イギリスで発見された「ローマ時代の卵」に黄身や白身が混ざった液体が保存されていることが判明

イギリスで発見された「ローマ時代の卵」に黄身や白身が混ざった液体が保存されていることが判明 - 画像


イギリス南部にある約1700年前のローマ時代の遺跡から発掘されたニワトリの卵を3Dスキャンしたところ、殻の中に黄身や白身が混ざった液体が保存されていることが判明しました。これは中身が残ったまま発見された最古の卵の可能性があるとのことです。
Roman egg found in Aylesbury still has contents after 1,700 years | Archaeology | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2024/feb/12/roman-egg-found-in-aylesbury-still-has-contents-after-1700-years

イギリスで発見された「ローマ時代の卵」に黄身や白身が混ざった液体が保存されていることが判明 - 画像


Spectacularly preserved Roman-age egg still has its yolk and whites | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/romans/spectacularly-preserved-roman-age-egg-still-has-its-yolk-and-whites
考古学的調査を行う民間団体のOxford Archaeologyは2007年から2016年にかけて、グレートブリテン島南部のバッキンガムシャーにある都市・アイルズベリーにあるローマ時代の遺跡で発掘調査を行いました。
この発掘調査では、ローマ時代の街道脇にあった「水で満たされた穴」が見つかり、その中からさまざまなローマ時代の遺物が発見されました。この穴はもともと製麦(麦から麦芽を作るプロセス)や醸造に使用されていたそうですが、3世紀後半には住民や通行人が幸運を祈ってコインや供物を投げ入れる場所になったとのこと。
発掘時点でも水浸しだった穴からは、木製のかごや革靴、木製の道具といった通常の遺跡には残っていないような有機物が多数見つかりました。中でも考古学者らを驚かせたのが、「4個のニワトリの卵」が見つかったことです。Oxford Archaeologyによると、ローマ時代の卵はミトラスやメルクリウスと関連付けられており、豊作や再生の意味合いがあったそうです。
約1700年前の卵は非常に壊れやすく、このうち3個の卵は発掘時に割れてしまい強烈な悪臭を放ちました。しかし、主任考古学者のひとりだったスティーブ・リーチ氏が細心の注意を払い、1個の卵を無傷のまま回収することに成功しました。
実際に発掘された「アイルズベリーの卵」の写真が以下。表面の斑点までしっかり確認できます。ローマ時代の卵が無傷で見つかった例はイギリスで唯一だそうで、Oxford Archaeologyの上級プロジェクトマネージャーであるエドワード・ビドゥルフ氏は、「殻の破片は見つかることがありますが、無傷の卵は見つかったことがありません」と述べています。

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この発掘調査は2016年に終了しましたが、Oxford Archaeologyは回収した卵を保存して調査を続けていました。そして2023年、考古学保存修復家であるダナ・グッドバーン・ブラウン氏の提案で、卵の3Dスキャンを行うことになったとのこと。
イギリスのケント大学でX線顕微鏡を用いて卵を3Dスキャンした結果、殻の中に黄身や白身が混ざった液体が残っていることが判明しました。ビドゥルフ氏は、「卵が無傷であるだけでなく、卵黄や卵白などに由来する液体を内部に保持していることを示す、驚くべき画像が得られました」「殻の中身を見た時は本当にびっくりしました。私たちは、中身が浸出しているだろうと思っていたのです」とBBCに語っています。

イギリスで発見された「ローマ時代の卵」に黄身や白身が混ざった液体が保存されていることが判明 - 画像


アイルズベリーの卵はロンドン自然史博物館にも運ばれ、殻を割らずに中身を取り出して保存する方法について、鳥類の卵コレクションの上級学芸員であるダグラス・ラッセル氏らが相談を受けたそうです。ラッセル氏はBBCに対し、「これは私が今までに見た中で、意図せずに保存された最古の鳥類の卵です」とコメントしました。

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