Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


プリント基板(PCB)上に配線や各種ICチップ、コネクタなどを実装したものがマザーボードです。Nintendo Switch Liteのマザーボードを、1917本のワイヤーを使ってリバースエンジニアリングしてしまった猛者が登場しており、その成果が公開されています。
Switch Lite Boardview
https://usoldering.com/switch-lite/

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


マザーボード上に存在する各種コンポーネントは露出した取付パッドにはんだ付けされており、このパッド間を銅のレイヤーで接続することで、電気回路が形成されます。各種コンポーネントがどこに接続されているのかの完全なリストはネットリストと呼ばれ、部品およびパッドの形状と組み合わせることで、ボードビューとなります。ボードビューをPCBの両面の参照イメージと合わせることで、マザーボードの出力データが完成します。
医療・航空宇宙・軍事・産業分野にサービスを提供するエレクトロニクス受注製造業で10年以上の経験を持つというμSolderingさんは、Nintendo Switch Liteのマザーボードのボードビューを作成するために、リバースエンジニアリングを実施。その際のポイントとして以下の3つを挙げました。
1:組み立てられたPCBの幾何学的で色の正確なパノラマ画像を6000ppiで作成するプロセス
2:パノラマ上に幾何学的パーツ/パッドデータを描画でき、他の任意のデータの追加・変更もサポートするポイント&クリックGUI
3:PCBは任意の数のピンにひとつずつ電力を供給しており、各ステップの間にすべてのピンの状態を読み取ることが可能

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


マザーボードの高解像度画像を作成するため、PCBの裏面にあるRFシールドのはんだを除去し、写真を撮影。画像はGUIにインポートし、初期状態のパーツやパッドの位置を記録します。その後、マザーボード上の各種コンポーネントのはんだを除去し、外したパーツを個別に保管したそうです。μSolderingさんはRFシールドのはんだを除去する際には、超音波洗浄が必要だったと説明しています。低融点はんだを使用せずにRFシールドを取り外すには多くのコツが必要だそうで、このため完成したマザーボードの高解像度画像はマザーボードの上半分が下半分よりも汚くなってしまったそうです。
GUIでビニングされた位置と推定される参照指定子を記録することで、最初に作成した「パーツやパッドの位置情報」の不一致を修正。すべてのパッドが露出しショートしていない状態で、導通モードのデジタルマルチメーターの片方のリードをグランドプレーンに接続し、もう片方のリードをPCB上のあらゆるパッドにプローブし、すべてのヒットをGUIに記録。
GUIを使用し、外側の2つの基板層の視覚的な接続に基づき残りのパッドをネットフラグメントにグループ化。目に見える接続がない場合、そのパッドが独自のフラグメントであるとみなします。その後、GUIを使用してエクストラクターPCBピン自体のフラグメントであると想定し、抽出PCBピンからターゲットネットフラグメントにワイヤーをはんだ付けする順序を記録。
電源はエクストラクターPCBピンからワイヤーを伝ってネットフラグメントに入り、PCB内のすべての隠れた接続を経由して他のネットフラグメントに入り、それらのワイヤーを伝ってエクストラクターPCBに戻り、すべての隠れた接続の完全なマッピングを作成することが可能となります。エクストラクターのマッピングに基づき、すべてのフラグメントを完成したネットリストにマージします。

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


最終的に、マザーボードの表面と裏面の高解像度画像を生成するのに2444枚の写真を利用しており、マザーボード上からはんだを除去して取り外されたコンポーネントの数は760個にもおよんでいます。はんだを除去した箇所の総数は約3万176個で、これらの箇所がどのように機能しているのかを確かめるために1917本のワイヤーが使用されています。1917本のワイヤーをはんだ付けする作業には約3週間もの時間がかかっており、全行程を行うのに1年以上の時間と1万ドル(約150万円)以上の費用が費やされています。

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


なお、μSolderingさんは自身のリバースエンジニアリングの成果を公開しており、オープンソースのボードビューソフトウェアであるOpenBoardViewを使うことでデータを自由に閲覧することが可能。μSolderingさんは当初「パノラマ画像を6000ppiで作成する」としていましたが、以下のリンクで配布されているのは2000ppiです。この理由はデータ容量があまりに大きくなりすぎるためで、6000ppi版も別途配布されています。
Switch Lite Logic Board Boardview : uSoldering.com : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/switch-lite-logic-board-boardview

Nintendo Switch Liteを1917本のワイヤーを使用して力技でリバースエンジニアリングした猛者が登場 - 画像


ジャンルで探す