ブロッコリーに含まれるがん予防成分「スルフォラファン」は脳卒中も防ぐとの研究結果


ブロッコリーやカリフラワー、ブロッコリースプラウトなどアブラナ科の野菜には「スルフォラファン」と呼ばれる化合物が含まれています。このスルフォラファンは、がんの予防やコレステロールの低下などの効果があると考えられているのですが、オーストラリアのシドニー大学の研究チームが新たに脳卒中の予防にも役立つ可能性があるとの研究結果を発表しました。
Integrating Phenotypic and Chemoproteomic Approaches to Identify Covalent Targets of Dietary Electrophiles in Platelets | ACS Central Science
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acscentsci.3c00822
Broccoli's Anti-Cancer Compound Could Have a Whole Other Health Benefit : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/broccolis-anti-cancer-compound-could-have-a-whole-other-health-benefit


Common veggie could help prevent and treat stroke
https://www.hriuk.org/news/common-veggie-could-be-secret-weapon-to-treat-stroke
血液成分の1つである血小板は、傷口をふさいで止血する上で重要な役割を果たしますが、特定の状況下では、血小板が詰まって、血流を完全に遮断する危険な血栓を形成することがあります。脳や心臓などの生命に関わる組織で血栓が形成されると、組織に酸素を循環させることができなくなり、生命の危機に直面することになります。
ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に多く含まれるスルフォラファンは、抗凝固剤としての性質があることが知られており、がん予防など、さまざまな健康上の利点が注目されてきました。研究チームは、スルフォラファンを分子レベルで分析し、PDIA6と呼ばれるタンパク質の活性を促すことで、動脈と同様の条件下で血小板の凝集を遅らせ、血栓の形成を阻害できる可能性を示しました。
研究チームのリュウ・シュウ氏は「ブロッコリーに含まれるスルフォラファンは、脳卒中患者の血栓を破壊する薬の効果を向上させるのに効果があるだけでなく、脳卒中のリスクが高い患者への予防薬としても使用できる可能性があります」と述べています。


今回の分析によって、脳への影響がすぐに現れる、脳卒中を発症した緊急を要する患者にもスルフォラファンが役立つ可能性が示されました。また、従来の血栓破壊薬である組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)は、脳の損傷を防ぐ効果が現れる確率が約20%だった一方で、スルフォラファンとtPAを組み合わせると、その効果が現れる確率が最大60%にも達する可能性があることがわかりました。
さらにリュウ氏は「興味深いことに、血液をサラサラにする薬剤によく見られる、『出血が止まりにくくなる』という副作用がスルフォラファンを使った実験では確認されませんでした」と報告しています。


オーストラリアでは、毎年5万5000人もの脳卒中患者が生まれ、1日におよそ23人が死亡しています。リュウ氏は「スルフォラファンを用いた脳卒中予防のブレークスルーは、命を救う新薬開発への道を開く可能性があります」「私たちは、大きな有益な効果をもたらす可能性のある化合物を分析できたことをうれしく思います」と述べています。
なお、今回の研究は初期段階にあるため、人間を対象としたテストは行われていません。リュウ氏は「ブロッコリーを食べるだけで脳卒中のリスクを下げる可能性があるかどうか、今後の研究で検証していく予定です」と語りました。

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