「太古の火星が地球と似た環境だった」ことが火星探査機のキュリオシティが発見した証拠から明らかに

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by 2di7 & titanio44
火星は太陽系の中でも特に地球と似ている星といわれており、かつて水が存在していた証拠や、生命の兆候の可能性がある有機化合物などが発見されています。新たに、NASAの火星無人探査機であるキュリオシティが、「太古の火星が地球に似た環境だった」ことを示す証拠を発見しました。
Manganese‐Rich Sandstones as an Indicator of Ancient Oxic Lake Water Conditions in Gale Crater, Mars - Gasda - 2024 - Journal of Geophysical Research: Planets - Wiley Online Library
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2023JE007923

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New findings point to an Earth-like environment on ancient Mars
https://discover.lanl.gov/news/0501-ancient-mars/
More evidence that ancient Mars was Earth-like and habitable • Earth.com
https://www.earth.com/news/manganese-discovery-ancient-mars-earth-like-water-lake-habitable/
火星探査機のキュリオシティは合計80kgを超える科学機器を搭載しており、火星表面の物質について詳細な分析を行っています。そんなキュリオシティに搭載された科学機器のひとつが、岩石や土壌の元素組成を分析する「ChemCam」です。
今回ロスアラモス国立研究所の研究チームはChemCamが収集したデータを分析し、キュリオシティが探査を行っているゲールクレーターの底の岩石に、通常よりも高濃度のマンガンが含まれていることを発見しました。ゲールクレーターはかつて湖の底だったと考えられており、マンガンも湖底に堆積していたとみられています。

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ロスアラモス国立研究所の宇宙科学・応用グループのパトリック・ガスダ氏は、「地球上では大気中の酸素濃度が高いため、光合成を行う生物とマンガンの酸化反応を触媒する微生物により、このような堆積物が常に発生しています」とコメントしています。
しかし、火星にはかつて生命が存在したという確証はなく、太古の火星で大気中の酸素を生成するメカニズムも不明であるため、ゲールクレーターでこれほど高濃度のマンガンが見つかったのは驚きだとのこと。
ガスダ氏は、「これらの発見は、火星の大気や地表の水で、より大きなプロセスが起こっていたことを示唆するものです。そして、火星の酸化を理解するためには、さらなる研究が必要であることも示しています」と述べました。

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地球上では、マンガンは大気中の酸素によって濃縮され、そのプロセスは微生物によって加速されることがよくあるそうです。地球上の微生物は、酸化マンガンを代謝のエネルギーとして利用できるため、もし太古の火星に生命が存在していたとすれば、湖底のマンガンは有用なエネルギー源になった可能性があります。
ChemCam機器の主任研究者であるロスアラモス国立研究所のニナ・ランザ氏は、「これらの太古の岩石によって明らかになったゲールクレーターの湖の環境は、今日の地球と驚くほど似ている居住可能な環境が火星にあった可能性を示唆するものです。マンガン鉱物は、地球の湖岸にある浅くて酸素豊富な水域でよく見られるもので、太古の火星でこのような特徴が見つかるのは驚くべきことです」と述べました。

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