配送用ドローンを撃墜したらどうなるのか?


近年では、AmazonやAlphabet傘下のドローン企業「Wing」、ウォルマートなどの企業がドローンを使った配送サービスを展開しています。しかし、ドローン配送サービスの規模拡大によって、悪意を持った人物によってドローンが撃墜されてしまう懸念が高まっています。
What happens if you shoot down a delivery drone? | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/07/07/what-happens-if-you-shoot-down-a-delivery-drone/


Florida man shot Walmart drone he thought was 'watching him'
https://nypost.com/2024/07/02/us-news/florida-man-shot-walmart-drone-with-9mm-because-he-thought-it-was-watching-him/
配送用ドローンが撃墜される事件はすでに現実のものとなっており、2024年6月26日にフロリダ州クレルモントでは、ウォルマートの配送用ドローンが9mm拳銃で撃墜される事件が発生しています。
ドローンを撃墜したとして逮捕されたデニス・ウィン容疑者は「ドローンが自宅を監視していたため追い払おうとした」「自宅の上空や周辺をドローンが飛行したのは今回が初めてではない」と供述しています。ウォルマートの担当者によると、事件当時は配送のデモンストレーションを実施していたとのこと。
ウィン容疑者は公共の場での銃火器の発砲や、1000ドル(約16万円)以上の損害をもたらしたとして起訴されました。さらにウォルマートはウィン容疑者に対し2500ドル(約42万円)の損害賠償を請求しています。
アメリカでは成人の約32%が銃火器を所有していることが報告されており、ドローン配送サービスの規模拡大に伴って撃墜の危険性が高まっています。


連邦航空局(FAA)は、2016年にアーカンソー州で発生したドローン銃撃事件を受けて、ドローンの撃墜に関する法的解釈を説明しています。「航空機の破壊工作(18 U.S.C. 32)」という法律では、「アメリカの特殊航空機管轄区域にある航空機、または州間、海外、外国の航空商取引で使用、運用される民間航空機の理不尽な破壊」を禁じており、18 U.S.C. 32には「航空機の安全を危険にさらす可能性がある場合、乗務員だけでなく、航空機上の人に対して暴力行為を行うことを連邦犯罪とする」との規定も含まれています。FAAはこの規定にドローンを含めた無人航空機(UAV)も該当すると主張しています。
つまり、ドローンの撃墜は18 U.S.C. 32に該当する重大な法令違反となるわけです。しかし、記事作成時点ではドローンの撃墜に関する具体的な法律は施行されていません。


それでも、海外メディアのTechCrunchは「アメリカ国内でドローン配送サービスがその規模を拡大するにつれて、ドローンの撃墜に関する法律が明確に定められるかもしれません。具体的には、ドローンの撃墜に損害賠償だけでなく、罰金刑や懲役刑などが加わる可能性があります」と述べています。

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