安倍元首相死去で進む「菅義偉」の復権…極秘会談から始まった “菅派” の足場固め

 

 安倍晋三元首相の突然の死去により、自民党内で菅義偉前首相の復権が進みそうだ。菅氏は岸田文雄首相と距離を置き、非主流派と位置づけられながら、7月の参院選では、応援弁士として人気を集め、存在感を見せつけた。

 

 計画していた「菅派」立ち上げの時期が見通せない一方、9月上旬に予定される内閣改造・党役員人事で菅氏の要職起用が取り沙汰されている。

 

 

「菅氏は7月13日のBSテレビ番組で、安倍氏の死去を念頭に『こういう状況になったので考えるところがある」と述べ、かねて検討していた勉強会の開催を当面見送る考えを明かしています。安倍氏の死去を受けて党内バランスが崩れるなか、政局的な動きを避けたとみられています。

 

 一方で、菅氏が公明党の支持母体・創価学会と築いてきた信頼関係を、岸田首相も無視できません。参院選でぎくしゃくした公明党との関係を、菅氏を要職で登用すれば修復できる。

 

 また、参院選で菅氏が支援した神奈川選挙区の三原じゅん子氏や東京選挙区の朝日健太郎氏は、三原氏が約81万票、朝日氏が約92万票を獲得してトップ当選。菅氏の力を見せつけた。麻生太郎副総裁は続投の方向で調整しているため、菅氏を人事でどう扱うかが最大の焦点となっています」(政治部記者)

 

 最近になって、一時、健康不安説も取り沙汰された菅氏だが、菅内閣がコロナ対策でワクチン接種を積極的に進め、携帯電話料金の値下げ、不妊治療の保険適用を実現させた成果がいまになって評価されていることに満足げだという。

 

「民間の講演会なども積極的に引き受けています。最近は健康を気にされてか、奥様が帯同することも多いのですが、これは菅さんの気分が高揚しているときの特徴です。

 

 自分でも『講演会の出席者から(ワクチン接種の推進について)ありがとう、と言われることが多いんだ』と、周囲に嬉しそうに語っているそうです」(自民党中堅議員)

 

 安倍元首相の死去に憔悴した様子を見せていた菅氏だが、布石はしっかりと打ってきた。本誌は2022年5月、菅氏と麻生氏との極秘会談を報じている。米国のバイデン大統領が来日した5月23日、菅氏は麻生氏と2人きりの会食をおこなった。

 

 もとより “不仲” として知られる2人。さらに2022年に入って佐藤勉氏が、ほかの議員を連れ立って麻生派から離脱してもいる。佐藤氏は菅氏の勉強会発足の中心人物と見られ、そのことも不仲に拍車をかけていたことから、この会食に自民党内や永田町は騒然となった。

 

 菅氏に近い議員は「腹の内」をこう推測する。

 

「内閣改造を目指して河野太郎氏の幹事長就任を打診したところ、河野氏の派閥の領袖の麻生さんが首を縦に振らなかった。このことで菅政権は退陣に追い込まれたわけですから、菅さんにとっても麻生さんは因縁の相手です。

 

 しかし、麻生さんは岸田(文雄)首相のいわば後見人で、内閣ポストの決定にも影響を持つ人物です。それで、グッと堪えて、関係を構築することを選んだのでしょう。

 

 というのも、“菅派” とされる議員には4回生が多く、派閥がなくとも自身を支えてくれる議員たちに、親分としてはせめてポストだけでもあげたいもの。参院選後の内閣改造で、副大臣や政務官のポストを割り当ててもらいたいからなんです」

 

「菅派」の立ち上げは見送ったが、菅氏を慕う議員は20~30人といわれ、一定の影響力を保持している。

 

「わざわざ麻生派を抜けた佐藤さんには悪いが、“菅派” の結成を先送りにしたことなどを麻生さんに報告したのでしょう。麻生さんとしても、岸田首相が政権運営で苦戦するなか、菅さんの人気にあやかりたい。

 

 かつて『加藤の乱』で挫折した経験がある菅さんだけに、無駄に敵は作らない。選挙を終え、側近たちの足場を固めてから派閥作りをしても、いまの “菅人気” があれば遅くはないと踏んでいるはずです」(前出の菅氏に近い議員)

 

 党内では、「菅副総理」案が取り沙汰されている。安倍元首相の死去による自民党内のバランスの変化が、菅復権を後押しすることになりそうだ。

 

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