「真剣交際」に入ると破局する婚活男女の特徴

“真剣交際”に入ると、価値観、生活スタイルなどの違いを感じるようになることがある(写真:Fast&Slow / PIXTA)
お見合いの後、“交際”の段階ではウマが合うと思っていても、結婚に向かう“真剣交際”に入ると、価値観、生活スタイルなどの違いを感じるようになることがある。
仲人として婚活現場にかかわる筆者が、毎回婚活者に焦点を当てて、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、真剣交際に入ってからすれ違っていったカップルについてつづる。

「やっと理想通りの女性に出会えました。毎週末デートをしていますが、一緒にいると楽しい。“真剣交際”に入ろうと思います」

島崎晃(42歳、仮名)が、弾む声で連絡を入れてきた。真剣交際に入る相手、浅野晴美(42歳、仮名)とお見合いしたのは、2カ月前のことだった。

結婚相談所には、“交際”と“真剣交際”の区分がある。お見合いは、自然な出会いとは違う。生活圏内の自然な出会いは、人柄を知りそこから恋愛関係になり、結婚へと進んでいく。 

交際に入っても、腰が重く動かない人々

ところがお見合いは、それまでまったく面識のなかった2人が、結婚相手を探すという目的で出会う。そこでまずは、相手の人柄を知る時間が必要になる。それが“交際”の期間だ。この期間は、何人と交際していてもいいし、また新たなお見合いをしてもよい。

それを経て、“この相手とは結婚に向かえる”と思ったときには、“真剣交際”に入る。このときは、ほかに“交際”に入っていた人たちすべてを“交際終了”にして、1人と真剣に向き合う。

晃は、お見合い婚活を始めて半年経ったのだが、これまで、“交際”に入っても、1度か2度食事をすると、“交際終了”となることが続いていた。

これは結婚相談所で活動している人たちのありがちな行動パターンなのだが、交際に入っても積極的に動かない。

お見合いの後、お互いが“交際希望”を出すと、仲人を通じて連絡先を交換する。その後、翌日の21時を目安に、男性側が女性にファーストコールをするのが通例だ。

そして、次に会う日を決めるのだが、「今仕事が忙しいので、来月に入ったら連絡します」「今週末は出張があるので、帰ってきたら連絡します」「親の体調が思わしくなくて週末の予定が立たないんです」などと理由をつけ、会うことを先延ばしにする人たちがいる。

こういうタイプの相手とは、交際に入っても、ほぼほぼうまくいかない。

私は、会員たちにいつも言っている。

「婚活には、“食事3回の壁”があって、そこまでトントンとクリアできる人は、真剣交際に入れる確率が高いし、結婚まで進めるケースが多いんですよ。だから3回目の食事までは、期間を空けずに会うようにしましょう。お会いするのは週末だけではなく、ウィークデーの真ん中、水曜か木曜の会社終わりに、軽く食事や飲みに行ったりする時間をつくるのもいいですよ」

晃も、お見合い後に交際に入ると、マメに連絡を入れて会う日程を調整しようとしていたようだ。ところが、なかなか予定を出してこない女性たちが多かった。

「メールをしても、返信が2、3日経たないとこないんです。相手に会えたのは、お見合いから1カ月後でした」

この女性とは、1カ月後に1回食事をして、“交際終了”となった。

また、こんな女性もいた。

「石崎さん(仮名)、来週から8日間、パリに旅行に行くとかで、帰ってきてから連絡をくださるそうです」

「海外」で気持ちが変わってしまう

昨今、旅行好きの女性が多く、彼女たちは長期休暇を利用して海外旅行に出掛けていく。交際に入った日が浅いうちに海外旅行に出掛けた女性と、その後、成婚した男性会員は私の相談所にはいない。

女性が海外旅行から帰ってきて、1、2度会って“交際終了”になるか、帰ってきてから一度も会わずに“交際終了”になるかのどちらかだ。

理由を分析すると、海外に行き日本とは違う景色を見たり、体験をしたりしたことで、日本にいたときとは気持ちがガラリと変わってしまうからではないだろうか。

“鉄は熱いうちに打て”ということわざがあるが、人を好きになる感情は出会って、ホットなうちにどんどん育てていかなければ、気持ちが下がってしまう。下がると相手への興味も一気になくなる。

“振ったり”“振られたり”を繰り返し、うまくいかなかった晃だったが、晴海は違っていたようだ。

「晴海さんは、メールをするとその日に返信が返ってくる。週末は必ず会っているし、週の真ん中は電話で話すようにしています。なんだかうまくいきそうな予感がしています」

こうして、交際をすること2カ月で晃と晴海は真剣交際に入った。

しかし、真剣交際に入るや、「ちょっとご相談したいことがあります」と面談希望の連絡が入った。

事務所にやってきた晃が言った。

「真剣交際に入ってみたら、考え方や生活スタイルがあまりにも違うので、結婚に向かえるのかが、疑問になってきました。晴海さんは公務員の仕事をして20年、お給料が安定していて自立をしているから、生活スタイルも出来上がっている。でも、僕には僕の生活してきたスタイルがあるし、何もかもを彼女に合わせたら、窮屈です」

