸田首相が解散を表明した宏池会は、1957(昭和32)年に池田勇人元首相が設立した、自民党内では最古の派閥。各派が毎週木曜日にそれぞれの集会を開くのも、宏池会の前身とされる木曜研究会を踏襲したものだという。

 

 まさに「派閥のなかの派閥」といえる名門派閥を今回、自ら決断で解散させるのは、清和政策研究会(安倍派)に端を発した、政治資金パーティー代金を使った派閥の不正会計問題が、安倍派と志帥会(二階派)の2派閥だけでなく、岸田首相が2023年12月まで会長を務めていた宏池会にまで広がった危機感とされる。東京地検特捜部は1月19日、安倍派と二階派の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反で在宅起訴したほか、宏池会の元会計責任者を略式起訴している。

 

「安倍派、二階派までは織り込み済みだったにしろ、自派の元会計責任者まで東京地検特捜部が立件する方針だったことは、寝耳に水だったようです。前日に『事務的ミスの積み重ね』と釈明してしまったことで、他派の不祥事と高をくくっていたのが、自分にも振りかかってしまい、岸田さんもあわてたのでしょう。会見後には、『ほかに言いようがあるか』と、周囲に嘆いていたそうです」(同前)

 

 報道を受け、SNSでは《これはすごいことかもしれない。全部派閥は廃止になる。岸田の英断だ》などと称賛する意見がある一方、《また検討か。実行してから言え》など、批判的な意見もあがった。さらに、《岸田派解散についても笑顔会見なのが凄いし怖い》という、会見での岸田首相の「薄ら笑い」にも見える表情に、違和感を持ったという意見もあった。前出の元議員が、岸田首相の笑顔の意味をこう推察した。

 

「岸田さんは宏池会のプリンスと呼ばれ、早くから派閥の首相候補として推されていたわけですが、閥務の権限は、いまも引退した古賀誠さん(元自民党幹事長・宏池会会長)が握っています。事務局も、古賀事務所のスタッフです。つまり、ずっと“雇われ店長”状態だったんですよ。以前ほどではないにしろ、いまでも定期的に古賀さんとは会合を持たされているはずです。宏池会を解散すれば、古賀さんの呪縛もなくなる。解散の手続きも古賀事務所の仕事です。志公会(麻生派)や平成研究会(茂木派)の反応は心配でも、むしろ、せいせいしているのがいまの本音なんじゃないですか」

 

 自らも派閥の“呪縛”を感じていたゆえの、安堵の表情だったということか。

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