ネコは他の動物と違って「エサを得るために働く」ことを避ける傾向がある

ネコは他の動物と違って「エサを得るために働く」ことを避ける傾向がある - 画像


「働かずに食事をもらえるならその方がいい」と考えている人も多いかもしれませんが、イヌ・クマ・ハト・ブタ・ヤギ・ネズミ・サルといった多くの動物では、「働かずにエサをもらうよりも働いてエサをもらう方を好む」という傾向があります。ところが、ネコは多くの動物と違ってエサを得るために働くのを避け、働かずにもらえるエサを好むという実験結果が報告されました。
Domestic cats (Felis catus) prefer freely available food over food that requires effort | SpringerLink
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10071-021-01530-3
Cats Prefer to Get Free Meals Rather Than Work for Them | UC Davis
https://www.ucdavis.edu/news/cats-prefer-get-free-meals-rather-work-them
Cute Experiment Reveals How Your Cat Probably Wants Its Meals Served
https://www.sciencealert.com/cats-prefer-meals-that-require-the-least-amount-of-effort
動物が働かずにエサを得るよりも働いてエサを得る方を好む傾向は「Contrafreeloading(逆たかり行動)」と呼ばれています。たとえば、「レバーを押すとエサが出る」ことを教えたネズミに対し、「トレーの上にのったエサ」と「レバーを押すと出るエサ」を与えると、トレーの上のエサよりもレバーを押して出てきたエサを食べる傾向が強いとのこと。この傾向は多くの動物だけでなく人間でも見られ、就学前の幼児はネズミと同じ実験でレバーを押すことを好むそうです。
ところが、1971年に行われた研究では、ネコは他の動物と違って逆たかり行動を見せず、トレーの上にのったエサを好む傾向が確認されました。カリフォルニア大学デービス校の研究チームはこの結果について、「屋内の環境やネコの活発さが、エサを得る際に働くのを好むかどうかに影響するのではないか」と考えて、新たな実験を行いました。
実験では17匹のネコを対象に、屋内の環境で「トレーの上にのったエサ」と「フードパズルを解くともらえるエサ」を与え、ネコがどちらを好むかを測定しました。フードパズルは透明になっていてネコは内部にエサが入っていることが確認できたほか、何匹かのネコは前にフードパズルを解いた経験もあったとのこと。また、研究チームはネコに活動量を測定するセンサーを取り付け、それぞれのネコがどれほど活発なのかを分析しました。
研究チームが行った実験の様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。
Cats prefer to not work for their meals - YouTube

手前の女性が黒いネコを抱えており、ネコの視線の先には「エサの入ったフードパズル(左)」と「エサの入ったトレー(右)」があります。

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女性がネコを床に下ろすと、ネコはゆっくりとエサの方にむかって歩き……

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フードパズルには見向きもせずにトレーにのったエサを食べ始めました。

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別のネコを対象にした実験では、一瞬だけネコがフードパズルの方に視線を向けましたが……

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結局はトレーにのったエサに夢中になりました。

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最初はフードパズルをじろじろ見つめ、パズルに挑戦するのかと思わせたネコも……

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その横にエサがあることに気付くとあっさりパズルから離れました。

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今回の実験から、ネコはフードパズルで獲得したエサよりも、トレーの上にのったエサをより多く食べたことが確認されました。実験ではそれぞれのネコが30分間フードパズルとトレーの上のエサを食べることができましたが、8匹のネコはフードパズルに触ることすらなかったとのこと。また、ネコの活発さもフードパズルに挑戦する意欲とは関係なく、最も活動的だったネコもトレーの上にのったエサを好んだそうです。
論文の筆頭著者であるミケル・デルガド博士は、「ネコがフードパズルを使用したことがないわけではありませんでしたが、ネコはトレーからより多くのエサを食べ、トレーの近くでより多くの時間を過ごしました」「鳥、げっ歯類、オオカミ、霊長類、キリンを含むほとんどの種が、エサのために働くのを好むという全体的な研究結果があります。驚くべきことは、これら全ての種の中でネコだけが逆たかり行動の強い傾向を示さなかったことです」と述べています。
ネコが逆たかり行動を示さない理由について、研究チームはネコが家畜化された結果、食べ物が簡単に手に入る屋内環境ではエサを得るために探索したり、狩りをしたりする意欲が低下した可能性があると指摘。また、ネコは元から獲物を待ち伏せするタイプの捕食者であり、エサを得るために積極的に動く捕食者ではないことも影響しているかもしれないそうです。
なお、今回の研究結果はあくまでもフードパズルの中にあるエサよりもトレーにのったエサを好む傾向を示しただけであり、「ネコはフードパズルが嫌い」というわけではありません。2016年の研究では、フードパズルがネコの減量や不安の軽減に役立つことが示されています。

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