晃は外資系IT企業に勤めていて、仕事がシフト制。ずっと自由な社風の中で、仕事をしてきた。

こんなことがあった。

ある日曜日、昼に待ち合わせをして映画に行った。その日は、映画を見終えたらスーパーで買い出しをして、晴海のひとり暮らしのアパートに行き、パスタとサラダを作って食べることになっていた。

「スーパーに行ったときに、ビールと落花生とポテトチップスをカゴの中に入れたんです。そうしたら、『なんでおつまみを2つ買うの? 夕食もあるんだし、1つにしたら』って、ポテトチップスは棚に戻されてしまいました」

その後、彼女の家に行き、晃はテレビを見ながら、落花生をつまみにビールを飲み出した。すると、夕食の準備にかかろうとしていた晴海に「ご飯の前に間食したら、夕食が食べられなくなるよ」と、少量の落花生を小皿に出され、残りは持っていかれてしまった。

口うるさい母親と一緒にいる気分に

「こんなふうにすごく細かいことを注意してくるんですよ。夕食がボンゴレとサラダで、そのサラダにドバドバとドレッシングをかけたら、『そんなにかけたら、塩分取り過ぎになる』と。言ってることは正論なんです。でも、なんだか口うるさい母親と一緒にいる気持ちになってしまって」

今はお互いの家を行き来するデートをしているようだが、自宅解禁にも晴海のルールがあった。

「真剣交際に入って、僕が『晴海さんの家に行ってみたいな』と言ったら、『男性の家に最初に行くのが筋』と言って、僕が先に呼ぶまでは、彼女の家には入れてくれなかった」

実は晃はバツイチで、現在住んでいる一軒家は前の結婚で購入したものだった。子どもができなかったので、気持ちのすれ違いとともに協議離婚したのだが、別れた妻が持っていかなかった家財道具や調度品などがまだ残っており、“処分しよう”と思いつつも面倒で先延ばしにしていて、家の中も散らかっていた。

「まあ、いい機会だったんで大掃除しましたよ。粗大ゴミを引き取ってくれる業者を頼んで、いらない家具や元妻が残していったものを大量に捨てました」

そして、ある週末に晃の家に晴海を招待したら、翌週には、彼女が自分の家に呼んでくれたのだという。

9月の3連休を利用して、2泊3日で伊豆へ旅行に行った。

「国内旅行だし、僕はある程度行くところの目星をつけて、計画通りにいかなければ、それもよし。旅館に戻って、温泉に入ってゆっくりしたかった。ところが彼女は、着いたらまずは何時にどこでうなぎを食べて、有名なコロッケを食べて、自然公園に行って、美術館に行って……と、こんな調子で3日間のスケジュールがびっしり決まっていたんです。なんだか疲れてしまいました」

彼女の決めたことに「もっとユル~く行こうよ」と言ったら、そこからケンカになってしまった。

そして、旅行から帰ってきてからは、ささいなことでも言い争うようになった。

「最近彼女が、『やっぱり私たちは、結婚してもうまくいかないかも』と言いだしたんです。彼女は、結婚相談所に入って、2年間お見合いをしてきて、ここまで真剣に結婚を考えられたのは、僕だけだったと言うんですね。で、もしこれがダメになったら、『もう婚活はやめて、これからは1人で生きていく』と」

そう言われてしまうと、無責任にこの関係を放り出すこともできず、踏みとどまる自分もいた。

「ただ、僕は一度結婚に失敗をしているから、勢いで次の結婚をしたくない。これは、失敗して学んだんですけど、結婚ってこれまで違った人生を送ってきた人が1つ屋根の下で暮らすこと。それまでのライフスタイルや理想を相手に押し付けていたら、うまくいかないんですよ。違う考え方を認め合って、受け入れていかないと」

「価値観が自分とは違う」と判断してしまう

晃が言うことは、もっともだ。今、30代後半、40代、50代の婚活初婚者が相談所には多いのだが、お見合いは繰り返すものの、なかなか成婚しない。

理由の1つは、先に述べた“婚活の腰が重く、交際に入っても行動を起こさない”こと。もう1つは、晃の言う“自分のライフスタイルや理想を相手に押し付け”、そこで“この相手と自分は価値観が違う”と判断をし、交際を終了させてしまうことだ。

会員たちを見ていると、20代は活動を始めてから瞬く間に相手を見つけ、成婚退会をしていく。それは選択肢が多いというのもあるが、考え方が柔軟で、まだ自分の確固たるライフスタイルが出来上がっていないので、相手を受け入れる許容範囲が広いからだ。

ところが、年を重ねれば重ねただけ、積み上げてきた経験や得てきた知識によって、自分の理想やライフスタイルを確立させてしまう。そして、かたくなにそれを曲げようとしない。

晃と晴美は、どこまでお互いが歩み寄れるのか。見守ろうかと思っていた矢先、2人で話し合い、“交際終了”となってしまった。

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