人が死ぬ「海釣り堤防」鹿島港・南防波堤では不法侵入で累計72人も…

鹿島港・南防波堤(茨城県)

 

 新型コロナウイルスの感染リスクが低いといわれていることもあり、アウトドアレジャーがブームになっている。

 

「釣り」もそのひとつ。

 

「船釣りは乗り合いでも1万円以上かかりますから、手ごろに楽しめる堤防釣りが人気です。東京湾内にある有料の海釣り施設は、入場人数を制限していることもありますが、週末は行列ができます。待ち時間が3時間以上になることもザラです」と釣りファン。

 

 

 それが理由なのか、立ち入りが禁止されている堤防や防波堤などに「不法侵入」して釣りを強行する不心得者が増加しているという。あげく、落水して死亡する事故が全国で相次いでいる。

 

 なかでも茨城県の鹿島港にある南防波堤は「死の堤防」と呼ばれているほど事故が多い。

 

「4.5kmほどの長さがある堤防です。太平洋に突き出ているので魚種は豊富ですが、堤防を乗り越える高い波が押し寄せることがあります。

 

 堤防には転落防止の柵などはありませんから、波に足をとられ海中に転落するのです。夜明け前に侵入する釣り人もいて、潮の流れも速いから、落ちたら我々では救助ができません」(同港漁業関係者)

 

「死の堤防」に行ってみると、そこには高さ2mほどの頑丈な門扉があり、施錠もされていた。そして門の横にある看板には「立入禁止」のあとに「既に、72名の死亡者を出す事故が発生しています」という衝撃的な文言があった。

 

 この死亡者数は1969年の開港からの累積数だという。

 

「立入禁止と書くだけでは、残念ながら不法侵入は後を絶ちませんので、より厳しい表現にしました」と鹿島港湾事務所港営課の担当者。警察と連携して、陸と海から日常的にパトロールをしているそうだ。

 

 前出の漁業関係者は「警察に連行される釣り人もいますが、まったく懲りないですね。柵を乗り越えるのは同じ顔ぶれが多い。もともと漁港内はどこも部外者立入禁止なんです。海に落ちたら海上保安署や警察、地元漁師にどれだけ迷惑をかけるかわかってるのかなあ」とあきれ顔である。

 

 警察関係者は「立入禁止と表示されているにもかかわらず侵入すると軽犯罪法違反、錠などを壊せば器物損壊の罪に問われる可能性がある」と言う。ルールやマナーを守ってこその釣りであることを肝に銘じてもらいたい。

 

【事故多発!人が死ぬ海釣り堤防】

 

茨城県・鹿島港南防波堤

 

◯茨城県・鹿島港南防波堤

 

「死の堤防」といわれる茨城県の鹿島港南防波堤。竿やクーラーボックスを抱えた釣り人たちが、門扉を乗り越えて防波堤へ入っていくという。地元の漁業関係者は「門の鍵が壊されることもあるようだね。捨てられたゴミや迷惑駐車なども問題になっている」と憤る。死亡した釣り人の家族が手向けたのだろうか。花が供えられていた

 

千葉県・木更津沖堤防

 

◯千葉県・木更津沖堤防

 

 木更津沖には4つの防波堤があり、渡船で渡り釣りを楽しむことができる。「岸から防波堤までは船で約15分ほどです。防波堤そのものは広いのですが、夜釣りをしていて落水する事故が起きています。また突然、強風が吹くこともあるので注意が必要です」(釣り愛好家)

 

新潟県・新潟東港西防波堤

 

◯新潟県・新潟東港西防波堤

 

 東港区における釣り人の落水事故は2011年に2名(1名は死亡または行方不明・堤防からの転落は1名)、2012年に2名(1名は死亡または行方不明・堤防からの転落は1名)、2015年に1名(死亡または行方不明・堤防からの転落)発生している(第九管区海上保安本部による)

 

新潟県・柏崎港堤防

 

◯新潟県・柏崎港堤防

 2008年10月25日には釣り人11人と救助にあたった消防署員5人が約2mの高波にさらわれる事故が発生した(全員が救助され無事だった)。「それでも柵を乗り越える釣り人が多い。予測できない大波が押し寄せると一気にのみ込まれてしまいます」と地元の釣り愛好家は警鐘を鳴らす

 

新潟県・新潟西港西防波堤

 

◯新潟県・新潟西港西防波堤

 

 西港区における釣り人の落水事故は2015年に1名(堤防からの転落)、2016年に1名、2018年に1名(死亡または行方不明)発生している(第九管区海上保安本部による)。防波堤の周囲には波消しブロックなどがあり足場が悪い。大波が押し寄せることも多いという

 

福井県・小樟漁港

 

◯福井県・小樟漁港

 

「漁港の車が通るため防波堤も広いので、多くの釣りファンが来ます。だけど波消しブロックに落ちると足をとられて上がってくることができません。危険ですから防波堤での釣りはやめてもらいたい」(地元関係者)

 

神奈川県・横浜本牧防波堤

 

◯神奈川県・横浜本牧防波堤

 

 今年2月5日、釣りをしていた女性(48)が海中に転落して死亡。助けようと海に入った男性も怪我をした。防波堤に隣接する会社の敷地を通り侵入したのだろうか、取材当日も防波堤上には数人の釣り人の姿が確認できた。ハシゴなどはないようなので、もし落ちたらライフジャケットを着ていなければ非常に危険である

 

【まだある「事故多発」堤防】

 

◯青森県・尾駮漁港防波堤

 

 第二管区海上保安本部によると2015年~2020年9月末に青森県で30人の釣り人が海に落ち、うち13人が死亡や行方不明。東北で最多だ。尾駮漁港では2009年11月、防波堤で釣りをしていた男性が海に転落、行方不明に

 

◯宮城県・閖上漁港防波堤

 

 河口特有の自然条件で不規則な波が立ち、漁船の転覆事故も多発する。南北にある防波堤は立入禁止だが、釣り人の転落事故が発生している。防波堤にある波消しブロックに転落した男性が死亡する事故もあった

 

◯三重県・宿田曽漁港内防波堤

 

「立入禁止の看板は立っていますが、釣り人は入っちゃいます。今年の大型連休もかなり混雑していました。2017年には防波堤の先端で釣りをしていた人が海中に転落して死亡する事故が発生しています」(地元住民)

 

◯福岡県・片上海岸

 

 2020年10月30日、防波堤で釣りをしていた男性(60代)が海に転落する事故が起きた。「周囲の釣り人に助けられて無事でしたが、防波堤が高いので海に落ちたら上がってこられません」(地元釣り具店店員)

 

◯福岡県・奈多漁港

 

 2005年7月31日、釣り中の男性(63)が波消しブロックから転落して死亡するなど落水事故が多発している。「立入禁止の看板やフェンスはありますが、それを無視して釣りをする人が多い」(地元漁港関係者)

 

(週刊FLASH 2021年6月1日号)

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