「薬を集めるだけなのに」と思ってない? 調剤薬局の“待ち時間”が長い理由、薬剤師に聞いてみた

薬を受け取るまでに時間がかかる理由って?

薬を受け取るまでに時間がかかる理由って?

 調剤薬局(保険薬局)に行ったとき、処方箋を薬剤師に渡してから薬を受け取るまでの待ち時間を「長い」と感じた経験はありませんか。中には「処方箋に書いてある薬を集めるだけで、そんなに時間がかかるの?」と思う人もいるかもしれません。なぜ、調剤薬局では長い待ち時間が発生することがあるのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに、その理由を教えていただきました。

「調剤=ただ薬を集めるだけ」ではない

Q.調剤薬局で処方箋を渡した後、薬の受け取りまでに時間がかかってしまうことが多いですが、これはなぜですか。

真部さん「実は、薬の受け渡しの際、ただ『処方箋に書いてある薬を集めてお渡しする』というだけではなく、トラブルや事故を防止するためにさまざまな工程を挟んでいます。

薬は、患者の既往歴や体質、既に服薬している薬との飲み合わせといった要因によって、重篤な副作用や命に関わるリスクにさらされる危険性があります。そのため、薬そのものを間違えないように、また本当にその薬を処方してよいのかどうか、『おくすり手帳』などの情報から確認を怠らないようにしています。

複数の薬を1回分ずつ袋にまとめる『一包化』を行う場合や、患者ごとに処方量を調整しなければならない場合は、よりお待たせしてしまうこともあります」

Q.処方箋を渡してから薬を受け渡すまで、具体的にどのような工程があるのでしょうか。

真部さん「処方箋と一緒に、保険証や『おくすり手帳』などを受け取ったら、まずは患者と処方箋の情報をデータベースに記録し、確認します。続いて、処方箋の内容に沿って調剤を行い、ミスがないように確認と監査を進めます。チェックが終わったら、患者とのカウンセリングや服薬指導を行って受け渡し、という流れが一般的ですね。

なお、他の業務としては、取り扱い薬品の発注作業や在庫管理、保険請求、医師へ向けたレポート作成などが挙げられます」

Q.ちなみに、処方薬を受け取るまでの時間を短縮できるような“裏ワザ”があれば知りたいのですが…。

真部さん「現在はLINEなどを用いた、事前に処方箋を受け付けるサービスと連携している薬局もかなり多くなっている印象です。処方箋の情報を先に薬局へ送信しておくことで、患者が来局したときには既に調剤が終わっており、あとはカウンセリングをするだけという状態まで進めることができるので、待ち時間の短縮につながると思います」

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「薬の受け取りがもっとスムーズにできればいいのに…」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。調剤という業務は、ただ薬を集めるだけでなく、一人一人の患者に合わせて正確に処方する必要があるため、時間がかかることもあるのですね。もし、近所にLINEやインターネットでの処方箋受付をしている薬局があったら、サービスを利用してみるとよいかもしれません。

オトナンサー編集部

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