「ミカンの町」役場職員、副業OKに ただしかんきつ類農家限定

ミカン収穫の繁忙期には家族総出で作業する=三重県御浜町提供

ミカン収穫の繁忙期には家族総出で作業する=三重県御浜町提供

 「年中ミカンのとれる町」をキャッチフレーズにする三重県御浜町が、町役場職員の副業・アルバイトを認める内部規定を策定した。近く町のホームページで公開する。ただし、就業先は町の基幹産業であるミカンなどかんきつ類を生産する町内の農家で、期間は農繁期に限定する。町によると、自治体職員の副業を認める内規の明文化は県内では初めて。

 副業を限定解禁した町の狙いは、町職員がかんきつ類の栽培を学ぶ機会を拡大することと、高齢化と担い手不足が深刻な農家での労働力の確保。副業を認める時期は、農繁期の9月上旬~11月下旬の土日と祝日で、週8時間、月30時間以内。補助金交付など農家との利害関係がある部署や、農林水産課などに所属する職員は対象外。

 希望する職員は、事前に町へ申請した上でJA伊勢を通して申し込む。県の最低賃金を基に算出した副業収入額は期間中にフル就業した場合、8万3970円。

 地方公務員法は、職務専念や守秘義務の意味で公務員の兼業や副業を規制しているが、一定の条件で例外を認めている。基幹産業での職員の副業を限定的に認める自治体は多く、ミカン栽培が盛んな和歌山県有田市や、リンゴ生産が国内トップの青森県弘前市などのケースを参考に町農林水産課が内規案をまとめ、町職員組合と合意した。

 大畑覚町長は「ミカンの町に勤める職員として、農家の皆さんと共に愛情を持って生産と収穫に汗を流してほしい。限られた就業期間だが、慢性的な農家の人手不足を少しでも支えたい。もちろん本業に支障が出ないように取り組みます」と話している。【尾崎稔裕】

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