義理の有楽製菓、本命のゴディバ…今年のバレンタイン商戦、メーカー各社の取り組みは?

有楽製菓が配布した「義理チョコ中止!?」の号外(有楽製菓提供)

有楽製菓が配布した「義理チョコ中止!?」の号外(有楽製菓提供)

 2月14日はバレンタインデーです。昨年は、ゴディバジャパン(東京都港区)が「義理チョコをやめよう」と新聞広告で呼びかけたことが話題となり、職場や学校などで半ば義務的にチョコレートを贈る習慣について、見直す動きもありました。男性社員によるチョコレートの強要がパワハラにつながりかねないと、従業員間でチョコレートの受け渡しを禁止する会社も増えています。各メーカーの動きを取材しました。

「義理チョコ」の代名詞がまさかの…

 チョコレート菓子「ブラックサンダー」などを製造・販売する有楽製菓(東京都小平市)は1月9日、「ブラックサンダー義理チョコ中止!?」と題した「号外」を、渋谷や新宿、新橋など東京都内で配布し話題となりました。

 号外の内容は、東京駅一番街の「おかしランド」内に設置する期間限定店(1月11日~2月14日)の第1弾期間(1月11日~25日)を「ブラックサンダーお土産ショップ」とし、「義理チョコ」関連の商品を取り扱わないというものです。

 同社は昨年、「おかしランド」内に「義理チョコショップ」を期間限定で出店。低価格で「義理チョコの代名詞」とも呼ばれるブラックサンダーを販売する有楽製菓が「義理チョコ中止」を宣言したことでネット上で大きな議論となりました。

 実際、1月11日にオープンした店舗に「義理チョコ」の文字はなく、全国各地の特産品とコラボした「ご当地ブラックサンダー」が多く販売されていました。ところが、1月26日、同社は土産専門店を「ぶっち義理」というキャッチコピーの「義理チョコショップ」に模様替え。あっさりと“原点回帰”したのです。

 マーケティング部の内藤瑠美さんに話を聞きました。

Q.なぜ号外を配ったのですか。

内藤さん「昨年は義理チョコの是非について話題になり、当社にもさまざまなご意見が寄せられました。そこで、今年は少し違った角度から『義理チョコ』に関する活動をしようと考えました。号外は1月9日から11日まで、渋谷、新宿、有楽町、丸の内、新橋の5つのエリアで合計1万枚を配布しました」

Q.東京おかしランドで2パターンの店を出しました

内藤さん「1月25日までは、『ブラックサンダーお土産ショップ』として義理チョコは打ち出さず、現在出店中の『ブラックサンダー義理チョコショップ』では、『やっぱりブラックサンダーは義理チョコ文化を応援します』と大きく振り戻すことで、これまで以上に『義理チョコ=ブラックサンダー』のイメージを持っていただきたいと考えました」

Q.号外配布時、どのような意見が寄せられましたか。

内藤さん「驚きの声を最も多く頂きましたが、『残念だ』『そう言われても勝手に義理チョコに使う』などのご意見も頂きました」

Q.今年、義理チョコにお勧めの商品はありますか。

内藤さん「ギリシャヨーグルトのケーキを使った『ブラックサンダー ギリシャヨーグルト』(税抜き1000円)です。ギリ(シャ)の神から啓示を受けるイメージのパッケージに仕上げました。また、生チョコレートや洋酒ジュレを使った『生ブラックサンダーエレガント』を2月8日~14日に毎日100箱限定で販売予定です。『義理チョコの本命』『特別な相手への義理チョコ』にぴったりです」

ゴディバにも、ある動きが…

ゴディバから有楽製菓へのメッセージ(ゴディバジャパン公式ツイッターより)

ゴディバから有楽製菓へのメッセージ(ゴディバジャパン公式ツイッターより)

「義理チョコ市場」に力を入れる有楽製菓に、大胆にも「本命チョコの売り込み」をかけたのがゴディバジャパンです。

 1月27日、公式ツイッターで「義理チョコといえばブラックサンダーさん! でも有楽製菓の皆様の中にも本命チョコも贈りたいという方がいると思います。お届けします“Thanks GODIVA”を試食して、本命の方へはGODIVAを選んで頂けますと、うれしい限りです」と表明しました。

 同社の担当者に聞きました。

Q.なぜ、有楽製菓向けの投稿を。

担当者「毎年バレンタインを一緒に盛り上げてくださる仲間として、今年はぜひご一緒に何か面白いことができればと思い、お声掛けをさせていただきました。有楽製菓の社員さまに本命チョコとしてGODIVAを楽しんでいただけるよう、2月8日に有楽製菓さまのオフィス内に『スペシャルテイスティングブース』の設置を予定しております」

Q.「義理チョコをやめよう」と昨年、広告を出したのに「義理チョコといえばブラックサンダーさん」と義理チョコを“容認”しているのはなぜですか。

担当者「義理チョコを全否定しているわけではありません。バレンタインデーの主役は、『もらう人』ではなく『あげる人』ではないでしょうか。『あげる人』にとって、『楽しい』バレンタインデーかどうかが重要なことだと思います。つまり、『義理チョコをあげるのが楽しい』と考える人には、今後ともぜひ続けていただきたいと思いますし、そのような人のための商品開発は続けていきたいと考えます。

しかし、義理チョコが少しでも苦痛になっている人がいるのであれば、それはやめてしまった方がよいと思います。『あげる人が主役のバレンタインデー、あげる人が心から楽しめるバレンタインデー』、それがゴディバの理想です。これは昨年も今年も変わりません」

Q.昨年、広告を出してからの反響は。

担当者「『よく言ってくれた』『賛同します』など、好意的なご意見を多く頂きました」

Q.今年はどのような取り組みを。

担当者「人気イラストレーターさんとのコラボレーションを実施します。また、チョコレート以外の焼き菓子も販売するほか、楽しいデジタルキャンペーン施策も行います」

バレンタイン市場は「微減」予想

「スイートチロルカップ」(チロルチョコ提供)

「スイートチロルカップ」(チロルチョコ提供)

「チロルチョコ」「ごえんがあるよ」など、子どもに人気のチョコレート菓子を販売するチロルチョコ(東京都千代田区)もバレンタインに力を入れています。

 取締役会長の松尾利彦さんは「バレンタイン時は通常時より、売り上げが若干伸びます。今年もバレンタイン専用商品として、チロルチョコ40個を詰め合わせた『スイートチロルカップ』(税抜き参考価格500円)を販売中です。味は『いちごマシュマロ』『みるくもち』『チョコレートケーキ』など6種類です。バレンタインを盛り上げようと、パッケージをかわいくデザインしました」と話します。

 さて、今年のバレンタイン市場は?

 日本記念日協会(長野県佐久市)は、今年の「バレンタインデー」の市場規模を約1260億円と推定、前年比で約3%減と見ています。微減となりそうな理由について、協会は「自分にしか関心がない人の増加」「メディアの関心が節分の恵方巻きに移った」などの事情の他、「義理チョコはパワハラの一つになりかねないという認識が広まりつつあるから」と分析しています。

 協会の予想通り、義理チョコの減少などで市場規模が縮小するのか。メーカー各社の取り組みが功を奏するのか。これから大詰めを迎えるバレンタイン商戦に注目です。

オトナンサー編集部

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