仮想通貨強盗のために被害者を脅迫・暴行・拷問・誘拐していた窃盗団のリーダーに有罪判決が下される


アメリカ・ノースカロライナ州グリーンズボロの裁判所が2024年6月25日に、仮想通貨を盗み出すためにユーザーの自宅に侵入し、暴行を働いたのちに仮想通貨を送金するよう脅迫したとして、フロリダ州に住むレミー・フェリックス被告人に対し有罪判決を下しました。
Office of Public Affairs | Man Convicted of Violent Home Invasion Robberies to Steal Cryptocurrency | United States Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/man-convicted-violent-home-invasion-robberies-steal-cryptocurrency


Florida Man Convicted for Violent Kidnapping, Assault and Crypto-Stealing Scheme - The Daily Hodl
https://dailyhodl.com/2024/06/28/florida-man-convicted-for-violent-kidnapping-assault-and-crypto-stealing-scheme/
窃盗団のリーダーであるフェリックス被告人は2022年9月から2023年7月にかけて、フロリダ州やテキサス州など複数の州において、集団で住居に押し入り、被害者を脅迫、暴行、誘拐した上で仮想通貨を自身のウォレットに送金させるよう仕向けたとされています。
法廷文書によると、フェリックス被告人らの窃盗団は被害者の住居に侵入した後、被害者に対し「指や性器を切り落とす」などと脅迫したり、熱したアイロンを押し当てたりするなどの暴行を働いたとのこと。
実際に2023年4月に発生した事件では、フェリックス被告人ともう1人のグループが住居に侵入し、被害者をロープで縛り付け、被害者とその家族に銃を突きつけて15万ドル(約2400万円)相当の仮想通貨を盗み出したことが報告されています。そのほか、別の事件ではフェリックス被告人らは被害者の女性とその家族に拳銃やライフルを突きつけ、仮想通貨取引所のパスワードを教えるよう脅迫。以前にもハッキング被害を受けていたこの被害者がパスワードを明かすのを拒否したところ、フェリックス被告人らは被害者の自宅にあった婚約指輪やスマートフォン、ノートパソコン、現金などを盗んで立ち去っています。


司法省の報告では、フェリックス被告人らは事前にターゲットの電子メールアカウントをハッキングし、監視を行った上で犯行に及んだとされています。さらに、仮想通貨を盗み出した後は、Moneroなどの匿名性を高めた仮想通貨に変換したり、インスタント取引所や顧客確認を行わない分散型プラットフォームなどを利用したりして、盗んだ資金の洗浄を行いました。また、フェリックス被告人らは暗号化されたメッセージングアプリケーション「Telegram」を使い、標的とマネーロンダリングの方法について連絡を取り合っていたそうです。


しかし、2023年7月にフェリックス被告人はFBIによってニューヨークで逮捕されました。後に共謀者のうち13人も逮捕され、合計11件に上る犯行について容疑を認めています。
2024年6月25日に行われたフェリックス被告人に対する裁判で、陪審員は共謀罪や誘拐罪、ホッブズ法に基づく強盗罪、電信詐欺罪、暴力犯罪の助長に関する銃器の取り扱いなど9つの罪で有罪判決を下しました。フェリックス被告人に科せられる量刑は2024年9月11日に言い渡される予定で、連邦地方裁判所の裁判官が量刑ガイドラインや法定要因を考慮し、最低7年の禁錮刑、最高で終身刑が科せられることとなります。
司法省刑事局長のニコール・アルジェンティエリ主席副司法次官補は「フェリックス被告人とその共謀者たちは、仮想通貨を盗むために、住居侵入や誘拐、暴行などの残忍な犯行に及びました。今回の判決は、犯罪がどれほど技術的に洗練されようとも、暴力的な犯罪者は必ず法の下で裁かれることを改めて思い起こさせるものとなりました」と述べています。


また、ノースカロライナ州中部地区のサンドラ・ヘアストン連邦検事は「この事件による被害者は、恐ろしく苦痛な経験を被りました。被告人とその共謀者は、純粋な貪欲さから今回の犯行に及び、ターゲットとなった人々を恐怖に陥れました。今回の判決は、これらの被害者のために正義を確保するための重要なステップです」と語りました。

ジャンルで探す