ワクチン接種で発熱、頭痛等の副反応…解熱剤や鎮痛剤は服用OK? 接種前は?

鎮痛剤、解熱剤の服用はOK?

鎮痛剤、解熱剤の服用はOK?

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都について、4度目の緊急事態宣言が出ることが決まりましたが、ワクチン接種は供給の滞りや新規予約を巡る混乱がありつつも、各地で進んでいます。ワクチン接種後、発熱や頭痛といった副反応が出ることがあるそうですが、市販の「鎮痛剤」や「解熱剤」を飲んでもよいのでしょうか。また、痛みが出る可能性が高いのであれば、症状が出る前や接種前に薬を飲んでもよいのでしょうか。医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。

症状が出て、つらいときに

Q.新型コロナウイルスのワクチン接種後、起きるとされる主な副反応を教えてください。

森さん「これまでに認められた副反応は、ほとんどが軽度から中等度とされるもので、注射した部位の痛みや腫れなどの『局所反応』、発熱、倦怠(けんたい)感(疲労)、頭痛、寒気、関節痛などの『全身反応』があります。

まれに、接種数分後から、『アナフィラキシー』という、緊急の治療が必要な急性のアレルギー反応も発生しています。アメリカでの報告(ファイザー製約994万接種、モデルナ製約758万接種の段階)によるアナフィラキシーの発症は、ファイザー製で100万接種あたり4.7回、モデルナ製で2.5回でした。また、国内外でワクチン接種後の急性心筋炎・心膜炎の報告もあり、情報収集と調査が進められています。

ほかに、ワクチンの成分による反応とは異なりますが、接種直後に『血管迷走神経反射』による失神や気分不良が起こる場合があります。これは痛みや恐怖などによる極度の緊張やストレスが要因となって発生するものです。以上のような症状は、時間の経過や適切な治療によって回復しています」

Q.どのくらいの確率で起きるのでしょうか。

森さん「海外の臨床試験で報告が多かったのは『接種した部位の痛み』で、ファイザーの2回目で72.6%、モデルナの2回目で88.2%でした。このような接種部位の反応は、1回目と2回目で頻度に差がないとされています。

全身反応については、2回目の方が発生頻度が高い傾向があります。海外での臨床試験で2回目接種後に症状が出た割合は『疲労』がファイザーで55.5%、モデルナで65.3%、『頭痛』はファイザーで46.1%、モデルナで58.6%でした。『38度以上の発熱』はファイザー13.6%、モデルナ15.5%と報告されています。

ファイザー製を日本で先行接種した医療従事者等を対象とした『接種開始後の健康状況調査の中間報告』によると、『37.5度以上の発熱』が2回目は38.5%で、海外での臨床試験の報告よりやや高い割合になっています。接種部位の痛みは90%を超える人が自覚したことも報告されています」

Q.発熱や頭痛がひどい場合、市販の鎮痛剤や解熱剤を飲んでもよいのでしょうか。痛みが出てから買いに行くよりも、事前に用意しておいた方がよいのでしょうか。

森さん「発熱した場合の対応について、厚生労働省は『必要な場合は解熱鎮痛剤を服用いただくなどして、様子をみていただくことになります』と明示しています。国内の接種後の健康状況調査では、発熱、接種部位の痛み、頭痛、倦怠感は2回目接種の翌日に自覚する人が多く、3日後には軽快した人が多いと報告されていますが、接種後に症状がつらければ、解熱鎮痛剤を使用することは問題ないでしょう。

市販の解熱鎮痛剤は成分によって、『アセトアミノフェン(商品名ノーシン、セデス、バファリンルナ等)』『イブプロフェン(同イブ、リングルアイビー等)』『ロキソプロフェン(同ロキソニン等)』とさまざまな種類があります。ワクチン接種後、どの成分の解熱鎮痛剤を使用してもよいとされていますが、接種を担当する医師によると、『普段の発熱時等に使用している薬がよい』そうです。妊娠中、授乳中、他の病気で薬を服用している場合などは、接種前に主治医に相談しておきましょう。

