中世ヨーロッパで切断した右腕にナイフを装着していたと考えられる男性の遺体が発見される

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イタリア北部にあるロンゴバルド墓地で奇妙な遺体が発見されました。遺体は6世紀~8世紀ごろの男性のもので、右腕には切断された手の代わりにナイフが取り付けられていたとのことです。
Survival to amputation in pre-antibiotic era: a case study from a Longobard necropolis (6th-8th centuries AD)
(PDF)http://www.isita-org.com/jass/Contents/2018vol96/Micarelli/Micarelli.pdf
This medieval Italian man replaced his amputated hand with a weapon
https://www.sciencealert.com/medieval-lombard-man-amputated-arm-knife-prosthesis
発見された遺体は40歳~50歳の高齢の男性で、右腕が前腕の中央あたりで切断されていました。ローマ・ラ・サピエンツァ大学の考古学者イリアナ・ミカレッリ氏ら研究チームは、腕の切断は鈍的な外傷によるものと考えています。
研究チームは、男性の腕が存在しない理由について、「医学的な理由で腕が切断された可能性が高い」と述べています。この男性は偶発的な転落事故、もしくは当時のロンゴバルドの戦士文化を考慮すると、戦闘で敗北した際に腕を損傷し、治療のために切断された可能性が高いとのことです。
また、折れた尺骨の末端に仮骨と骨棘を形成していたことから、腕には何らかの力学的な圧力がかかっていたことがわかっています。このため、男性は切断した右腕に装具を取り付けていたと考えられています。

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また、この仮説を裏付ける証拠が遺体の歯にありました。遺体の右側の歯は大部分のエナメル質を失っており、骨病変の症状が確認されています。これらの証拠から、彼は右手にストラップの付いた装具を取り付け、ストラップを右側の歯で固定していたと考えられます。

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また彼の右肩にはC字型の隆起が存在していることから、腕に装具を装着するために、ストラップを直接歯で固定するのではなく、右肩を経由して固定していたことがわかっています。なお、この隆起はストラップを付けた状態で頻繁に動かしていたことを示唆しているとのことです。

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遺体が発見されたとき、遺体の右腕は右肘を曲げた状態で胴の上に置かれており、その隣にナイフのブレードが置かれていました。そして腕の切断面にはD字型のバックルがあり、革製のものと考えられる有機物が分解された痕跡が残っていたそうです。これらの痕跡から、遺体の切断された腕には革製のフタが取り付けられており、バックルで固定されていたと考えられています。また、革製フタにはナイフが付いていたようですが、ナイフを装着する用途はわかっていません。
この遺体の骨の状態から考えると、手を切断した後も長年にわたって生きていたことが明らかとなっています。研究チームは「このロンゴバルドの男性は、抗生物質が登場する前の時代に、腕を切断するような大ケガを負っても生存していたことを示しています。また、家族や地域社会のケアがあったことを示唆しており、当時から人間の命に大きな価値があったことを証明しています」と述べています。

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