新婚ゆうこす「WiFiは肌に悪影響」プロデュース化粧品が物議…医師は「科学的根拠なし」と警鐘

《アーティストのたなかさんと結婚致しました。益々邁進していくつもりですので、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします》

12月7日、Twitterでこう報告したのは“ゆうこす”こと菅本裕子(28)。4歳年下のミュージシャン・たなか(24)との結婚を発表し、夫婦で寄り添うショットを添えた。

HKT48出身で、現在は“モテクリエイター”として活動するゆうこす。YouTubeチャンネルの登録者数は86.4万人で、Instagramのフォロワーは47.4万人、Twitterは38.4万人を誇る超人気インフルエンサーだ。

しかし、結婚し充実したプライベートを送る裏で、プロデュースする事業を巡って“炎上騒動”が起きていた。

■「ブルーライトとかWi-Fiとかも肌への悪影響になっちゃうんですよ」

ゆうこすは11月下旬に行った動画配信で、自らプロデュースするスキンケアブランド「YOAN」の限定スキンケアセットを紹介。そのなかの「BQミストローション」という化粧品を紹介する際に「実はブルーライトとかWi-Fiとかも肌への悪影響になっちゃうんですよ」と発言し、同商品に含まれる成分「RCバリアコンプレックス」が“ガードしてくれる”と説明していた。

しかし11月30日に、皮膚科専門医で医療系メディア「Lumedia」の編集長・やさひふ氏が、《実際はwi-fiが人体へ有害という適切な根拠はありません。身近な物への不安を煽り、対応策として自分の製品を売るのはよくある手口です…》とTwitter上で指摘。やさひふ氏のツイートは1万件以上リツイートされ、波紋が広がることに。

騒動を受けてゆうこすは、《申し訳ございません。Wi-Fiじゃなくてブルーライトのみでした、、私の言い間違えでした ご指摘ありがとうございます!upしたYouTubeは削除しておきます ブルーライトの方はエビデンス取っております!》と釈明のツイートをしたのだった。

その後、問題視された動画は削除され、なぜか“釈明ツイート”も削除された。いっぽう12月1日21時時点で、公式サイトの商品ページには“言い間違い”のはずだが、《光老化の原因となり得るブルーライトやWi-Fi から保護する成分を配合し、現代女性の味方に》という紹介文が。

そして翌2日、ゆうこすはTwitter上に声明文を発表。一連の騒動を謝罪し、次のように釈明したのだった。

《普段の環境から受けるストレスをケアしたい、そういった目的を含む化粧品を開発したいという思いがあり、そのストレスの原因となる事柄の説明に、誤解を招く表現をしましたことは重く受け止めております。ご指摘のあった箇所に関しましては、皆様よりいただいたご意見を真摯に受け止め、各機関からご指導いただき混乱を招かぬよう各所速やかに対応をすすめて参ります》

現在では商品ページの紹介文も、《環境や乾燥などの外的ストレスを保護するRCバリアコンプレックスを配合し、現代女性の味方に》と修正されている。

「誤解を招く表現をした」と釈明したゆうこすだが、実際にWi-Fiやブルーライトは肌に有害なのだろうか? 本誌は「YOAN」を運営する株式会社KYUに取材を申し込んだが、「個別での回答を差し控えさせていただいております」とのことだった。

■「Wi-Fiが肌や身体にデメリットや悪さをもたらすという証拠は全くない」

そこで、Twitter上で指摘をした皮膚科専門医・やさひふ氏にも詳しい話を聞いた(以下、カッコ内はやさひふ氏)。

まず、Wi-Fiが肌にもたらす有害性は「現時点では科学的根拠はありません」と前置きした上で、こう解説してくれた。

「『Wi-Fiが肌に影響がないことを証明しろ』と言われると断言することは難しいのですが、Wi-Fiが肌や身体にデメリットや悪さをもたらすという証拠は、今のところ全くありません。そもそもWi-Fiは『非電離放射線』の部類で、レントゲン検査による放射線などのように被ばくの可能性がある『電離放射線』ではありません(参考文献1)。

また、日焼けの原因となる紫外線も『非電離放射線』のひとつではあります。もちろん“紫外線が肌に悪い”ということは、国際的にも統一的な見解が取れています。例えば、アメリカ皮膚科学会なども『日焼け止めは塗りましょう』と勧めています(参考文献2)し、『日焼け止めを塗ると肌の老化や皮膚ガンが減る』ということも過去の臨床研究で示されています(参考文献3-5)。しかし、Wi-Fiについては、世界保健機関(WHO)が『無線LANくらいの周波数から出るものが、身体になにか悪影響を及ぼすことは今まで認められていません』との見解を示しています(参考文献6)」

次に、ブルーライトが肌にもたらす有害性については、「これは現時点で意見が分かれていて、研究途上にあります」という。ブルーライト(青色光)は人の目で見ることができる可視光線であり、パソコンやスマホなどのLED液晶、LED照明に多く含まれている。

最近では、ブルーライトなどの可視光線が肌に悪影響を及ぼす可能性を指摘する論文もある(参考文献7,8)といい、研究課題には挙がっているという。しかし、実生活では悪影響を及ぼさないとする論文もあり(参考文献9)、肌への影響は確定的ではないようだ。

「確かに、ブルーライトをきわめて大量に肌へ当てれば、肌の老化にも影響しそうに思えます。ですが研究者のなかには、パソコンやスマホ、太陽などから浴びる可能性がある全てのブルーライトの量を計算した上で、『日常生活の中で接するブルーライトの量は、実際に肌へ悪影響を与えるほどの量には全く達しない。つまり、肌を守るためにブルーライトカットを意識する必要はない』との説を唱える人もいます。このテーマは研究途上にあるので、現時点では質の高い十分なエビデンスはありません。ブルーライトカットをすることが良いかどうかは、まだわからない状況なのです。2020年に日本皮膚科学会雑誌に掲載された論文でも、可視光線が光老化(シミやシワを招くこと)や発がんへ影響するかについては、「関連不明」と記載されています(参考文献10)。少なくとも有料の化粧水を推奨する理由には乏しいでしょうね。」

■「ブルーライトカットに特化しているのであれば、ミストローションは青色のはず」

ところで、Wi-Fiやブルーライトは化粧品で防げるものなのだろうか?

