シリアスで暴力的な物語や暗い作品ほどユーモアが大事だというアドバイス

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物語を創作している際には、作品に合った雰囲気作りが重要です。犯罪や暴力を主に取り扱う作品の場合、シリアスでダークな雰囲気を作ることが望ましいですが、そのような作品ほどユーモアで明るいシーンを折り込むことがさらに重要である理由について、スリラー作家のE・A・アイマール氏が解説しています。
The Importance of Humor in Crime Fiction ‹ CrimeReads
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緊張感のあるシーンや深い悲しみの雰囲気の中で、直感に反するようなコメディシーンを挟むことで読者の感情を動かす「コミック・リリーフ」というテクニックがあります。コミック・リリーフはコメディシーンを有効に活用することで、さまざまな感情の質感を作り出し、皮肉を込めた笑いでメッセージを伝えたり、状況のリアリティを強調したりと、説得力のあるストーリーに仕上げることができます。
シリアスなシーンにコメディを挟む「ストーリーに説得力を持たせるコミック・リリーフ」の技法とは? - GIGAZINE

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アイマール氏は、コミック・リリーフと同じように、犯罪や暴力を扱う作品においてユーモアを巧みに使うことで、暗い雰囲気の中での明るいシーンを強調することができると述べています。そして、そのテクニックに優れた作家として、ジャーナリスト兼作家のカール・ハイアセン氏を挙げました。
ハイアセン氏が2004年に出版した「Skinny Dip(復讐はお好き?)」では、妻を殺害しようとした夫・チャズが、生き延びた妻・ジョーイにさらなる犯罪計画を妨害されるストーリーが描かれます。チャズのあくどい犯罪計画など、危険で暴力的な要素を扱っているものの、ロマンスやユーモアによって作品は暗い雰囲気になりすぎないよう彩られているとアイマール氏は指摘しています。

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また、アイマール氏によると、ユーモアによってキャラクターを確立することもできるとのこと。会話の中でユーモアを交えた返答をしたり、皮肉交じりのブラックユーモアを会話に折り込んだりすると、そのキャラクターがどのような考えか、何を重要と考えているかなどが、より表れやすくなります。
その他、アメリカの犯罪小説作家であるルー・バーニー氏は、ユーモアによって「暖かさ」を効果的に生み出しています。犯罪を扱った物語は、しばしば暗い雰囲気に満たされて、トリックの興味深さや心理描写の巧みさといった味わいを鮮やかに伝えきれないことがあります。バーニー氏のようにユーモアによって作品に暖かみを与えることで、作品の魅力がより鮮やかに伝わるようになるとアイマール氏は解説しています。

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アイマール氏自身も、暗殺者から逃亡するカップルを描くスリラー「When She Left」を執筆する際に、ユーモアによってキャラクターに厚みを加え、作品に暖かみを与えることを意識したそうです。アイマール氏は「私たちには、寒いときに読者が立ち寄れる場所である、暖かさが必要なのです」と語っています。

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