帝王切開で生まれた子どもは麻疹ワクチンが効きにくいという研究結果

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帝王切開は子宮を切開して胎児を外科的に取り出す出産方法のことであり、通常の分娩(ぶんべん)だと母体や胎児に危険がある場合に選択されます。1500組以上の母子を対象にした新たな研究では、帝王切開で生まれた子どもは自然分娩(経膣分娩)で生まれた子どもと比較して、麻疹(はしか)ワクチンが効きにくいことが判明しました。
Dynamics of measles immunity from birth and following vaccination | Nature Microbiology
https://www.nature.com/articles/s41564-024-01694-x

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Birth by C-section more than doubles odds of measles vaccine failure | University of Cambridge
https://www.cam.ac.uk/research/news/birth-by-c-section-more-than-doubles-odds-of-measles-vaccine-failure
How You Were Born Could Change Your Response to Life-Saving Medicine : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/how-you-were-born-could-change-your-response-to-life-saving-medicine
出産における帝王切開の割合は年々増加しつつあり、厚生労働省の調査では日本において帝王切開を行った割合は2020年に27.4%に達し、4人に1人は帝王切開を行っている計算になります。また、イギリスでも全出産の約3分の1、ブラジルとトルコでは過半数が帝王切開で出産しているとのこと。
その一方で、帝王切開で生まれた赤ちゃんは母親の膣(ちつ)から細菌を獲得することができず、腸内細菌叢(そう)が自然分娩の赤ちゃんと異なることが指摘されています。腸内細菌叢の違いは生後9カ月で消失するといわれていますが、帝王切開で生まれた子どもは小児肥満や喘息、糖尿病を発症する可能性が高くなるという研究結果や、母親の膣分泌液を赤ちゃんに塗ることで脳の発達にメリットが生じるという研究結果も報告されています。
母親の膣分泌液を赤ちゃんに塗ることが脳の発達にメリットをもたらす可能性 - GIGAZINE

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イギリスのケンブリッジ大学と中国の復旦大学の研究チームは、中国湖南省で生まれた1500人以上の赤ちゃんを対象とした過去の研究データを分析しました。過去の研究では、生まれてから12歳になるまで数週間おきに子どもの血液サンプルを採取しており、麻疹の抗体レベルがどのように変化したのかを調べることができたとのこと。
分析の結果、最初の麻疹ワクチンで免疫反応を示さなかった割合は自然分娩で生まれた赤ちゃんで約5%だったのに対し、帝王切開で生まれた赤ちゃんでは12%(2.56倍)に達することが判明しました。
幸いなことに、2回目の麻疹ワクチンを打つことで、1回目の接種で免疫反応を起こさなかった赤ちゃんも麻疹の免疫を獲得できました。しかし、世界保健機関(WHO)によると2021年の麻疹ワクチン接種率は81%という記録的な低さであり、2回目の接種を受けた割合は71%にとどまったとのことで、接種率の低迷が世界的な問題となっています。
麻疹は発熱やせきといった風邪のような症状や発疹が現れ、1000人に1人の割合で脳炎を発症し、先進国であっても罹患(りかん)者の1000人に1人は死亡するという危険な病気です。麻疹ウイルスは非常に感染力が高いため、せきやくしゃみなどをきっかけに空気感染で人から人へ伝染します。
麻疹の最も効果的な予防法はワクチン接種ですが、集団免疫を獲得するには最低95%のワクチン接種率が必要であり、接種率低迷が続く近年はアメリカなどの先進国でもたびたび麻疹が流行しています。

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論文の共著者であるケンブリッジ大学のヘンリック・サルジェ教授は、「帝王切開では経膣分娩と異なり、子どもは母親のマイクロバイオームにさらされません。これにより、腸内細菌叢の発達に時間がかかり、麻疹を含む病気へのワクチンで免疫系を活性化させる能力も低下する可能性があると考えています」「帝王切開で生まれた乳児は、1回目の予防接種が失敗する可能性が高いため、2回目の麻疹ワクチン接種を受けさせるためにフォローアップしたいのです」とコメントしました。

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