購入のタイミングですが、接種直後よりも、数時間たってから症状を自覚する人が多いようなので、事前に用意しても接種後に薬局に寄って購入しても、どちらでもよいと思います。ただ、接種が近づくと思いのほか緊張する人も少なくないようなので、事前に用意しておくと不安が軽減できるかもしれません」

Q.痛みが出るのに備えて、ワクチン接種後すぐに薬を飲んでもいいのでしょうか。また、接種前に飲むことはどうでしょうか。

森さん「症状が出る前の解熱鎮痛剤の予防的な使用については推奨されていません。新型コロナウイルスのワクチンではありませんが、『ワクチン接種の直前、あるいは直後に予防的に解熱鎮痛剤を服用することで、ワクチンの効果が低下する』という報告もあります。一般社団法人日本感染症学会ワクチン委員会も同様の見解を示しています。

実際に新型コロナウイルスのワクチン接種を担っている医師3人(内科医2人、小児科医1人)にも聞いたところ、全員が『予防的な内服はおすすめしていません』という回答でした。小児科医からは『子どもの(一般的な)予防接種でも、発熱の副反応があるワクチンの接種前や接種直後、症状がないのに解熱鎮痛剤を使用することは“意味がない”とされています』との声もありました。

副反応が出ない人もいますし、薬の効果は数時間のため、『発熱してから、症状がつらいときに飲んだ方がよい』とのことです。頭痛や腕の痛みについても同様で、苦痛を感じたら、そのタイミングで内服することで、症状の緩和が期待できると考えられます」

熱が下がらないときは?

Q.薬を飲んでも熱があまり下がらない、痛みが続くといった場合、受診を検討した方がよいのでしょうか。

森さん「ワクチンの副反応としての症状は報告によれば、接種当日の夜から翌日(2日目)に出ることが多いとされています。解熱鎮痛剤を服用しても接種後4、5日目まで発熱や頭痛が続く場合は、新型コロナウイルスの感染をはじめ、副反応以外が原因の可能性があります。自己判断せず、かかりつけ医や発熱外来を設置している医療機関に、まずは電話で相談することをおすすめします。接種した側の腕の痛みについては、症状があっても日ごとに軽減しているようであれば、様子を見ていいと思います。

なお、ワクチン接種後に非常にまれながら、心筋炎や心膜炎が報告されていますが、その場合、接種してから4日程度の間に出る『胸の痛み』『息切れ』などが典型的な症状とされています。このような症状が現れた場合は、医療機関の受診が必要と考えられます」

Q.「若い人ほど副反応が強い傾向がある」との情報があります。

森さん「若年者や女性が局所反応も全身反応も頻度が高い傾向という報告があります。先述した健康状況調査の中間報告では、例えば、2回目接種後の37.5度以上の発熱の頻度は20代で50%を超える一方、65歳以上では10%程度で差があります。倦怠感や頭痛も同様の傾向が見られました。こうした傾向は『年齢とともに免疫の反応が弱まるからではないか』と考えられていますが、確実な理由は分かっていません」

Q.副反応があっても、ワクチン接種が「努力義務」となっている理由を改めて教えてください。

森さん「ワクチン接種は体内に異物を投与し、免疫反応を誘導することであるため、接種後に何らかの事象(副反応等)が生じる可能性があり、100%の安全性を求めることは困難だと考えられています(厚生労働省資料)。

ワクチンの副反応には比較的軽度で頻度が高いもの、重篤であるが非常に頻度が低いものがあります。現時点で因果関係が分からない事象もありますが、臨床試験やこれまでの実績から、予防効果が副反応のリスクを上回っていることが示され、日本では『感染症のまん延予防の観点から、緊急に実施するもの』として、予防接種法の『臨時接種の特例』に位置付けられ、例外を除いて、接種を受けるよう努めなければならない努力義務があるとされています。

これを前提に、年齢や基礎疾患、職業等による新型コロナウイルスへの感染リスク、感染した場合の重症化リスク等を踏まえて、総合的に判断することが望ましいとされています。ただし、既往歴や現在の体調、受けている治療によっては、ワクチンを接種できない人、注意が必要な人もいますので、そうした人はかかりつけ医に相談するなどして判断しましょう」

オトナンサー編集部

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