中国のTencentは任天堂のキャラクターを用いたゲーム開発で任天堂のノウハウを吸収しようとしていると報じられる

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by Ryan Quintal
中国に本拠地を置くTencentは、世界で1億人以上がプレイする人気PCゲームの「League of Legends」を運営するRiot Gamesや、あまりにも中毒性が高すぎると集団訴訟の危機に瀕したり、初期スキンのままプレイするといじめられると話題になったり、家庭教師を雇って子どもにゲームのレッスンを受けさせる親まで続出しているという人気ゲーム「フォートナイト」の開発元であるEpic Gamesの親会社としても知られています。そんなTencentが、任天堂と共同でアメリカ・ヨーロッパ向けにコンシューマー向けのゲームタイトルを開発することを望んでいると報じられています。
Tencent Looks to Leverage Its Partnership With Nintendo in the U.S. - WSJ
https://www.wsj.com/articles/tencent-looks-to-leverage-its-partnership-with-nintendo-in-the-u-s-11573390800
Tencent wants to work with Nintendo to attract "console game players in the U.S. and Europe" ? Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/articles/2019-11-10-tencent-wants-to-work-with-nintendo-to-attract-console-game-players-in-the-u-s-and-europe
既にモバイル市場で多くのユーザーを獲得しているTencentは、中国以外の市場でもユーザーを獲得することを目指しています。その理由は、中国で18歳未満の若者に対してゲームのプレイ時間を制限する規制が発表されたため。中国で発表された18歳未満の若者のゲームプレイ時間を制限する規則については、以下の記事を読めばよく分かります。
「18歳未満は深夜のオンラインゲームを禁止、プレイは1日90分のみ」という規制が中国で設けられる - GIGAZINE

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by monikabaechler
そんな中、Tencentの匿名の役員がウォールストリートジャーナルに対して「我々が望んでいるのは中国市場からの拡大で、そのターゲットの1つがヨーロッパやアメリカのコンソールゲームプレイヤーです」と語っています。この役員によると、Tencentは中国市場でのゲーム事業で協業している任天堂のキャラクターを用いてゲーム機向けのタイトルを作成することで、「任天堂のエンジニアからゲーム機向けタイトルを作成することの本質を学びたいと考えている」とのことです。
Tencentと任天堂の協業が発表されたのは2019年4月のこと。この際、Tencentは任天堂がNintendo Switchを中国での販売を支援すると発表しましたが、アナリストの間では新しく結ばれたパートナーシップにより、Tencentが中国で任天堂のキャラクターを用いたスマートフォンゲームを配信できるようになる可能性があるとささやかれてきました。
実際、2019年7月にTencentは子会社のTiMi Studio Groupが株式会社ポケモンと「新作ゲームを共同開発中」であることを発表しました。TiMi Studio Groupは、Tencentが大株主となっているアクティビジョン・ブリザードのスマートフォン向けタイトル「Call of Duty Mobile」の開発に携わっていたため、TiMi Studio Groupと株式会社ポケモンが共同開発しているゲームもスマートフォン向けのゲームと予想されていました。
株式会社ポケモンが新作ゲームを中国のTencentと共同開発と発表される - GIGAZINE

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しかし、任天堂のゲーム機やゲームタイトルを販売するには複数のクリアしなければならない規制が存在しており、そのためTencentと任天堂のパートナーシップは「緩やかなスタートを切った」とウォールストリートジャーナルは指摘しています。
また、ウォールストリートジャーナルに情報を提供したTencentの関係者によると、中国のユーザーはスマートフォンやPCでゲームをプレイすることに慣れているため、Nintendo Switchが「中国市場で日本やアメリカのように好調な売れ行きを見せるとは思わない」とコメントしています。それでもTencentは、Nintendo Switchがライフサイクル全体で「少なくとも数百万台は中国で売れる」と任天堂に約束しているそうです。ただし、この「数百万台」という数字は非常に小さな数字。なぜなら、2019年7月から9月にかけての3カ月で、Nintendo Switchは全世界で693万台、アメリカだけでも100万台以上売れているためです。
Nintendo Switchの世界累計販売台数が4167万台に到達、Nintendo Switch Liteも好調 - GIGAZINE

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by Enrique Vidal Flores
Tencentとの協業により、任天堂のゲームを中国向けに配信する機会が整ったかのように思えますが、Tencentの関係者は「Tencentが既に独自のゲームで中国市場を支配してしまっているため、任天堂のゲームを中国市場向けに配信することは(Tencentの)目的ではない」とコメント。さらに、別の関係者は「任天堂のゲームは人々が多くのお金を支払うように設計されていません」と語り、任天堂のゲームを中国市場で配信するうまみは少ないと指摘しています。加えて、任天堂の古川俊太郎社長も、アナリストに対して「中国でNintendo Switchが多く売れることを期待すべきではない」と述べています。
それでも任天堂は中国市場が多くのユーザーを獲得できる可能性のある市場と見込み、Tencentとの協業を決めているとウォールストリートジャーナルは指摘。その理由のひとつが、外部の開発者による「任天堂からロマンスゲームなどの若い女性向けゲームの作成を依頼された」というコメント。ゲーム調査企業・Niko Partnersのアナリストであるダニエル・アーマッド氏は、「女性はゲーム市場の成長の原動力になりつつあります。中国のゲーム開発者は女性プレイヤー向けのゲームを作成するだけでなく、既存のゲームをより魅力的にするよう調整を行っています」と語っており、中国で女性向けゲーム市場が急成長しており、これを任天堂が狙っているとウォールストリートジャーナルは推測しているわけです。
ウォールストリートジャーナルは、Tencentが任天堂と提携したことは、アメリカなどの市場で多くのユーザーを獲得するための「コツ」を任天堂から学ぶ機会を得たという点であり、これが大きな利益になるかもしれないとしています。
なお、匿名のTencentの役員は、任天堂からのメッセージを解読するのに時々苦労しており、学ぶには多くの時間がかかるとコメントしているそうです。

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