米軍FCLP地移転合意が一転白紙 馬毛島買収をめぐる地権者の迷走

 米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機が19日までの日程で、東京・小笠原諸島の硫黄島の滑走路を空母に見立てて離着陸する訓練(FCLP)を実施している。空母艦載機のFCLP実施を巡っては、日本政府が鹿児島県西之表市の馬毛島への移転を目指す中、地権者側が防衛省に交渉の打ち切りを通告していたことが既に明らかになっている。

「防衛省は1月、島の大半を所有するタストン・エアポート社の当時の社長だった立石薫氏との間で、馬毛島を160億円で買収することに大筋合意したんです。菅義偉官房長官がすぐに会見して既成事実化したのに、かねて『400億円でなければ売らない』と一歩も譲らなかった、創業者で薫氏の父の立石勲氏が2月に社長に返り咲いた。これで交渉が白紙に戻ったんです」(政府筋関係者)

 馬毛島は種子島の西方12キロにある約8平方キロの小さな島で、戦前はトビウオ漁の漁師の漁業基地に使われていた。漁が最盛期の1959年には113世帯が住んでいたという。

 経済ジャーナリストによると、「その島を平和相互銀行の関連会社『馬毛島開発』がレジャー基地化にするため買収したことで80年4月に無人島になった。その後、95年に東京の立石建設が島を4億円で買収。立石建設の子会社になった馬毛島開発は、社名も『タストン・エアポート社』に改名したんです」。

 タストン社は島の中心部に巨大な滑走路を建設。2011年に日米の合意文書に硫黄島の代替地として馬毛島が明記されたことで、政府が買収に乗り出した。防衛省とタストン社の間で交渉が難航しながらも、今年1月にまとまるかというところで、同社の社長交代劇で頓挫した。

「トランプ大統領の顔色ばかりうかがっていた防衛省幹部は、買収の見通しが立たなくなって、頭を抱えてますよ」(軍事アナリスト)

 防衛省側は交渉継続の意向もあるようだが、馬毛島をめぐる迷走は続くのか…。

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