豚熱ワクチン接種、九州4県で始まる 佐賀での感染確認受け
九州各県の豚の飼育頭数とワクチン接種の開始日
佐賀県の養豚場で家畜伝染病の豚熱(CSF)感染が確認されたことを受け、飼育している豚への予防ワクチン接種が19日、福岡、佐賀、長崎、大分の4県で始まった。27日には飼育頭数全国トップの鹿児島県や全国2番目の宮崎県、熊本県でも接種が始まり、国内の約3割を飼育する「養豚王国」九州での感染拡大防止を目指す。
豚熱は8月下旬に佐賀県唐津市の養豚場2カ所で相次いで感染が判明。九州では1992年に熊本県錦町で確認されて以来、31年ぶりだった。農林水産省は今月5日、九州7県をワクチン接種の推奨地域に追加。接種対象は280万頭規模に上り、各県では家畜防疫員や獣医師に加え、各農家で衛生管理を担う「飼養衛生管理者」に研修を実施し、ワクチンの打ち手確保を進める。
ただ、ワクチンは万能ではなく接種しても免疫を獲得できる豚は8割程度とされる。更に、ワクチンを接種すると症状は出にくくなるが、感染していれば豚肉を介して感染を広める恐れがあるため、接種が始まった都道府県では豚肉の輸出はできなくなる。既に接種が行われている本州や四国、沖縄で輸出できなくなっており、九州から輸出できなくなれば残るのは北海道だけとなる。
農水省によると、主な輸出先は香港やシンガポール。2022年の輸出実績は2377トン(23・3億円)で国内生産量に占める割合は0・3%程度だが、鹿児島県の担当者は「国の輸出拡大戦略に基づいて県内事業者は輸出拡大に取り組んでいただけに、販売先の一つを失うと今後に影響が出てしまう」と話した。【平川昌範、野間口陽】
09/19 20:09
毎日新聞