ネット上で他者を攻撃しやすいのは一体どういうタイプの人なのか?

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インターネット上で特定の個人やコンテンツ、思想などに対して過激な暴言を吐いて攻撃する荒らし行為は、時には被害を受けた人が自殺するほどエスカレートする場合もあります。一体どういうタイプの人がインターネット上で他者を攻撃しやすいのかについて調査した研究結果が、フィンランドの研究チームによって発表されました。
Impulsivity, internalizing symptoms, and online group behavior as determinants of online hate
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0231052
Impulsive, psychologically distressed individuals are more likely to engage in online hate
https://www.psypost.org/2020/06/impulsive-psychologically-distressed-individuals-are-more-likely-to-engage-in-online-hate-57137

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ヘルシンキ大学の犯罪学・法政策研究所の博士研究員であるMarkus Kaakinen氏は、「オンライン上の憎悪と攻撃は現在最も重要な社会問題の1つであり、個人やコミュニティの幸福と安全だけでなく、社会機能や民主的なプロセスの課題でもあると思います」と指摘。オンラインにおける他者や集団への攻撃は単なる「ソーシャルメディア上の問題」としてではなく、「新たな形態の暴力」として捉えられるべきだと主張しています。
そこでKaakinen氏らの研究チームは、オンライン上での攻撃性が強い人々の特徴を調べる研究を実施したとのこと。まず、研究チームはフィンランドに住む15歳~25歳の若者1200人を対象にアンケートを実施し、オンライン上での攻撃性と個人の性格や精神状態、ソーシャルメディアの使い方などを調べました。
調査の結果、「衝動的な性格」や「不安や憂うつなどの精神状態」といった要素を持っている人が、ソーシャルメディア上で他のユーザーを怒らせたり脅したりするメッセージを送信しやすいことが判明しました。また、TwitterやInstagramを使用している人はオンライン上のヘイトに加担しやすく、YouTubeやインスタントメッセージアプリを使用する人はオンライン上のヘイトにあまり関連しない傾向も見られたそうです。
Kaakinen氏は、個人的および社会的な要因が、悪意のあるオンライン上の行動に関連していると指摘しています。「たとえば、心理的な悩みを抱えており、同じような考えを持つグループとの交流を好む人は、ソーシャルメディア上で他者を脅したり中傷したりする可能性が高くなります。また、伝統的な暴力と同様に、オンライン上のヘイトも衝動的な性格の人によって行われやすいものです」と、Kaakinen氏は述べました。

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研究チームはその後のフォローアップ研究で、160人の若い被験者に対してアンケート調査を行い、被験者に架空のプロフィールを与えて質問に回答してもらうヴィネット調査も実施しました。ヴィネット調査では、被験者らは「顕著に同質性が高いグループ」と「グループの同質性について不明なグループ」へランダムに割り当てられ、ギャンブルに関するソーシャルメディアメッセージについてどう思うかを回答したとのこと。この際、被験者には「同じグループのメンバーがどのような回答をしているか」も開示されましたが、この情報も研究チームによって操作されたものでした。
事前に行われたアンケート調査とヴィネット調査の回答について分析したところ、所属するグループに共通するステレオタイプを自分に当てはめる「自己ステレオタイプ化」の傾向が強い被験者は、過去にオンラインのヘイトに従事していた割合が高いことが判明。また、自己ステレオタイプ化の傾向が強い被験者は、ギャンブルに関するメッセージの回答で「割り当てられたグループのメンバーが行った回答」に沿った回答をしやすいこともわかりました。
Kaakinen氏はこの結果から、ソーシャルメディア上で他者を攻撃しやすい人は、グループ内のステレオタイプに自分を重ねて依存する傾向が強いことを指摘。さらに、オンラインのグループにおける積極的なコミュニケーションを好む人は、自分の判断をグループのメンバーやステレオタイプに委ねる傾向があるとも述べました。

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今回の研究はあくまでも相関関係について調査したものであり、因果関係を証明するにはさらなる実験に基づく証拠が必要だとのこと。さらに、オンラインの相互作用における社会との同一化および脱個人化が、個人によってどれほど違うのかについても調査する必要があるとKaakinen氏は考えています。
「オンライン上のヘイト、社会の二極化、エコーチャンバー、フェイクニュースの拡散といった現代のソーシャルメディアにおける課題の多くは、個人および社会のアイデンティティのレンズを通して理解できます」とKaakinen氏は述べ、ソーシャルメディアにおけるアイデンティティの構築などについて心理的・社会的な調査を行う必要があると主張しました。

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