科学者が伝授する「嫌いな食べ物を克服する7つの方法」

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大抵の人には大なり小なり食べ物の好き嫌いがありますが、人前で料理を残すと行儀が悪いと思われてしまいます。また、苦い野菜や臭いが強い発酵食品など、風味にクセがある食材には健康にいいものが多いので、食べられるようになっておくに越したことはありません。食べ物の好みが変化するメカニズムや、苦手な食材をおいしく食べられるようになるコツを、味覚の専門家が解説しました
Taste depends on nature and nurture. Here are 7 ways you can learn to enjoy foods you don't like
https://theconversation.com/taste-depends-on-nature-and-nurture-here-are-7-ways-you-can-learn-to-enjoy-foods-you-dont-like-215999
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)で味覚や食行動を研究しているニコラス・アーチャー氏と、CSIROの栄養学者であるアストリッド・ポールマン氏によると、食べ物の好みは非常に多くの要素に左右され、「食事から同じ経験をする人は2人といない」と言われるほど千差万別とのこと。
典型的な要素の1つが年齢で、幼児は甘味と塩味を好み、苦味を嫌う反面、成長するにつれて苦い食べ物が好きになります。また、アーチャー氏とポールマン氏が参加した別の研究では、唾液中の細菌が生み出す酵素により食べ物の味が変化することも判明しました。
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さらに、双子の研究では遺伝子も味覚に影響していることがわかっており、特に野菜の好き嫌いに対する遺伝的影響は54%もあったとのこと。
好き嫌いには、遺伝や体質によって生まれつき決まっている要素がある一方で、家庭環境や食文化など後天的な影響も無視できません。子どもの場合、家庭で食事をする経験や、家族が食べ物を食べるのを見るのを学習することが、食べ物の印象を肯定的にも否定的にも変化させます。そして、外で食事をすることが増える青少年や大人ではもっと多様な経験が食事の好みを形成していきます。
コーヒーやビールは、成長によって肯定的な印象を獲得する食品の代表例です。コーヒーとビールに共通する苦味は大抵の子どもが嫌う味覚ですが、大人になるための通過儀礼としての社会的文脈や、カフェインやアルコールといった成分の摂取から得た好ましい効果などによって、徐々に苦手意識が克服されていきます。

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アーチャー氏らは、上記のような知見から「今は食べられない食品を楽しめるようになる戦略」を次の7つ紹介しました。
◆1:少しずつ何回も挑戦する
時間をかけて特定の味を好きになるには、何も大量に食べる必要はなく、1回で食べる量は少しでいいとのこと。その代わり、その食べ物が好きになるには大体10~15回、場合によってはそれ以上のトライが必要になる事もあるそうです。
◆2:味付けの工夫
嫌われる味の代表例である苦味は、塩分や糖分を含む他の食材によって緩和されます。そのため、例えば苦い野菜には甘いドレッシングを合わせるといった工夫が有効です。
◆3:楽しい雰囲気の中で食べる
趣味のスポーツ観戦の後の食事や好きな人と一緒の食事など、ポジティブな場面で食べると味の印象も違ってきます。また、克服したいものが野菜なら好きなタンパク質と組み合わせるのも効果的とのこと。
◆4:空腹時に食べる
「空腹は最高のソース」という格言がある通り、満腹な時ならおいしいと感じない味でも、おなかがすいている時なら違った印象を受けます。

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◆5:なぜ好きになりたいのか意識する
健康上の理由で食生活を変えたいと一念発起した場合や、移住先の食文化になじみたいと思った場合など、苦手な食べ物を克服したいと思ったのには何かしらの理由があるはず。こうした理由を思い出すことで、やる気も出てきます。
◆6:できれば若いうちに始める
前述の通り、味覚は年齢によって変化しますが、特に子どもは好き嫌いが確立されていないため、新しい食べ物を好きになりやすいとされています。
◆7:まずは1つ苦手を克服する
アーチャー氏らによると、好きな食べ物が増えるほど他の食べ物を好きになるのも簡単になるとのことです。
偏食はビタミンやミネラルの欠乏につながり、野菜などの食品カテゴリ全体が苦手な場合は特に問題となる可能性があります。一方、エネルギー過多な食事ばかりだと肥満などの慢性疾患リスクが高くなるため、健康にはバランスのとれた多様な食事が不可欠です。
専門家らは末尾で「食べ物の好き嫌いがどのように形成され、それがどのように変化するかを理解するのは、より健康的な食生活を送るための第一歩です」と述べました。

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