マスク、横並びでまるでコント? 大分で「新しい生活様式」対応飲み会、その狙いは?

フェースシールドを着けて飲食する参加者(大分県提供)

フェースシールドを着けて飲食する参加者(大分県提供)

 新型コロナウイルスの影響による外出自粛や休業要請で苦しむ飲食店が多い中、別府や湯布院といった観光地を多く抱える大分県で、国が提唱する「新しい生活様式」に対応する「“飲みごと”を考えよう会」が開かれました。

 会は5月15日に大分市内の飲食店3店で行われ、県職員と大分県酒造組合、それぞれの有志など計約60人が参加。飛沫(ひまつ)感染を避けるためフェースシールドを着けて飲食したり、横並びに座って食べたりする姿が報道されると、SNS上では「楽しそう」「地元を元気づけたい気持ちは分かる」と評価する声の一方、「コントみたい」「そこまでして飲み会をしたいの?」とやゆする声が出ています。

 大分県商業・サービス業振興課の担当者に聞きました。

60人が5グループに分かれて参加

Q.「新しい生活様式」を踏まえた飲み会の目的と概要を教えてください。

担当者「『新型コロナウイルスの影響でどの業界も苦しんでいる中、感染拡大予防にしっかり取り組みながら、テークアウトなどさまざまな工夫をして頑張っている飲食店を応援したい、県と一緒に何かできないか』との相談を大分県酒造組合から頂きました。

5月14日、大分県は緊急事態宣言が解除されましたが引き続き、気を緩めることのないよう県から発表した直後でもあり、どのような事ができるか議論する中で、『新しい生活様式』に沿った『飲み会』とはどういうものか考える必要があるのでは?との提案があり、酒造組合と県が共同で、実際に飲食店で試してみることになりました。

この会のメッセージとしては『これから外での飲食を楽しむためには、感染拡大防止策を飲食店だけに任せるのでなく、客自身もしっかりと取り組む必要があり、そのために県民一人一人が考え、行動を起こすきっかけになれば』との思いがあります。

概要としては有志約60人が会費制で参加し、5グループに分かれて開きました。それぞれ、『クリアファイルで手作りしたフェースシールドを着用』『対面ではなく、横並びに座る』『マスクを着用する』『ハンカチを持ち、口に当てたり外したりする』『参加者4人が2つの4人掛けテーブルに分かれ、名刺交換をアプリで行う』という方式で、感染拡大を防止しながら飲食ができないか試みました」

Q.実際にやってみての感想を教えてください。食べたり、飲んだりするのが難しいということはなかったのでしょうか。

担当者「フェースシールドのグループからは良かった点として『飛沫が飛ぶことなく安心感があった』という声があり、『別に気にならなかった』という人もいました。一方で、『飲み食いが難しい(特に両手で食べる汁物)』『暑い』『声が聞こえにくい』という課題があり、『実際に携帯することが可能か』という声もありました。

ハンカチとマスク、それぞれのグループからは『現実的、特に問題ない』という声が聞かれました。ただ、ハンカチ組から『手が疲れた』、マスク組から『面倒』『マスクが汚れる』という指摘もありました。『横並び』のグループからも『現実的、特に問題ない』という意見がありましたが、『4人では端と端の会話は厳しい』『かえって声が大きくなる』という課題が出ました」

Q.この会の報道を受けて、ネット上では「オンライン飲み会の方がいいのでは?」という声も上がっています。

担当者「確かに、オンライン飲み会も新たな飲み会の在り方として定着していくものだと思われます。ただ、今回は先述したように『頑張っている飲食店を応援したい』ということが前提にありましたので、外での飲食について検証しました」

Q.ネット上では「コントみたい」「ここまでして飲み会をしたくない」という声もあります。大分県は以前、温泉でアーティスティックスイミングを披露するCMで「おんせん県」をアピールするなど、ユニークな情報発信で知られていますが、今回も話題となることを狙った面があるのでしょうか。

担当者「それはございません。本当に真面目に取り組んだものです。フェースシールドのインパクトが強かったのか、反響が大きすぎて、正直なところびっくりしております。今回の取り組みの良い悪いはありますが、皆さんが今後の飲み会の在り方についていろいろと議論していただいているということで、検証を行った目的は一応、果たせたのではないかと思っています」

県民一人一人の行動に期待

Q.今回の成果をどのように生かす予定でしょうか。

担当者「今回の開催状況については、県のホームページで公表しています。ただし、『これをやれば感染を完全に防げる』ということまで証明できたわけではないので、特に基準やガイドラインという形でまとめる予定はありません。

最初に回答した通り、今後、外での飲食を楽しむためには、感染拡大防止対策を飲食店だけに任せるのではなく、県民一人一人が考え、行動を起こすことが必要です。引き続き、そのことを訴えていくとともに、今後は、それぞれの地域で県民の皆さんが考えた良いアイデアを紹介したり、情報発信したりするなどの支援ができればと考えています」

Q.大分県の観光の現状を教えてください。今後、どのように回復させていきますか。

担当者「今年4月の大分県の宿泊者数(速報値)は6万5455人で、前年同月比マイナス84.1%と激減し、宿泊施設、観光施設ともに大きな打撃を受けています。県では、国から緊急事態宣言が出される前の3月30日から、県旅館ホテル生活衛生同業組合とともに『おおいた宿泊施設感染症対策チェックリスト』を取りまとめ、安心を感じていただけるおもてなしに向け、必要な準備を進めています。

まずは県民の皆さまに、この感染症対策の取り組みを行っている宿泊施設に泊まっていただき、新しい旅のかたち、安心して旅行ができる環境を整えていきます。その後、九州域内へと徐々に誘客対象地域を拡大し、国の『GoToキャンペーン』につなげていきます。

新型コロナ終息後には、全国の皆さまに、GoToキャンペーンの割引制度などを活用して大分県にお越しいただき、日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉をはじめ、九州の山々が一望できるくじゅうエリアや国東半島の社寺仏閣、『おおいた和牛』『関あじ』『関さば』などの名産品をご堪能いただければ幸いです」

オトナンサー編集部

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