政府の緊急事態宣言 今後の方針は

ランニング中の後頭部を蹴った「犯人」は… 初夏の頭上に注意

北上川に架かる夕顔瀬橋。人通りの多い橋のたもとにあるカラスが巣をつくった木(左)=盛岡市で2021年6月9日午後3時17分、安藤いく子撮影

北上川に架かる夕顔瀬橋。人通りの多い橋のたもとにあるカラスが巣をつくった木(左)=盛岡市で2021年6月9日午後3時17分、安藤いく子撮影

 うるさい鳴き声がした直後、後頭部に衝撃が走った。8日午後4時過ぎ、盛岡市を流れる北上川に架かる夕顔瀬橋付近で、ランニング中の私(記者)はカラスに襲われた。後頭部をいきなり蹴られた衝撃に驚いて転倒し、両膝を負傷した。しばらく現場で様子をうかがっていると、他の通行人も次々に襲われていた。なぜカラスが人を襲うのか、理由を探った。

 その日午後、通り雨がやんだのを確認し、ランニングに出かけた。北上川沿いの歩道や河川敷を景色を眺めながら走るのが休日の楽しみで、この日は自宅から上流に向かって走り、夕顔瀬橋を渡って折り返そうとしたところで、数羽のカラスが沿道沿いの木の枝に止まっているのが見えた。鳴き声も聞こえていたが気に留めず、木の下を通ろうとしたところで急襲された。

 カラスが頭上をかすめるように飛び、思わずしゃがみ込んだが、次の瞬間には後頭部に衝撃を受けた。「ガァ、ガァ」と興奮したような鳴き声で威嚇し続けるカラス。何とか逃げようと焦り転んでしまった。

 ようやく現場から20メートルほど離れて様子をうかがっていると、カラスはウオーキング中の女性や自転車に乗った制服姿の女子学生らに向かって低く飛び、威嚇を続けていた。私は転倒した際に無くしたワイヤレスイヤホンを探すために現場に戻ろうとしたが、再び後頭部を蹴られて立ち去らざるをえなかった。

 北上川を管理する国土交通省岩手河川国道事務所盛岡出張所によると、同じ場所でカラスに襲われたという通報が最近になって4件入ったという。近くの木には高さ約10メートルの位置にカラスの巣があり、9日には「頭上注意 カラスが襲う危険があります」と注意喚起する立て看板を2カ所に設置した。

 野鳥に詳しい岩手大講師の東淳樹さん(保全生物学)によると、カラスは5~6月が繁殖期で、産卵してヒナを育てることで「気が高ぶっている」という。巣の周辺はカラスにとって子育てエリアで「最も死守しなければならない最前線」(東さん)だ。そのため外敵とみなした人間が巣に近付くと鳴き声をあげ、近くを飛んだり頭を蹴ったりして威嚇する。

 巣は気付きにくいところにあるため、通行人に存在を周知し、鳴き声が聞こえた場合は近付かないなどの対応が重要という。ただ、巣を撤去すれば人間に対してさらに警戒を強め、襲撃対象とする可能性があるという。東さんは「親鳥は巣を撤去されてもすぐに同じ場所や近い場所に巣を作り、何年も繁殖を続けるので、中長期的にはカラスによる被害を減らすことはできない」と指摘。ヒナが巣立てば親鳥が襲ってくる可能性は低くなるという。【安藤いく子】

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