乳首でわかる健康状態を解剖学者が解説

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乳首は、母乳で子育てをするわけでもない男性にとってはあってもなくてもいいように思える器官ですが、性別にかかわらず乳首には健康に関する重要なヒントが隠されています。そんな乳首に関する医学的な知識や知られざるトリビアを、専門家が解説しました。
What your nipples can tell you about your health
https://theconversation.com/what-your-nipples-can-tell-you-about-your-health-228757
イギリス・ブリストル大学の解剖学者であるダン・バウムガード氏は、よく乳首について尋ねられるとのこと。例えば、「なぜ男性にも乳首があるんですか?」「乳首が性感帯とみなされるのはなぜ?」といった質問です。
◆乳首と健康
半分冗談じみた質問はさておき、乳首は授乳中の女性にとって重要な機能を持っています。乳首には乳児への授乳に反応する複数の神経があり、これによってオキシトシンというホルモンの放出が促され、乳房からの母乳の分泌が促進されます。
乳首の周りの色が付いた部分、つまり乳輪にも役割があります。乳輪の皮膚には保護作用を持つ物質を分泌する腺があり、授乳中のこすれといったダメージから乳首の周りを守っていると考えられています。
オキシトシンのトリガーとなるのは授乳に限らず、時には赤ちゃんの泣き声が脳の下垂体を刺激し、これがオキシトシンを分泌させることもあります。

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一方、授乳中ではない人の乳首から母乳が出た場合、下垂体の良性腫瘍であるプロラクチノーマが原因で、「乳汁分泌ホルモン」とも呼ばれるプロラクチンが異常に分泌されている可能性があります。
プロラクチノーマは男女を問わず発症する可能性があり、下垂体の腫瘍が大きくなって視神経が圧迫されると視力障害が引き起こされるおそれがあります。また、乳がんでも乳首から分泌物が出ることがあるので、バウムガード氏は「乳首のしこり、隆起、そのほかの異常などに気づいたらすぐに医師に報告してください。また、乳房組織の定期的な検査も不可欠で、マンモグラフィー検査も必ず受けるようにしてください」と述べました。
ただし、乳首から母乳ではない分泌物が出ても、必ずしも乳がんが原因とは限りません。妊娠中や経口避妊薬の服用中にも乳首から分泌物が出る場合があるほか、乳房組織の感染症である乳腺炎も分泌物の原因となります。乳腺炎は授乳中の母親に起きるのが一般的ですが、授乳中でない女性や男性でも発生することがあります。
◆乳首の豆知識
「ザ・シンプソンズ」のようなテレビ番組には3つ目の乳首を持つキャラクターが登場することがありますが、俳優のマーク・ウォールバーグやシンガーソングライターのリリー・アレンなど、実在の有名人の中にも普通より多く乳首を持つ人がいるとのこと。特に、歌手のハリー・スタイルズには4つの乳首があるそうです。
全体として、人口の1~6%の人が3つ以上の乳首を持っていると推測されていますが、この数字は地域によって偏りがあり、アメリカでは最大6%なのに対して、ハンガリーではわずか0.22%とされています。追加の乳首は、ほくろのような皮膚の色素沈着として気づかれないままになることもあれば、乳房組織を伴っていて、痛みや敏感さ、腫れなどの自覚症状が現れるケースもあります。
このように余計な乳首があるのは、一度にたくさんの子どもに授乳するために哺乳類が持つ「ミルクライン」によるものではないかと考えられています。犬や猫とは異なり、人間では2つ以外の乳首は胎児のうちになくなるのが普通ですが、中には余計な乳首が残る場合もあります。

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by The Geneva Foundation for Medical Education and Research
乳首の位置は重要で、胸の乳首がずれている場合は片側の胸筋が欠損または異常に発達するポーランド症候群の可能性があります。
My Poland syndrome - YouTube

バウムガード氏は「乳首の異常は、乳房が深刻な状態にあることを示している可能性があるほか、神経障害や発達障害の兆候の場合もあります。従って、乳首や乳房の変化には細心の注意を払い、異常があったらできるだけ早く医師に相談することが重要です」と述べました。

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