ふなずし、セタシジミなど滋賀の郷土食、食材を使ったビールが話題 近江麦酒

近江麦酒の今後について話す山下友大さん=大津市本堅田3で2020年3月25日午前10時49分、山中宏之撮影

近江麦酒の今後について話す山下友大さん=大津市本堅田3で2020年3月25日午前10時49分、山中宏之撮影

 ふなずしにセタシジミ、タデやゴボウなど滋賀県の郷土食や食材を使ったユニークなビールを造る会社が大津市にある。近江麦酒は2017年に創業したばかりだが、他にも、ユズやカブ、ブルーベリーなどを使ったビールを売り出すなど愛好家らの間で話題になっている。代表の山下友大(ともひろ)さん(46)は「今後は日本酒酵母や、100%大津産の麦芽とホップを使ったビールも醸造したい」と力を込める。【山中宏之】

 20年に入って昆虫のコオロギを原料にしたビールを岩手県遠野市の遠野醸造などが開発するなどクラフトビール界が熱い。山下さんもコオロギビールを試行錯誤している段階でのニュースに「先を越された」と思う半面、「あっちにも変な人がいるわ。もっとおいしいのを造ろう」と燃えている。

 元々はフリーランスのプログラマー。趣味で納豆やヨーグルトを作るなど畑は違うがもの作りが好きだった。転機は15年ごろ。長野県軽井沢町の醸造会社ヤッホーブルーイングが造った「よなよなエール」のおいしさに衝撃を受けた。約1年、東京でのクラフトビール勉強会に通い、造り方や歴史などを学んだ。その後、島根県江津市の石見麦酒に1カ月ほど泊まり込みで働き、基礎をたたき込んだ。オープン当初は思い通りに行かず、納品当日に卸問屋に納期の延長を申し出たこともあった。「今では狙った味を造れるようになりましたが」とはにかんだ。

 メインターゲットは30~50代の女性。さまざまなビールを醸造しているが「マニアックではなく、クラフトビールの入り口としておいしいと思ってもらえるように造っている」という。

 近江麦酒を有名にしたビールにふなずしを使った「鮒BEE」がある。滋賀県野洲市商工観光課との打ち合わせの中で「ふなずしで造ってみましょうか」という話になり2種類造った。黒は身を使い、ダシ感があり、ふっくらと優しい風味。白は米の部分を使い、ふなずし特有の酸味のあるにおいがするが、おかわりして飲む女性も少なくないという。

 目指すのは「地域に根差したビール屋さん」。最近は野洲市のイチゴ農園「苺屋はな」の近江富士いちごを使ったビールを開発。ビールの認知度が上がるにつれて、同園が作るイチゴジャム「あめじゃむ」が売り上げを伸ばしているという。「農家さんが作物で独自商品を開発して、うちがビールを造って取り上げる。そしてどちらの商品もしっかり売れる関係を作りたい」と話す。

 これまでに30~40種類のビールを造ってきたが、販売に至るのは山下さんが納得したものだけ。「世に出せないものもありました」と失敗もある。今後について「まずはJR堅田駅近くに販売店を構えたい。その次は東京駅ですかね」と笑う。そして「日本酒酵母のビールなど日本を代表するビールを造って海外にも展開していきたい」と夢見ている。

近江麦酒

 大津市本堅田3の24の37。JR堅田駅から徒歩15分の場所に2017年オープン。クラフトビールの製造・販売。18年春から醸造を開始。ビールは1本(330ミリリットル)600~700円台が中心。ほぼ毎週金曜16~21時にビアカフェを開いている。077・536・5222。

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