「そもそもWi-Fiをカットすると、パソコンやスマホの使用に支障が出るのではないでしょうか。ゆうこすさんの化粧水を愛用している方の周囲でパソコンやスマホが使用できなくなる事態が頻発していれば、すでに社会問題になっているはずだと思います。現実的ではないですよね。ブルーライトについては、例えば一流の皮膚科系医学雑誌に載っている論文は、『もし可視光線をカットするとしたら、色が着いた日焼け止めでないと効果がない』と言っています(参考文献11)。ゆうこすさんのミストローションは無色透明ですので、ブルーライトカットできるとは理解し難いですね」

やさひふ氏は続ける。

「例えば、りんごは太陽などの光の中で、赤い色をよく跳ね返します。赤い光が反射されやすいからこそ、人間はりんごを見て赤いと思うわけですよね(参考文献12)。もし、ゆうこすさんのミストローションがブルーライトカットに特化しているのであれば、ブルーライト(青い光)を反射するので、その化粧品が青く見えなければおかしいはず。逆に、青い光を吸収して閉じ込めるのであれば、青が反射されないので青以外の黄色のような色に見えるでしょう。

可視光線の光を吸収・反射するスキンケア製品であれば何らかの色が着いてしまうはずなので、“着色された日焼け止めで可視光線カット効果も期待できる”という商品が出てくるのはあり得るでしょう。しかし、“無色透明のミストローションでブルーライトカットが可能”というのは、世紀の大発見レベルで、物理学の歴史が大きく変わると思います」

化粧品の効果を喧伝するインフルエンサーがSNSやYouTube上にあふれている昨今。一見すると、有名人たちが勧める商品は効果がありそうにも思える。だが、やさひふ氏はこう警鐘を鳴らす。

「SNSやYouTube上でバズっている皮膚科系のコンテンツは、間違った情報の方が多いというのは明らかになっています。しかも、間違っている情報を多く発信しているインフルエンサーの方が、ウケがいいのかフォロワーが増える傾向にもあります。目に見えない身近なものに対して、インフルエンサーが不安を煽るというのはよくある手法。

ゆうこすさんの例に照らせば、いまやほとんどの人がWi-Fiを使っていることもあり、『Wi-Fiは危険』と言われたら不安に思う人は当然いるでしょう。それに、100人に1人引っかかるだけでも結構な需要が生まれるわけですよね。インフルエンサーが危険性を信じ込ませた後に、『でも大丈夫。私のこの特別な製品を使えば問題ないよ』と売り込むまでがセットです。若い人たちがそういった宣伝に騙されてしまうのは良くないと思い、Twitterで情報発信しました」

それでは、インフルエンサーが紹介する化粧品を購入する場合は、どのような点に注意すればよいだろうか?

「ヘルスリテラシーの初歩ではありますが、まずは情報のソースを確認しましょう。つまり『インフルエンサーが言っているから』というだけでは、情報のソースとしては非常に弱いわけです。例えば、WHOやアメリカ皮膚科学会などの公的機関が何と言っているのかを調べてみる、あるいはエビデンスの裏付けとなる臨床試験の有無なども確認すると良いでしょう。また、『このインフルエンサーは金儲け目的ではないだろうか』と疑うことも大事な目線です。なにか客観的な裏付けがないのであれば、購入する判断を一旦保留にするのがよいでしょう」

どれだけ魅力的に映る化粧品でも、まずは情報を見極めることが大切なようだ。

【参考文献】

1. 環境省. 第1章 放射線の基礎知識 1.3 放射線 放射線の種類.(閲覧日2022-12-9)
2. American Academy of Dermatology. Sunscreen FAQs.(閲覧日2022-12-9)
3. Ghiasvand R, et al. Sunscreen Use and Subsequent Melanoma Risk: A Population-Based Cohort Study. J Clin Oncol. 2016; 34: 3976-83.
4. Iannacone MR, et al. Effects of sunscreen on skin cancer and photoaging. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2014; 30: 55-61.
5. Hughes MC, et al. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013; 158: 781-90.
6. 電磁界情報センター. WHOファクトシートNo.304「基地局および無線技術」(日本語訳).(閲覧日2022-12-9)
7. Arjmandi N, et al.Can Light Emitted from Smartphone Screens and Taking Selfies Cause Premature Aging and Wrinkles? J Biomed Phys Eng. 2018; 8: 447-452.
8. Chamayou-Robert C, et al. Blue light induces DNA damage in normal human skin keratinocytes. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2022; 38: 69-75.
9. Christensen T, et al. Violet-blue light exposure of the skin: is there need for protection? Photochem Photobiol Sci. 2021; 20: 615-625.
10. 森脇 真一. 可視光線の功罪. 日皮会誌. 2020; 130: 2043-2046.
11. Geisler AN, et al. Visible light. Part II: Photoprotection against visible and ultraviolet light. J Am Acad Dermatol. 2021; 84: 1233-1244.
12. 中島 弘一. 光と色と色覚. 化学と教育. 2017; 65: 22-27.

【利益相反】
やさひふ氏は、本記事について開示すべきCOI関係にある企業等はありません。

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