政府の緊急事態宣言 今後の方針は

30秒で組み立て可能 避難所用の段ボールベッドを岐阜の企業開発

完成した段ボールベッド=5月26日、荒川基従撮影

完成した段ボールベッド=5月26日、荒川基従撮影

 たった30秒ほどで1人で組み立てられる段ボールベッド「はや楽ベッド」を、岐阜県各務原市の内装設計・施工会社が開発した。部材は3種類(計8点)だけ。重さは10・4キロと、力が弱い人でも運べる。運営者側が忙しくなる被災時の避難所で、避難者が自力で設置できるベッドとして注目されそうだ。

 各務原市那加石山町1の「インサイトワーク」が2021年1月、9900円(消費税込み)で発売した。収納時は長さ111センチ、幅37センチ、高さ21センチ。組み立てたベッドは長さ192センチ、幅80センチ、高さ36センチ。精密機器を海外に輸出する際などに使われる高強度段ボール素材を使用し、耐荷重は300キロある。

 組み立て方はいたって簡単だ。箱から蛇腹状の土台を引っ張り出し、四隅に天板のずれを防ぐコーナー部材を取り付け、天板3枚を載せる。説明図が収納箱に印刷されているが、2度目からは図を見る必要がほとんどないほど簡単だ。

 天板を外せば、内部は18個の長方形の空間が現れ、衣服などを収納できるよう設計されている。高さを36センチに設定したのは、高さ31センチの2リットルペットボトルも収められるようにしただけでなく、大人が座った時に足を窮屈にたたまなくてもいいことから、エコノミークラス症候群を防ぐ狙いがある。

 インサイトワークは19年8月設立の新しい会社で、社員は中嶋真嗣社長(55)と妻幸代さん、1級建築士の3人。中嶋社長は他社との差別化を図ろうと、軽くて強度があり低価格な段ボール素材の内装や家具への使用を検討しているうち、段ボール素材を使った災害グッズが多いことを知った。

 そこで、被災現場の現状やニーズを知った上で製品を開発するため、防災士の資格を取得しようと勉強。熊本地震の被災地などで「もっと簡単に組み立てられるベッドがほしい」「避難所で割り当てられるスペースが狭いので、日中は収納しておけるベッドがあったら」などの要望があることを知った。これらの課題に応えるため開発したのが「はや楽ベッド」だ。組み立てが簡単なので、昼間は収納しておけば、避難所の限定的なスペースを有効に活用できる。

 中嶋社長は「これほど簡単に組み立てられる段ボールベッドは、ほかにないと思う。避難者が自分で倉庫から運び出し、自力でベッドを設置できれば、運営者側の負担を軽減できる」と話す。

 防災活動や被災者支援に取り組むNPO法人「レスキューストックヤード」(名古屋市東区)の浦野愛・常務理事は「通常の段ボールベッドは組み立てに人手が必要で、せっかくベッドがあるのに人手が足りず、山積みされている避難所もあった。1人でパッと作れるのは大きな利点だ」と話す。テープで天板を固定してしまうベッドが多い中、天板を簡単に外せて内部を収納に活用できる点なども評価している。

 ベッドの組み立ての様子の動画は、インサイトワークのホームページ(https://insightwork.co.jp/disaster-prevention/)で。【荒川基従】

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