太陽光発電業界は慢性的な人手不足、巨大ロボットが改善の切り札に

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太陽光発電産業は急速に発展しており、ソーラーパネルのコストが低下した影響で、2020年のアメリカでは2010年と比較して25倍の太陽光発電量が記録されました。しかし、大規模な太陽光発電施設は太陽光を遮るものがない広い空間に大量のソーラーパネルを設置する必要があるため、遠方への通勤時間と重労働の作業時間を合わせてかなりの労働力を必要とし、深刻な人手不足が業界の問題となっています。その問題解決に、設備を建設する巨大ロボットの活躍が期待されています。
Robotic solar workers could solve the industry's labor shortage - Fast Company
https://www.fastcompany.com/91108331/these-solar-assembling-robotic-arms-could-solve-one-of-the-industrys-biggest-problems

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ロボット工学エンジニアのバンクス・ハンター氏は、建設中の太陽光発電所を見学した際の驚きを述べています。その施設ではサッカーフィールド数万個分の広さに約200万枚のソーラーパネルを設置しており、何百人もの労働者がパネルの並ぶ列を行ったり来たりして作業していました。設置プロセスの完了には6カ月かかり、ハンター氏は「この信じられないほど手作業のプロセスは、非常識に感じられます。エネルギー移行に向けてこのプロセスが安定する未来は見えません」と述べています。
ハンター氏はマサチューセッツ工科大学在学時代の元クラスメイトであるエンジニアのマックス・ジャスティッツ氏と協力して、太陽光発電施設の改善に取り組みました。2人が太陽光発電会社と話をする中で、ほとんどの会社が「新しいプロジェクトの需要に圧倒され、労働力の確保に苦労している」ということがわかったそうです。そこでハンター氏とジャスティッツ氏はCharge Roboticsという会社を設立し、太陽光発電施設の建設プロセスを一部自動化できるよう取り組みました。

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主な大規模太陽光発電施設の設置は、4つの手順に分かれています。まず、鉄鋼の杭を地面に打ち込んで土台とします。次に、フォークリフトでソーラーパネルの入った段ボール箱を持ち上げ、各設置場所に配布します。作業自体は単純ですが、施設は40平方キロメートルにも及ぶ規模の場合、パネルの配布だけでも重労働です。3番目のステップではパネルを固定するフレームをひとつずつネジで固定。最後に、作業員が現場を歩き回りながらパネルをフレームに取り付けていきます。
Charge Roboticsは2番目以降の手順を担うため、施設を移動しながら作業できるポータブル工場となるロボットを製作しました。土台の固定は従来通りですが、そこにソーラーパネルやフレームを固定できるロボットを輸送用コンテナのような形で移動させ、組み立て終わったものを各場所に配送していきます。

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「Sunrise」と名付けられたこのシステムは、それまで数百人を必要としていたソーラーパネル取り付け作業を、オペレーターとドライバー、少数の技術者のみで完了させているとハンター氏は説明しています。より大規模な現場でも、従来の作業から大きく変えていないため作業員と組み合わせて使用でき、設置速度を2倍にできる可能性も期待されています。

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ハンター氏は「正直に言って、建設会社が新しいテクノロジーに対して警戒しているのは当然です。建設現場でロボット工学や新技術を売り込もうとする案件は数多く発生しており、その多くがうまく機能しません。今回のケースでは、大手太陽光発電設置業者であるSolv Energyが私たちのシステムに衝撃を受けて提携してくれたことが嬉しいです」と語っています。

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